ロングテールSEOとは、ニーズの少ないキーワードに注目し、Webサイトへの流入数を増やすことです。ロングテールSEOを実施することでどのようなメリットがあるのか、また、想定されるデメリットについて解説します。SEO対策の手順も具体的に紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ロングテールSEOとは
ロングテールとは、ニーズの少ない商品を揃えることで成果を高める現象のことです。例えば、店舗の売上増を狙うなら、売れ筋の商品をそろえることが手っ取り早い方法です。しかし、売れ筋の商品を揃えている店舗は多いため、差別化を図るのが難しく、激しい価格競争に巻き込まれ薄利多売になる可能性があります。
売れ筋の商品を揃えつつも、需要の低い商品も揃えるならどうでしょうか。顧客のニーズに応える機会が増えるだけでなく、「他では見つからない商品を見つけるならココ」という認識を得られる可能性があります。
ロングテールSEOは、ロングテールをSEOに応用した考え方です。多くのユーザーが検索するメジャーなキーワードだけでコンテンツを作成するのではなく、検索数が少ないキーワードにも注目し、検索意図を調べてコンテンツ化します。
ニッチなキーワードからWebサイトに流入したユーザーが、Webサイトの魅力に気付き、他のキーワードでも「あのWebサイトで調べてみよう」と考えてくれるかもしれません。このようなことが積み重なると検索順位にも影響が及び、上位に表示される可能性が生まれます。
ロングテールキーワードの例
多くのインターネットユーザーが関心のあるキーワードとして、「転職」が挙げられます。しかし、転職というキーワードでコンテンツを作成しても、転職案件を紹介するWebサイトや企業の中途採用情報などの多くのコンテンツが競合となるため、検索上位に表示されるのは容易なことではありません。
検索上位を狙うなら、ロングテールキーワードでコンテンツを作成できます。例えば、「転職 マナー 雨の日」や「転職 お断りメール 例文」などの複合キーワードで対策すれば、ニッチなニーズをつかむことができるでしょう。
競合サイトも少なくなるため、検索上位に表示されやすくなります。また、ニッチなニーズで流入数が増えれば、Webサイト自体の評価も上がり、「転職」などのニーズの高いキーワードでの検索順位も上がることが期待できるでしょう。
ロングテールSEOの6つのメリット
検索上位に表示されるためのSEO対策は、多角的に取り組むことが必要です。例えば、Webサイト自体の信頼性を高めるために、運営者情報やカスタマーサービスを準備したり、ユーザーが知りたい情報をするに入手できるためにWebサイトを分かりやすく構造化したりすることもできます。
多角的なSEO対策の1つとして、ロングテールSEOにも取り組みましょう。ロングテールSEOを実施することには、次のメリットがあります。
1. 上位表示されやすい
2. コンバージョン率が高い
3. 音声検索と相性がいい
4. ユーザーニーズに合ったコンテンツをつくりやすい
5. 長期的に集客ができる
6. コストがほとんどかからない
それぞれのメリットについて、具体的に解説します。
1.上位表示されやすい
ロングテールSEOでは、検索数の少ないキーワードをターゲットにします。検索数が少ないキーワードに対応する競合記事は少ないため、上位に表示されやすくなるでしょう。
検索順位が上位になると、そのキーワードに関して検索したユーザーが閲覧する機会が増えます。ユーザーがWebサイト内で関連する記事を閲覧するなら、他の記事の閲覧数も増えるでしょう。メジャーなキーワードを狙うよりは時間がかかりますが、着実に閲覧数を増やし、Webサイト自体の表示順位を押し上げることも期待できます。
2.コンバージョン率が高い
複数の単語で検索するユーザーは、自分自身が知りたいことや求める情報を正確に理解している傾向にあります。
例えば、「転職」だけで検索するユーザーは、転職したいのか、転職したときのデメリットを知りたいのか明瞭ではありません。一方、「転職 面接 カバン」と検索するユーザーは、すでに転職活動をすることが決まっており、面接のときに持っていくカバンについての情報を得たいと特定することができます。
ロングテールSEOでは、このように検索意図が明確なユーザーを対象とするため、記事内にユーザーが知りたい情報を絞り込んで説明し、関連する商品やサービスの情報も紹介しやすくなります。転職活動に適したカバンを紹介するECサイトのリンクを貼れば、高いコンバージョン率を期待でき、高確率でクリックしてもらえるでしょう。
3.音声検索と相性がいい
キーワード検索を行う場合、検索窓に文字として入力するため、どうしても単語数が少なくなる傾向にあります。本当は転職活動時のカバンについて知りたくても、キーワードを書くのが面倒で「転職」だけで検索し、いくつかの記事から該当する内容がないか調べる方もいます。
しかし、音声検索では「転職活動のときのおすすめカバンを知りたい」「面接のときにレインシューズを履いて良いのか」などの文章で検索するため、キーワードが長文化することが多いです。そのため、ロングテールSEOで対策した記事がヒットしやすくなると考えられます。音声検索を利用する方も増えているので、今後さらにロングテールSEOの重要性が高まるでしょう。
4.ユーザーニーズに合ったコンテンツをつくりやすい
キーワードが複数あるときは、連想されるユーザーニーズはある程度絞り込まれます。そのため、キーワードが1つの場合と比べて、ユーザーニーズに合うコンテンツをつくりやすくなります。
キーワードを入れて検索し、クリックした先の記事に知りたいことがすべて記載されていると、ユーザーは「このWebサイトは信頼できる」と考えるようになるでしょう。自分のニーズに応えるWebサイトとして、関連する他の事柄を知りたいときもチェックしてくれるようになるかもしれません。
5.長期的に集客ができる
検索数が多いキーワードで検索上位を狙うと、競合記事も多く、ちょっとした変化で検索順位が大きく変わる可能性があります。10位以内にいたとしても、Googleなどの検索エンジンに高く評価される記事が出現すると、あっという間に転落することも珍しくありません。
しかし、ニッチなニーズを狙うロングテールキーワードなら、競合記事が少ないため、検索順位が激しく変動することも少ないと考えられます。上位に表示されると長期的に集客ができるのも、ロングテールキーワードの特徴です。
6.コストがほとんどかからない
ロングテールSEOは、運営者自身が実施できるSEO対策です。Web広告のようにコストがかかるわけではないため、長期的に取り組んでも費用がかさむことはありません。
Webサイトの閲覧数を増やしたいけれど、あまり予算がないときは、ロングテールSEOに取り組んでみてはいかがでしょうか。効果が表れるまでに時間がかかることはありますが、息の長い成果を期待できます。
ロングテールSEOの3つのデメリット
メリットの多いロングテールSEOですが、いくつか注意するポイントもあります。特に次の3点はロングテールSEOのデメリットといえるポイントです。
1. 成果が出るまで時間がかかる
2. 流入数はそこまで多くない
3. サイト内の類似コンテンツが増えてしまう
それぞれのデメリットを具体的に解説し、検討できる対策について紹介します。
1.成果が出るまで時間がかかる
ロングテールSEOは、そもそもニッチなニーズのあるキーワードに注目した施策です。検索数の多いキーワードを対象としたSEO対策と比べると、記事がユーザーの目に触れる可能性が低く、成果が出るまでに時間がかかる傾向にあります。
より早く検索順位を上げるためには、ロングテールSEO以外のSEO対策も同時に実施することが必要です。総合的にSEO対策に取り組み、検索上位を狙いましょう。
2.流入数はそこまで多くない
ロングテールSEOで、ニッチなキーワードで検索上位を獲得しても、そもそもの検索数が少ないため、Webサイトの流入数が爆発的に増えることは期待できません。
とはいえ検索上位を獲得し続けることで、長期的に見ればある程度の効果はあります。気長に取り組むのは当然のこと、ロングテールSEOの成果を最大化するためにもコンテンツを増やし、Webサイト全体の充実を図りましょう。
3.サイト内の類似コンテンツが増えてしまう
ロングテールSEOで対策するキーワードの組み合わせの選び方によっては、Webサイト内で類似するコンテンツが増える可能性があります。例えば、「転職活動 カバン」と「転職 面接 カバン」では、キーワードの組み合わせは異なりますが、ユーザーニーズはほとんど変わらないと考えられます。
ロングテールSEOによりWebサイトへの流入数が増えても、似たようなコンテンツばかりであれば、ユーザーはWebサイト内での活動を止め、短時間で離脱するかもしれません。類似する検索意図のキーワードに対しては1つのコンテンツで対応できるように工夫し、コンテンツのバラエティを増やし、ユーザーのさまざまなニーズに応えられるWebサイトに仕上げていきましょう。
ロングテールSEO対策の6つの手順
ロングテールSEOは成果が表れるまでに時間がかかる傾向にありますが、着実に認知度を高め、ユーザーから信頼されるWebサイトに仕上げていくことができる施策です。以下の手順で実施していきましょう。
1. サイト構造を適切に整理する
2. サイトテーマとなるキーワードを選定する
3. カテゴリに設定するキーワードを選定する
4. ロングテールキーワードを選定する
5. 地道に良質なコンテンツを作成する
6. 適宜リライトとコンテンツ管理を行う
それぞれの手順について解説します。
1.サイト構造を適切に整理する
まずはWebサイトの構造を整理しましょう。ロングテールキーワードに対応するコンテンツを作成しても、単に羅列するだけでは、Webサイト全体としての価値が下がってしまいます。
まずはWebサイト全体のテーマを決め、いくつかのカテゴリに分け、カテゴリごとにさらに内容を細分化します。樹状のシンプルな構造にすると、ユーザーが知りたい情報を見つけやすくなるだけでなく、運営者側も不足するコンテンツも見つけやすくなるでしょう。
2.サイトテーマとなるキーワードを選定する
Webサイト全体のテーマとなるキーワードを選定します。このキーワードはロングテールキーワードではなく、検索数が多いビッグキーワードであることが求められます。
ビッグキーワードをWebサイトのテーマとすることで、ユーザーニーズを見つけやすくなるでしょう。また、後でコンテンツを増やしやすくなることも、テーマを広く設定する理由の1つです。
3.カテゴリに設定するキーワードを選定する
次はカテゴリに設定するキーワードを決めます。カテゴリは複数のユーザーニーズに対応する必要があるため、あまりにもニッチなキーワードはふさわしくありません。
例えば、ビッグキーワードを「転職」とするなら「転職活動のスケジュール」「転職活動の動向」「転職活動の豆知識」などをカテゴリに設定できます。広すぎず狭すぎないカテゴリを設定しましょう。
4.ロングテールキーワードを選定する
カテゴリ内に配置するロングテールキーワードを選定します。ロングテールキーワードはニッチなニーズに応えるものであることが求められますが、あまりにも需要がないと思われるものは省いても問題ありません。
どの程度の深度でロングテールキーワードを選定するか迷ったときは、Googleサジェストや無料ツールを利用しましょう。それぞれの使い方を紹介します。
Googleサジェストを使った選定方法
Google検索で、検索窓にキーワードを入力すると自動的にいくつかのキーワードが候補として表示されます。これらの候補は、入力したキーワードと合わせて検索されることが多い単語です。
ユーザーニーズのある組み合わせだといえるので、ロングテールキーワードに適しています。まずはビッグキーワードを入れてみて、次にカテゴリのキーワードを入れてみて、ロングテールキーワードを見つけましょう。
無料ツールを使った選定方法
ロングテールキーワードの選定には、無料ツールも活用できます。例えば、Googleキーワードプランナーは、ビジネスとの関連性が高いキーワードを見つけるのに適した無料ツールです。ロングテールキーワードが見つかるだけでなく、検索数の推移もチェックできます。他にも、GoogleトレンドやGoogleサーチコンソールも活用できます。
5.地道に良質なコンテンツを作成する
ユーザーから信頼されるWebサイトに仕上げるためにも、コンテンツの質は重要なポイントです。無意味にキーワードを散りばめるのではなく、ユーザーが本当に知りたいと思う内容をリサーチし、答えを提供できる良質なコンテンツを作成していきましょう。良質なコンテンツが多く集まれば、良質なWebサイトが完成します。
6.適宜リライトとコンテンツ管理を行う
どんなに良質なコンテンツでも、時間が経過することで情報が不正確になることがあります。最新の情報にアップデートするだけでなく、文章の間違いや理解しにくい表現なども修正し、より信頼性の高い優れたコンテンツに仕上げていきましょう。定期的にリライトと管理を行うことは、SEO対策の観点からも重要なポイントです。