【ホワイトペーパーの作り方】手順や種類、読まれるためのコツを解説

ホワイトペーパーの作り方について、わかりやすく解説します。作成前に決めておく事柄や具体的な手順、制作会社に依頼するときの費用目安について見ていきましょう。また、読まれるためのコツも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

そもそもホワイトペーパーとは?


ホワイトペーパーとは、読者によって有用と思われる情報をまとめた資料のことです。自社製品やサービスと関連した情報であることが一般的で、自社ホームページなどで主にPDF形式で公開し、読者が自由にダウンロードできるように設定します。

例えば、求人紹介サービスを運営する会社のホームページであれば、求人広告を出したい企業が閲覧することが多いです。面接のときのチェックポイントや面接官の心構えなどをまとめたホワイトペーパーを作成すれば、読者の役に立ち、なおかつ自社のサービスをアピールできます。

ホワイトペーパーが果たす目的

ホワイトペーパーは、次の目的のために作成します。

新規顧客の獲得
見込み客へのアプローチ

ホワイトペーパーで読者にとって有益と思われる情報を提供し、なおかつ自社サービスや自社商品の説明や利用方法などを説明すれば、読者は自然と「このサービス・商品を使いたい」という気持ちになるかもしれません。

ホームページ上に有益な情報を掲載することもできますが、あえてホワイトペーパーの形にすることで、読者は資料を保存してオフラインでも繰り返し閲覧したり、印刷して紙資料として繰り返し読んだりしやすくなります。

また、ホワイトペーパーは、必ずしも自社サービスや自社商品の必要性が高い読者だけに向けたものではありません。特に必要性を感じていない層にもアプローチし、将来、必要性を感じたときに選択肢として思い出してもらうことも想定しています。

次の記事では、ホワイトペーパーについてより詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

ホワイトペーパーを作る前の準備


ホワイトペーパーは、新規顧客を獲得し、将来の見込み客にアプローチするという企業活動にとって大きな役割を担っています。そのため、作成準備には時間をかけ、読者にとって有意義な情報、自社商品・サービスの宣伝につながる情報を収集しなくてはいけません。

ホワイトペーパーを作成する前に、少なくとも次の5つの準備をしておきましょう。

自社サービスの利点と特徴を洗い出す
ターゲットを決める
ニーズのあるテーマを決める
現実性のあるカスタマージャーニーを構築する
ボリュームを決める

それぞれの準備について解説します。

自社サービスの利点と特徴を洗い出す

ホワイトペーパーは読者にとって有益な情報を提供するための資料ですが、自社サービス・商品の購入につながらなければ目的に到達したといえません。そのため、資料の内容は自社サービス・商品の魅力の発見につながるものが望ましいといえます。

読者が自然に自社サービス・商品の魅力に気付くためには、提供する側が正しく自社サービス・商品の利点や特徴を知っておくことが不可欠です。まずは自社サービス・商品を分析し、どのような点で優れているのか、何が競合他社とは異なるのか洗い出しておきましょう。

ターゲットを決める

ホワイトペーパーのターゲットを決めます。自社サービス・商品の利点や特徴を正しく理解すると、どのような方に向けてホワイトペーパーを作成するべきかが自ずと決まるでしょう。

ターゲットを決めるときは、最初に「転職を希望する20代」というような大枠を設定します。その後、具体的な人物像に落とし込んだペルソナを設定しましょう。例えば、「大卒。23歳の女性。経済学部国際経済学専攻。新卒で広告会社に入社したけれど業務内容が自分に合わないと感じている。1年は何とか仕事を継続したが、やはり転職をしてより自分に合う仕事を探したい。できれば大学で専攻した国際関係の知識を活かしたい」と詳しく人物を描きます。

ペルソナを丁寧に描くと、ペルソナがどのような課題を抱えているのか、また課題解決のためにどんな情報を必要としているのか、そして課題解決後にどのようなアクションを起こしたいのかがイメージしやすくなるでしょう。ターゲット層に必要とされるホワイトペーパーを作成するためにも、ペルソナ設定は欠かせません。

ニーズのあるテーマを決める

ターゲット層を絞り、具体的なペルソナを設定した後、ニーズがあるテーマを決めます。例えば、先程のペルソナであれば、次のようなことを知りたいと考えているかもしれません。

業種別の業務内容
面接時に尋ねられる質問、回答例
自己分析をする方法

ペルソナが具体的であれば、どのようなニーズがあるか想像しやすくなるでしょう。また自社サービス・商品へとつなげやすいテーマに限定しておくと、次に紹介するカスタマージャーニーの構築が容易になります。

現実性のあるカスタマージャーニーを構築する

カスタマージャーニーとは、顧客が自社サービス・商品を認知してから利用するまでの流れのことです。流れをいくつかの段階に分けて可視化したものをカスタマージャーニーマップと呼び、顧客の行動を理解する際に用いることがあります。

カスタマージャーニーは現実性があることが前提です。もしカスタマージャーニーに不自然な部分があるときは、実際の顧客がカスタマージャーニー通りに行動することは滅多にないと考えられます。そのため、カスタマージャーニーに沿ったマーケティングを実施したとしても、顧客の獲得にはつながらないでしょう。

例えば、「転職を希望する20代」をカスタマーに想定する場合であれば、次のようなカスタマージャーニーを構築できるかもしれません。

国際関係の仕事ができる業種は何か、「国際関係 業種」インターネットで検索する
端的に業種と業務内容をまとめた資料が見つからないので、とりあえず求人サイトでどのような案件があるか調べる
就職してからまだ1年しか経っていないので、転職に不利になるのか気になり、「第二新卒 転職」で検索する
具体的な情報が得られないので、とりあえず第二新卒をターゲットとしている案件を求人サイトで調べる(自社の求人サイトへの登録)
良さそうな案件が見つかった。履歴書の書き方や面接の訓練などについて知りたい
求人サイトに、履歴書の書き方や面接時の対応について記載してあるのを見つけた(自社のホワイトペーパーをダウンロード)

この場合であれば、求人サイトに登録するまでにも何度か自社サービスを利用する機会がありました。例えば、第二新卒が転職に有利かどうかを記載したホワイトペーパーやコラムを用意していたなら、3の段階でダウンロードや求人サイトの登録をしたかもしれません。

また、業種と業務内容についてまとめたホワイトペーパーを作成していたならば、より早い段階でダウンロードや求人サイトの登録をしたと考えられます。このように現実味のあるカスタマージャーニーを構築することで、ターゲットの行動やニーズをより深く分析できるようになるでしょう。

ボリュームを決める

どのようなホワイトペーパーが必要か分析した後に、ボリュームを決めます。ホワイトペーパーのボリュームはテーマやターゲットによっても変わりますが、あまりにも多いと読者の集中力が続きません。また、印刷するのも時間がかかり、必要な紙の枚数も増えるので避けられる可能性があります。

とはいえあまりにも短いホワイトペーパーでは、重要な情報を網羅することができません。内容も浅くなってしまう可能性があり、読者が役に立ったと感じてくれない可能性があります。少なくとも4ページ以上、多くとも20ページ程度にしておくと、情報の密度と量のバランスが取りやすくなるでしょう。

ホワイトペーパーの作り方・手順


紹介した5つの準備をすべて終えた後で、いよいよホワイトペーパーの作成に着手します。ホワイトペーパーは、次の手順で作成していきましょう。

クリックしたくなるタイトルを決める
ライティングをする
デザインを決める

各段階で具体的に何をすれば良いのか、詳しく解説します。

1.クリックしたくなるタイトルを決める

どんなに優れた内容が記載されているホワイトペーパーであっても、タイトルが思わずクリックしたくなるような魅力的なものでなければ、読者に見てもらうことはできません。読者の知りたい気持ちを刺激するようなタイトルを決めましょう。

ただし、読者に「クリックしたい」と思わせることは重要ですが、それ以上にどのような内容なのかよくわかるタイトルであることが必要といえます。

ホワイトペーパーは、単にクリックするだけでは内容を見られないようになっていることが一般的です。一旦、パソコンやスマートフォンのファイルボックスにダウンロードし、その後で開くという一手間がかかるため、内容がよくわからないときにはクリックしないという選択肢を選ぶ読者も一定数いるでしょう。

読者がためらいなくクリックできるようにするためにも、内容を的確に示したタイトルをつける必要があります。また、タイトルで示されている事柄が中にしっかりと記載されていることも大切です。

2.ライティングをする

準備段階で決めたテーマに沿って、ホワイトペーパーの中身をライティングします。例えば、リフォーム専門会社が水回りのリフォームを検討している方に向けて、「後悔しない水回りの設備の選び方!おしゃれに仕上げるアイデアと最新設備まとめ」というタイトルでホワイトペーパーを作成するとしましょう。

タイトルに記載している通り、キッチンや浴室、トイレ、洗面所に分けて、選ぶポイント、おしゃれに仕上げるアイデアを列挙します。また、どんなスタイルが自分に合っているのか診断するチャートなどがあっても楽しいでしょう。最後に最新設備を紹介し、リフォーム工事の仕方や料金目安などの自社への依頼に誘導する情報も記載します。

自社でホワイトペーパーのライティングを実施する場合は、関係者以外にも草稿を読んでもらい、特別な知識を持っている方でなくても理解できるか確認しておきましょう。また、読者にとって必要と考えられる関連情報も付け加え、読者が印刷して持っておきたいと思えるクオリティに仕上げます。

3.デザインを決める

素晴らしい文章であっても、見やすく工夫されていないときは最後まで読んでもらえない可能性があります。反対に文章としては平均的なレベルでも、見やすく工夫され、知りたい情報にすぐに到達できるような構成のホワイトペーパーであれば、読者は最後まで読み、「この企業の商品・サービスを購入したい」と決断してくれるかもしれません。

見やすいホワイトペーパーを完成するためにも、適切なデザインを選びます。次のポイントを決定し、読みやすいホワイトペーパーに仕上げましょう。

表紙のデザイン
テーマカラー
見出しの大きさ、色
文字のフォント、大きさ
グラフ、表
イラスト

テーマカラーを決めて、見出しの色とリンクさせると、より統一感のあるホワイトペーパーに仕上がります。また、フォントは目的に合い、なおかつ見やすいものを選ぶことが必要です。

例えば、MicrosoftのWordでホワイトペーパーを作成するときであれば、視認性に優れるメイリオや実務的な印象を与えるヒラギノゴシック体(HGSゴシック)、見やすさと装飾性を両立したヒラギノ明朝体(HGS明朝)などを選択できるでしょう。

読みやすさを向上させるためにも、数字の根拠を示すときはグラフ、比較する内容を説明するときは表を入れることも有用です。また、理解を深めるために必要と思われるときはイラストを挿入し、最後まで飽きさせないホワイトペーパーに仕上げます。

読まれるホワイトペーパーの作り方


読まれるホワイトペーパーを作るためには、デザインだけでなく文章の書き方や内容にも工夫が必要です。次の4つのポイントに留意し、ライティングしましょう。

結論を最初に記載する
平易かつ理解しやすい言葉を選ぶ
定期的に内容をアップデートする
ターゲット以外にも響くテーマを選ぶ

それぞれのポイントについて解説します。

結論を最初に記載する

見出しの内容に対して、最初に結論を記載します。結論が文章の終盤にあると、読者は知りたい内容を知るまでに時間がかかってしまい、文章を読むのを途中で止めてしまうかもしれません。

反対に、結論を最初に記載してその理由を述べるというスタイルで書くと、知りたいという欲求が最初に満たされるため、読者は理解をした状態で読み進めることができます。また、すぐに結論を知ることで内容全体を理解したと感じるため、読者のホワイトペーパーに対する満足度も高まるでしょう。

平易かつ理解しやすい言葉を選ぶ

読者はホワイトペーパーに記載されている内容に興味があり、「知りたい」という思いを抱いてダウンロードしたはずです。しかしホワイトペーパーの文章が難解で何を言いたいのかよくわからないものであれば、読者は理解することを放棄し、ホワイトペーパーを読むのも止めてしまうでしょう。

ホワイトペーパーは、読者に有益な情報を提供するためのものです。読者の理解を深めるためにも、平易かつ理解しやすい言葉を選ぶようにしましょう。特定の業界だけで使われている単語を使用するときは注釈を入れ、事前知識がない状態でも理解できるように工夫します。

定期的に内容をアップデートする

ホワイトペーパーに記載されている情報が古いと、読者にとって有益とはならない可能性があります。定期的に内容をアップデートし、最新の情報を読者に伝えるようにしましょう。また、すでにダウンロードした方に向けて、どの部分を改訂したのか明記しておくと、より親切です。

ターゲット以外にも響くテーマを選ぶ

ホワイトペーパーを作成するときは、最初にターゲットを決め、ターゲットが必要としている内容を選択します。しかし、ターゲット以外もホワイトペーパーに記載している内容に興味を持ち、ダウンロードして商品・サービスの購入までのカスタマージャーニーを歩んでくれるかもしれません。

ホワイトペーパーをいくつか作成するときは、ターゲットとは関係なく、全体的にニーズが高いテーマを選ぶこともできます。幅広い見込み客にアプローチするためにも、ターゲット層以外のニーズも敏感に察知しましょう。

ホワイトペーパーを制作会社に依頼する場合


ホワイトペーパーの作成は、専門の制作会社に依頼することもできます。次のポイントを制作会社に伝えると、イメージに合ったホワイトペーパーが完成しやすいでしょう。

どの工程を依頼するか(ターゲットのリサーチ、テーマ作成、ライティングなど)
ホワイトペーパーの作成に使用できる資料はあるか
どのような効果を期待しているか

制作会社によっても費用は異なりますが、リサーチから完成まですべて依頼する場合で20万~30万円(10ページ以下)が相場となります。さらに文章量が多いときは価格も高くなるでしょう。

コストを抑えたホワイトペーパーの作り方


ホワイトペーパーを作成することで新規顧客の獲得や見込み客へのアプローチを実現できれば、利益増加につながる効果を得られることになります。しかし、ホワイトペーパーの作成コストが高すぎる場合は、初期投資を回収するまでに時間がかかり、費用対効果が下がることもあるでしょう。

ホワイトペーパーを作成するコストを抑えるためにも、次の2つのポイントに注目できます。

既存の資料を活用する
複数の制作会社から見積もりを取る

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

既存の資料を活用する

既存の資料があると、ホワイトペーパーを1から作成する必要がなく、より短時間で完成できます。制作会社に依頼する場合でも、ホワイトペーパー作成の参考になる資料があるとリサーチや情報収集の工程を省けるため、予算を抑えやすくなるでしょう。

ホワイトペーパーを作成する前に、活用できる資料はないか探してみてください。ただし情報が古い場合はそのまま記載するとホワイトペーパーの信頼性を落とすことにもなりかねないため、最新の情報を調べてから活用するようにしましょう。

複数の制作会社から見積もりを取る

制作会社にホワイトペーパーの作成を依頼するときは、複数の制作会社から見積もりを取りましょう。依頼する内容によっても料金が変わるため、同じ条件で比較することが大切です。

ただし、料金だけで選ぶと、満足できるクオリティにならないことがあります。過去に手掛けたホワイトペーパーを見せてもらい、希望するテイストに合うか、同じ業界のホワイトペーパーを手掛けたことがあるのか確認するようにしましょう。最初に予算を決めてから見積もりを取ると、予算内で満足できるプランや制作会社を選びやすくなります。

さらにコストを抑えたいときは、ライティングだけ、あるいはデザインだけを外注する方法も検討できるでしょう。以前のホワイトペーパーを活用してリライトするときや、すでにホワイトペーパーは完成しているけれどもデザイン性に問題があるときなどは、専門の会社に作業を依頼します。また、制作会社に依頼せず自作すれば、さらにコストを抑えられるでしょう。

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