「贔屓(ひいき)」という言葉は、日常会話やスポーツ観戦、ビジネスシーンなどでも耳にする言葉です。好意的に使われることもあれば、偏った行動として批判的に用いられることもあります。本記事では「贔屓」の正確な意味、使い方、語源、類語、注意点についてわかりやすく解説します。

1. 贔屓とは何か

1.1 意味

「贔屓」とは、ある人や物事を特別に好んで支援したり、目をかけたりすることを意味します。中立であるべき場面で特定の対象に肩入れするというニュアンスを含むこともあります。

1.2 読み方と漢字の意味

・読み方:ひいき
・漢字の由来:「贔」は力強い、「屓」は支えるという意味があり、強く支援することから「贔屓」となりました。

2. 贔屓の使い方と例文

2.1 ポジティブな使い方

特定の人を応援したり、愛着を持っている様子を表現する場面です。

例:
・私はずっとこの俳優を贔屓にしている。
・この店は味も接客も良いので、つい贔屓してしまう。

2.2 ネガティブな使い方

公平さを欠いた行動として批判的に使われるケースもあります。

例:
・あの先生は特定の生徒を贔屓している。
・審判の判定が贔屓に見える。

2.3 ビジネスシーンでの使用

取引先や顧客との関係で使われることもあります。

例:
・長年のお付き合いなので、今回も贔屓にしていただきたいです。
・御社を贔屓にしてくださってありがとうございます。

3. 類語との違い

3.1 ひいき目

「贔屓目で見る」とは、好意的な先入観で判断することです。感情の影響で客観性を失っている状態を指します。

3.2 偏愛

「偏愛」は一部に偏って強く愛することを意味し、贔屓よりも感情的・情熱的なニュアンスが強いです。

3.3 えこひいき

「えこひいき」は公私混同による不公平な扱いで、明確にマイナスの意味合いがあります。

4. 贔屓の語源と由来

4.1 中国の伝説から

「贔屓」は中国の伝説上の生き物「贔屓(ひき)」に由来します。この生き物は力持ちで、寺の石碑を背負っていたとされます。そこから「力強く支える=応援する」の意味に転じたといわれています。

4.2 江戸時代の商人文化

江戸時代の商取引では、常連客や良くしてくれる顧客を「お贔屓様」と呼び、特別な対応をしていました。

5. 贔屓に関する注意点

5.1 公平性を欠かないように

特定の相手への肩入れが過ぎると、他者からの反感や不信感を招く恐れがあります。職場や公的な場では、特に注意が必要です。

5.2 使い方次第で印象が変わる

贔屓という言葉は、親しみを込めた応援という意味でも使えますが、不公平と取られる場合もあります。場面と相手に応じた言葉選びが大切です。

6. 英語での表現

6.1 favoritism(えこひいき)

例:He was accused of favoritism in the workplace.
(彼は職場でえこひいきをしていると非難された)

6.2 to favor someone(特定の人を好む)

例:The teacher seems to favor some students.
(その先生は一部の生徒を贔屓しているようだ)

6.3 patronage(後援・ひいき)

例:Thank you for your continued patronage.
(いつも贔屓にしていただきありがとうございます)

7. まとめ

「贔屓」とは、特定の人や物に好意を寄せて応援したり支援することを意味します。使い方によってはポジティブにもネガティブにも捉えられるため、状況に応じた使い分けが重要です。語源を知ると、その背景や意味がより深く理解でき、日常のコミュニケーションにも活かすことができます。ビジネスや人間関係においても、「贔屓」という言葉の力を上手に使いこなしていきましょう。

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