「重ね重ね」という表現は、ビジネスメールやかしこまった場面でよく見聞きする言葉です。しかし、日常会話ではあまり使われず、意味や正しい使い方に自信がない方も多いのではないでしょうか。本記事では、「重ね重ね」の正確な意味や用法、類語、例文、使用時の注意点まで詳しく解説します。
1. 「重ね重ね」の基本的な意味
1.1 「重ね重ね」とはどういう言葉か
「重ね重ね（かさねがさね）」とは、「同じことが何度も続くさま」「繰り返して行うさま」「強調して表現するさま」を意味する副詞です。感謝・謝罪・お願い・お詫びなど、丁寧さや真心を表したい場面でよく使われます。
1.2 漢字の構造と意味の強調
「重ね」という語を2回繰り返すことで、意味を強めて表現しています。日本語では同じ言葉を繰り返すことで、感情や状態を強調する用法があります（例：「少しずつ」「時々」「どんどん」など）。
2. 「重ね重ね」の使い方と具体的な例文
2.1 感謝の気持ちを伝える場面
「重ね重ねありがとうございます」「重ね重ね御礼申し上げます」などの表現は、深い感謝を丁寧に伝えるために使われます。
例文：
この度はご丁寧なご対応、重ね重ね感謝申し上げます。
お忙しい中、ご協力いただき、重ね重ねお礼申し上げます。
2.2 お詫びや謝罪の場面
謝罪の場面でも「重ね重ね申し訳ございません」など、深い反省の意を強調するために使われます。
例文：
度重なる不手際により、ご迷惑をおかけし、重ね重ねお詫び申し上げます。
このような結果となり、重ね重ね申し訳なく存じます。
2.3 頼みごとをする場面
すでに何かお願いをしている上で、さらに追加のお願いをするときにも使用されます。
例文：
重ね重ねのお願いで恐縮ですが、再度ご確認をお願いいたします。
重ね重ねとなり恐れ入りますが、日程の再調整をお願い申し上げます。
3. 類語と比較してわかる「重ね重ね」の特徴
3.1 「あらためて」との違い
「あらためて」は、一度言ったことや行ったことを再び別の形で行うことを意味します。対して「重ね重ね」は、すでに行ったことを補強・強調するニュアンスが強くなります。
例：
あらためてご連絡いたします（再度の行動）
重ね重ねありがとうございます（感謝の強調）
3.2 「くれぐれも」との違い
「くれぐれも」は念を押すときに使われる表現で、「重ね重ね」は気持ちを強調する言い回しです。どちらも丁寧な印象を与えますが、使う場面や目的が異なります。
4. ビジネスシーンでの「重ね重ね」の活用方法
4.1 メールでの使用例
ビジネスメールでは定型表現として用いられることが多く、次のような文面に適しています。
例文：
お忙しいところ重ね重ねのお願いとなり恐縮ではございますが、何卒よろしくお願いいたします。
この度は多大なるご支援を賜り、重ね重ね厚く御礼申し上げます。
4.2 スピーチ・挨拶での使用例
結婚式や退職時の挨拶など、感謝の気持ちを丁寧に表現したいときに効果的です。
例文：
本日はご多忙のところお集まりいただき、重ね重ね感謝申し上げます。
長年のご厚情に対し、重ね重ね御礼申し上げます。
5. 使用時の注意点と誤用を避けるポイント
5.1 同じ語の重複に注意
「重ね重ねありがとうございます」を「重ねて重ねてありがとうございます」としてしまうのは不自然でくどい印象になります。語の重複には注意しましょう。
5.2 カジュアルな会話には不向き
「重ね重ね」はやや改まった表現です。フランクな会話やLINE、SNS投稿などには適さない場合もあるため、文脈を選んで使用しましょう。
6. 「重ね重ね」の類似表現とバリエーション
6.1 感謝を強調する表現
深く感謝いたします
誠にありがとうございます
心より御礼申し上げます
6.2 謝罪や恐縮の強調表現
大変申し訳ございません
まことに恐縮ではございますが
心苦しい限りです
これらと「重ね重ね」を組み合わせることで、より丁寧で感情のこもった文章になります。
7. まとめ：「重ね重ね」を丁寧な日本語表現として使いこなす
「重ね重ね」は、同じ気持ちや行動を繰り返して強調することで、感謝・謝罪・お願いなどの気持ちを丁寧に伝えることができる副詞です。使う場面はややフォーマル寄りであり、主にビジネス文書や公式なスピーチなどで活用されます。似た言葉との違いを理解し、誤用を避けることで、洗練された文章表現が実現できます。日本語の敬意や思いやりを伝える手段として、ぜひ活用してみてください。
