ビジネスのやり取りでは、相手の意見や提案に賛成の意を示すことが重要な場面が多々あります。「賛同いたします」という表現は、そのような場面で使える丁寧でフォーマルな言い回しのひとつです。この記事では、「賛同いたします」の意味と使い方、適切なシーン、注意点、そして言い換え表現を紹介します。
1. 「賛同いたします」の基本的な意味
1.1 「賛同」とはどういう意味か
「賛同」とは、他者の意見や考え、提案などに対して、自分もその考えに同意し、支持する気持ちを持つことを指します。ビジネスの場では、特に会議や意見交換の場面で用いられ、自分の立場や組織としての姿勢を明確に伝えるために使われます。
1.2 「賛同いたします」は敬語か
「賛同いたします」は、「賛同する」という動詞に謙譲語「いたす」がついた敬語表現です。相手に対して敬意を示しつつ、自分が同意する姿勢を丁寧に伝える言い回しとして適しています。主にメールや文書、会議の発言など、改まった場面で使われます。
2. ビジネスにおける具体的な使用例
2.1 メールでの使用例
ビジネスメールにおいては、相手の提案や意見に肯定的な立場を示す際に「賛同いたします」が使われます。
例:
「ご提案いただきました新プロジェクトの方針につきまして、全面的に賛同いたします。」
このように、相手の発言を尊重しつつ、自分の意思を丁寧に表現することができます。
2.2 会議での使用例
会議中に誰かの意見に賛成の意を述べたい場合も、「賛同いたします」という表現が使えます。
例:
「○○部長のご意見に賛同いたします。当部署でも同様の課題を抱えており、その対応は有効と考えております。」
単に「賛成です」と言うよりも、フォーマルで落ち着いた印象を与えることができます。
2.3 契約や方針決定の場面
取引先とのやり取りや契約内容の確認においても、相手の提案に合意する意思を丁寧に示すために「賛同いたします」が活用されます。
例:
「新たに提示いただきました条件に賛同いたします。契約書の準備をお願いいたします。」
このような場面では、賛同する内容が明確に伝わるように文脈にも気を配ることが大切です。
3. 使う際の注意点
3.1 「賛同」はあくまで意見への同意
「賛同」は意見や提案に対して用いる言葉であり、単なる事実や報告に対しては使いません。
例:
×「納品日が10日であることに賛同いたします」
〇「納品日を10日とするご提案に賛同いたします」
このように、「賛同」は考えや提案という“意見”に対して用いるのが正しい用法です。
3.2 「同意」との違いに注意
「同意」は法的な合意や取り決めなど、より公式で拘束力のある内容に使われることが多いです。一方「賛同」は感情的・道義的な支持というニュアンスを含みます。
例:
「この方針に同意いたします」=契約や方針への正式な合意
「この考えに賛同いたします」=理念や方向性への支持
状況に応じて、言葉を使い分けることが求められます。
3.3 過剰使用を避ける
あらゆる場面で「賛同いたします」を使いすぎると、自分の意見を持たない印象を与えてしまうことがあります。適切なタイミングで使うことで、説得力と信頼性のあるコミュニケーションが可能になります。
4. 言い換え表現
4.1 丁寧な言い換え
* 「同意いたします」
契約や取り決めの場面で適切。
* 「ご提案に賛成いたします」
より積極的な支持を表したい時に有効。
* 「ご意見に共感いたします」
理念や価値観に対して共鳴していることを示す際に便利。
4.2 カジュアルな表現
社内や親しい関係の中では、少しくだけた表現に言い換えることも可能です。
* 「その意見、いいと思います」
* 「私も同じ考えです」
* 「その案に賛成です」
ただし、相手や場面によっては失礼と受け取られる可能性があるため、TPOを見極めて使うことが大切です。
5. まとめ
「賛同いたします」は、相手の意見や提案に丁寧に同意するための表現として、ビジネスシーンで広く使われています。ただし、「賛同」は意見に対して用いる言葉であり、事実や報告には使わないという点に注意が必要です。また、「同意」「共感」「賛成」などの言葉と使い分けることで、より精度の高い表現が可能になります。状況や相手に応じて言葉を選び、信頼されるコミュニケーションを心がけましょう。