石灰水は化学の授業や実験でよく登場する水溶液の一つで、二酸化炭素の検出や水の硬度調査などに用いられます。透明な液体でありながら、特定の条件下で白濁する性質を持つのが特徴です。本記事では、石灰水の化学式、作り方、性質、代表的な化学反応、実験での利用例や注意点まで詳しく解説します。

1. 石灰水の読み方と化学式

1-1. 読み方

「石灰水」は **せっかいすい** と読みます。

1-2. 化学式

- 石灰水は **水酸化カルシウム水溶液** のことです。 - 化学式で表すと **Ca(OH)₂(aq)** となります。 - 固体の水酸化カルシウムは白色粉末で、Ca(OH)₂ と表記されますが、水に溶かすと石灰水となります。

1-3. 説明

- 石灰水は水酸化カルシウムが水に溶けた飽和水溶液です。 - 水酸化カルシウムは水に溶けにくいため、石灰水は薄い水溶液になります。 - 無色透明ですが、二酸化炭素を通すと白く濁る性質があります。

2. 石灰水の性質

2-1. 外観と溶解性

- 無色透明の液体 - 水に溶けると弱アルカリ性 - Ca(OH)₂ は水に 100 mL あたり約 1.73 g 溶ける程度の溶解度

2-2. pH とアルカリ性

- 石灰水は弱アルカリ性で、pHは約 12 前後 - 水酸化カルシウムが水中で OH⁻ イオンを放出するためアルカリ性

2-3. 特徴的な化学反応

- 二酸化炭素との反応で炭酸カルシウムが生成し、白く濁る - 化学式: Ca(OH)₂(aq) + CO₂(g) → CaCO₃(s) + H₂O(l) - この性質を利用して、CO₂の検出や呼気の二酸化炭素測定にも応用される

3. 石灰水の作り方

3-1. 材料

- 水酸化カルシウム Ca(OH)₂ の粉末 - 蒸留水または水道水

3-2. 手順

1. ビーカーに水を入れる 2. 水酸化カルシウム粉末を少量加える 3. ガラス棒でかき混ぜる 4. 数時間静置し、沈殿を取り除くと透明な石灰水が得られる

3-3. 注意点

- 水酸化カルシウムは強アルカリ性なので、皮膚や目に触れないよう注意 - 飲用不可 - 溶液は長期間保存すると沈殿ができるため、使用前にかき混ぜる

4. 石灰水の化学反応

4-1. 二酸化炭素との反応

- CO₂ を通すと白く濁る - 化学式: Ca(OH)₂ + CO₂ → CaCO₃ ↓ + H₂O - CaCO₃ は白色沈殿で、水に溶けにくい

4-2. 過剰の二酸化炭素との反応

- 二酸化炭素をさらに加えると、CaCO₃ が溶けて炭酸水素カルシウムに変化 - 化学式: CaCO₃ + CO₂ + H₂O → Ca(HCO₃)₂ - このため、濃い二酸化炭素環境下では石灰水が透明になることがある

4-3. 酸との反応

- 酸と反応して中和反応を起こす - 例: HCl(aq) + Ca(OH)₂(aq) → CaCl₂(aq) + H₂O(l) - 石灰水のアルカリ性を利用した酸の定量にも応用される

4-4. 金属イオンとの反応

- 硫酸イオンと反応して硫酸カルシウムが沈殿する - 化学式: Ca(OH)₂(aq) + H₂SO₄(aq) → CaSO₄(s) + 2 H₂O(l)

5. 石灰水の利用例

5-1. 二酸化炭素の検出

- 呼気や燃焼ガスに二酸化炭素が含まれるか確認できる - 白濁反応で簡単に確認可能

5-2. 水の硬度測定

- 水中のカルシウム・マグネシウムイオンの存在を確認 - 水の硬度試験に使用される

5-3. 農業での利用

- 酸性土壌の中和に使用 - pH調整やカルシウム補給に活用

5-4. 工業での利用

- 水処理や排水処理に利用される - 酸性廃液の中和や沈殿除去

5-5. 教育・実験での利用

- 中学・高校の化学実験で CO₂ 検出実験に使用 - 石灰水の白濁反応は、化学反応の理解に役立つ

6. 石灰水の注意点と安全性

6-1. 皮膚・目への刺激

- 水酸化カルシウムはアルカリ性が強いため、触れると刺激や火傷の原因になる - 実験時は手袋・保護メガネを使用

6-2. 飲用不可

- 石灰水は食品添加物として限定的に使用される場合を除き、基本的に飲用不可

6-3. 保存方法

- 空気中の CO₂ で炭酸カルシウムが沈殿し、濁る - 長期間保存せず、使用直前に作るのが望ましい

7. 石灰水のまとめ

石灰水(せっかいすい、Ca(OH)₂(aq))とは、**水酸化カルシウムを水に溶かした水溶液**で、透明な液体ながら二酸化炭素と反応して白く濁る性質を持っています。化学式で表すと Ca(OH)₂ で、弱アルカリ性を示します。主な利用用途は二酸化炭素の検出、水の硬度測定、農業・工業・教育での活用です。作成時や取り扱い時はアルカリ性による刺激に注意が必要で、皮膚や目に触れないよう保護具を使用します。石灰水は化学実験や日常生活、工業分野で幅広く利用され、化学反応の理解に役立つ基本的な試薬の一つです。

おすすめの記事