「花を持たせる(はなをもたせる)」という表現は、日常会話やビジネスシーン、スピーチなどでよく使われる慣用句です。
「今回は彼に花を持たせよう」などと使われますが、具体的にどんな意味なのか、どういう場面で使うのが自然なのかを詳しく解説します。

1. 「花を持たせる」の意味

「花を持たせる」とは、相手に名誉や功績を譲って立ててあげることを意味します。
つまり、実際には自分が活躍したり貢献したりしていても、相手を引き立てるために功績をゆずるような振る舞いを指します。

この表現は、「功績を立てさせる」「主役にしてあげる」というポジティブな意味で使われることが多く、相手への気配りや思いやりを示す日本的な言い回しです。

  • 例文1:今回は後輩に花を持たせよう。
  • 例文2:彼の努力を称えて、花を持たせた。
  • 例文3:上司があえて部下に花を持たせた。

2. 「花を持たせる」の由来

「花を持たせる」の「花」は、古くから栄誉・美しさ・誇りの象徴として使われてきました。
たとえば「花形(はながた)」「花道(はなみち)」「名花(めいか)」なども、同じように「注目を浴びる存在」や「輝かしい立場」を表します。

したがって、「花を持たせる」とは、人に栄誉という“花”を持たせる=名誉を与えるという意味から生まれた表現です。

3. 「花を持たせる」の使い方

この表現は、主に対人関係の中で相手を立てる文脈で使われます。特に、ビジネスや組織の場面では上司・先輩・後輩・同僚との関係においてよく使われます。

3-1. ビジネスでの例

  • プレゼンの発表は、若手社員に花を持たせよう。
  • 今回は功労者である部下に花を持たせた。
  • あえてクライアントに花を持たせる形で締めくくった。

このように、チームや取引先などの関係性を円滑にするために「花を持たせる」は効果的な表現です。

3-2. 日常会話での例

  • 試合ではあえて弟に花を持たせた。
  • 彼女の誕生日だから、今日は花を持たせてあげたい。

このように、友情や恋愛関係などでも、相手を立ててあげる場面で自然に使えます。

4. 「花を持たせる」の類語・言い換え表現

同じような意味を持つ表現はいくつかあります。状況に応じて言い換えると、文章がより豊かになります。

類語 意味 使用例
功績を譲る 自分の成果を相手に譲る 部下に功績を譲った。
立てる 相手を敬意をもって引き立てる 取引先を立てる発言をする。
顔を立てる 相手の名誉を傷つけないようにする 彼の顔を立てるために発言を控えた。
功を譲る 手柄を他人に与える 上司があえて部下に功を譲った。
場を譲る 主役の立場を他人に与える 若者に場を譲った。

5. 「花を持たせる」と混同しやすい表現

似た言葉に「鼻を持たせる」がありますが、意味が異なります。

表現 意味 ニュアンス
花を持たせる 名誉や功績を譲って相手を立てる 相手を称える・尊重する
鼻を持たせる 得意にさせる・自尊心をくすぐる やや軽い・自慢させる

どちらも「相手を良い気分にさせる」という点では似ていますが、「花を持たせる」はより敬意と配慮を含むフォーマルな表現です。

6. 「花を持たせる」の英語表現

英語では、直訳できる単語はありませんが、意味を伝えるには以下のような言い回しが使えます。

  • Let someone take the credit(功績を人に譲る)
  • Give someone the honor(名誉を与える)
  • Put someone in the spotlight(主役にする)

例文:
He let his junior take the credit for the project.(彼はそのプロジェクトの功績を後輩に譲った。)

7. まとめ

「花を持たせる」とは、相手に名誉・功績・主役の立場を譲って立てることを意味する日本の慣用句です。
ビジネスや人間関係の場面で、相手への敬意や気遣いを表現する言葉として非常に便利です。
謙虚さと配慮を兼ね備えた日本語らしい美しい表現といえるでしょう。

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