「おもんばかる」という言葉は、日常ではあまり頻繁に使われませんが、ビジネス文書や小説などではよく見かけます。「相手の気持ちをおもんばかる」「事情をおもんばかって判断する」といった形で使われますが、やや古風で上品な響きを持つ表現です。この記事では、「おもんばかる」の意味、語源、使い方、そして類語との違いをわかりやすく解説します。
1. おもんばかるとは?意味を詳しく解説
おもんばかるとは、「相手の立場や気持ち、状況などをよく考えて配慮する」という意味の動詞です。
単に「考える」とは違い、「思いやり」や「慎重な判断」というニュアンスを含みます。
例:
・相手の気持ちをおもんばかる。
・部下の努力をおもんばかって評価する。
・彼の立場をおもんばかって、今回は注意にとどめた。
つまり、「おもんばかる」は、相手や状況を深く理解しようとする思慮深い行動を表す言葉です。
1-1. 読み方と品詞
「おもんばかる」は平仮名で書かれることが多く、漢字で書く場合は「思量る」と表記されます(ただし非常にまれ)。
動詞であり、活用は「おもんばかります」「おもんばかって」「おもんばかること」などの形を取ります。
1-2. ニュアンス
おもんばかるには、「深く考える」「慎重に推測する」「相手に配慮する」といった柔らかく丁寧な響きがあります。
ビジネスやフォーマルな場面で、「思う」「考える」よりも敬意をもって伝えたいときに使われます。
2. おもんばかるの語源
語源は古語「おもんぱかる」に由来します。
「おもん(思ふ)」と「はかる(計る)」が組み合わさった言葉で、「心で測る」「心の内を見積もる」という意味を持っていました。
つまり、相手の心情や状況を「自分の心で測る(想像・配慮する)」というのが、本来の意味です。
この語源からも、「おもんばかる」が単なる思考ではなく、「思いやりに基づいた考慮」を意味することがわかります。
3. おもんばかるの使い方と例文
3-1. 日常会話での例文
・彼の気持ちをおもんばかって、何も言わなかった。
・親の立場をおもんばかれば、反対するのも理解できる。
・相手の事情をおもんばかることが大切だ。
3-2. ビジネスでの例文
・お客様の状況をおもんばかり、柔軟に対応いたします。
・上司の意図をおもんばかって行動するのも社会人として必要だ。
・相手企業の立場をおもんばかって提案内容を調整する。
このように、「おもんばかる」は相手への配慮や尊重を表す言葉として、ビジネスでも適切に使うことができます。
3-3. 文学的な使い方
・彼女の沈黙には、言葉にできない悲しみがあるとおもんばかった。
・春の夜の静けさに、作者の孤独をおもんばかる。
・歴史の中で苦しんだ人々の心をおもんばかる。
文学や評論の文体では、感情や情景に深みを与える表現として使われます。
4. おもんばかるの類語と違い
4-1. 思いやるとの違い
「思いやる」は、感情的な優しさや共感を重視する言葉です。
一方、「おもんばかる」は、感情だけでなく理性的・慎重な判断を含みます。
例:
・彼の気持ちを思いやる(優しさを示す)
・彼の状況をおもんばかる(冷静に配慮して考える)
4-2. 慮る(おもんぱかる)との違い
「おもんばかる」と「おもんぱかる」は、ほぼ同じ意味で使われます。
もともとは「おもんぱかる」が古語であり、「おもんばかる」はその現代的な形です。
どちらも「深く考える」「配慮する」という意味で使われますが、現代日本語では「おもんばかる」が一般的です。
4-3. 推察・斟酌との違い
・推察(すいさつ):状況や情報から客観的に推し量ること。
・斟酌(しんしゃく):相手の立場を考慮して行動を控えること。
「おもんばかる」はその中間的な表現で、理性的な配慮と感情的な思いやりの両方を含みます。
5. 英語での「おもんばかる」表現
英語では、状況や文脈に応じて次のような表現が使われます。
・consider(考慮する)
・take into account(考慮に入れる)
・be considerate of(配慮する)
・think about someone’s feelings(相手の気持ちを考える)
例文:
・We should consider his situation carefully.(彼の状況をよくおもんばかるべきだ。)
・She is always considerate of others.(彼女はいつも他人に配慮している。)
6. おもんばかるの使い方のポイント
6-1. 目上の人にも使える丁寧な言葉
「おもんばかる」は上品で柔らかい言葉なので、ビジネスや目上の人に対しても安心して使えます。
「〜をおもんばかり、〜いたしました」などとすると、敬意を込めた丁寧な表現になります。
6-2. 感情を抑えた上品な表現
感情的にならず、落ち着いた印象を与えるため、公式文書やあいさつ文でも使われます。
たとえば「皆さまのご事情をおもんばかり、慎重に判断いたしました」といった使い方が一般的です。
7. まとめ
おもんばかるとは、相手の立場や気持ち、状況をよく考え、思いやりをもって配慮することを意味します。
「思いやる」よりも理性的で、「考慮する」よりも感情的な温かさを含む言葉です。
ビジネスでも日常でも、相手をおもんばかる姿勢は信頼関係を築くうえで欠かせません。
