人を呼ぶ「名前」とは少し違う「呼名(よびな)」。学校や古典、日常会話でも使われますが、意味や歴史的背景を正しく理解して使えているでしょうか。この記事では「呼名」の定義・語源・使い方・類語などを詳しく解説します。

1. 呼名の基本的な意味と読み方

1.1 呼名の読み方

「呼名」は「こめい」または「よびな」と読みます。辞書・文脈に応じてどちらの読みが適切か判断されます。
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1.2 呼名の主な意味

「呼名」は以下のような意味があります。
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名前を呼ぶこと。「点呼」「呼名点呼」のように、呼び上げる行為としての意味。
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呼び名、通称、仮名など、実名以外で他と区別するために人や物を呼ぶ名前。
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特に古典において、宮廷の女房や貴族などが、本名とは別に使われた名前。
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2. 呼名が使われる場面・文脈

2.1 学校・点呼での呼名

学校などで生徒を一人ずつ名前を呼び上げる「呼名点呼」のような状況で使われます。呼び上げられる名前としての意味です。
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2.2 古典文学・歴史的文脈での使用

平安時代以降、宮中の女房や貴族には実名とは別に「呼名」が用いられることがあり、「清少納言」「源氏名」などがそれにあたります。
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2.3 日常会話・通称としての呼名

ニックネーム・通り名・略称など、本名ではない名前を呼び名として使う場面があります。友人間での呼び方などが典型です。呼名はこのような非公式な名前として機能します。
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3. 呼名と類似語・関連語の違い

3.1 呼名とあだ名(渾名・綽名)の違い

「あだ名(渾名・綽名)」は、容姿や性格・特徴などから他者がつける呼び名で、親しみや愛着、場合によってはからかいの意味合いを含みます。呼名はそれに近いが、より広く「呼び上げる名前・通称」の意味を持ち、必ずしも特徴からつけられるとは限らない点であだ名とは異なります。
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3.2 呼名と通称・仮名・源氏名などとの関係

通称:実際には本名ではないものの、社会的に広く使われる名前。呼名がその一形態と言える。
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仮名:正式な場面で本名を避けるためなどに使われる別名。呼名と重なる部分がある。
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源氏名:特定の職業や文脈(歌舞伎、芸妓など)で使われる名前であり、呼名の歴史的・文化的な特殊例として理解できる。
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4. 呼名の語源・歴史

4.1 呼名の語源的背景

「呼名」は「呼ぶ名」の意。名前を呼びあげる際の「名」による呼びかけという意味合いから派生しています。古語・古典における「呼び名」「仮名」などの用法と関連しています。
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4.2 日本の歴史における呼名の役割

古代・中世から、「呼び名」は本名や実名と別に、仮名・通称・通り名として社会的な地位・役割を示すことがありました。たとえば、貴族や武家などが実名を避け、呼名・通称で呼び合う慣習があったことが文献から分かります。
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5. 呼名を使った例文

5.1 学校・公式な点呼の場面

「教室で先生が一人ずつ呼名をして出席を取る。」

「点呼の際に呼名を聞き漏らすことのないよう注意した。」

5.2 通称・呼び名として日常で使う場面

「彼の呼名は“タケ”だが、本名とは少し違う。」

「この町ではあの人は『おばちゃん』という呼名で呼ばれている。」

5.3 古典・歴史的文脈での例文

「清少納言の呼名は、妹などから慕われていた。」

「武士の通称としての呼名が家名以上に知られていた者も多い。」

6. 呼名を使う際の注意点

6.1 相手の呼ばれ方・尊重を意識すること

呼名は通称やあだ名に重なることがありますが、人によっては嫌がる呼び名もあります。呼名を使う際には、相手の意図・感情を尊重することが重要です。

6.2 書き言葉・話し言葉での使い分け

公式な文書や公的な場面では、呼名ではなく本名・正式名称を使うことが一般的です。話し言葉や親しい関係では呼名が使われても問題ないことが多いですが、誤解や非礼と受け取られないよう注意が必要です。

7. 呼名の類語・言い換え表現

7.1 類語一覧

呼称(こしょう) — 名をつけて呼ぶこと、呼び名としての名称。
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呼び名(よびな) — 呼び名そのもの。
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あだ名(あだな・渾名・綽名) — 特徴から付けられる別名。親しみやからかいの意が含まれることも。
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通称 — 本名ではないが公式でない形で広く使われている名前。
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7.2 適切な言い換え例

「呼名を用いる」 → 「呼び名を使う」

「公式な呼名」 → 「通称」または「名称」

「あだ名の呼名」 → 「親しい間柄のあだ名」など

8. 英語での表現例

8.1 英語で「呼名」に近い表現

以下のような言葉が「呼名」のニュアンスを伝える際によく使われます:

name called

nickname

appellation

alias

8.2 英語例文

They called the student by his呼名 every morning.(毎朝、生徒を呼名で呼んだ。)

She prefers to use her alias rather than her legal name.(彼女は本名よりも呼名を使うことを好む。)

His nickname has become his most recognized appellation.(彼のあだ名がもっとも知られる呼名となっている。)

9. まとめ:呼名の理解と適切な使い方

呼名とは、本名以外で人/物を識別する名前や呼び上げる名前を指す言葉です。「呼び名」「通称」「仮名」「あだ名」などと重なる部分がありつつ、文脈に応じて正式か非公式か、あるいは歴史的か現代的かで使い分けられます。読み方も「こめい」「よびな」があり、意味を誤らないよう意識して使うことが大切です。

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