「今後も励んで参ります」「精進して参ります」というフレーズは、ビジネスメールや挨拶文、自己紹介でよく見られる表現です。丁寧で前向きな印象を与える一方で、使いどころや意味を正しく理解していないと、かえって不自然に響いてしまうこともあります。この記事では、「励んで参ります」の意味、正しい使い方、言い換え例、活用シーンをわかりやすく解説します。
1. 「励んで参ります」の意味と構成
「励んで参ります」は、「これからも努力し続けます」という意思表明を、丁寧な敬語で表した表現です。
1.1 言葉の構成と文法
- 「励む」…努力する、熱心に取り組むという意味の動詞
- 「参る」…「行く・来る」の謙譲語で、自分の行動をへりくだって表現する
- 「〜て参ります」…今後に向けた継続的な行動を、丁寧に表す言い回し
したがって、「励んで参ります」は「(自分は)今後も努力していくつもりです」という意味を、丁寧かつ謙虚に伝える表現となります。
2. 「励んで参ります」はどんな場面で使う?
この表現は主に、決意や姿勢を伝える場面で使われます。自分の意志をへりくだった形で伝えるため、目上の相手にも安心して使うことができます。
2.1 自己紹介・異動の挨拶
例:
「新たな部署でも、日々精進し、業務に励んで参りますので、何卒よろしくお願いいたします。」
2.2 内定・採用後の挨拶
例:
「このたびは内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。今後は社会人として自覚を持ち、一層励んで参る所存です。」
2.3 年始の挨拶・決意表明
例:
「本年も引き続き、技術の研鑽に励んで参ります。変わらぬご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。」
3. 「励んで参ります」の言い換え表現
状況に応じて、言い換え表現を使い分けることで、文章の印象が豊かになります。
3.1 「精進して参ります」
「精進」は「励む」よりもやや格式の高い語で、ビジネスやフォーマルな場で広く使われます。
例:
「初心を忘れず、今後も精進して参ります。」
3.2 「努めて参ります」
「努める」は「努力する」の意味を持ち、具体的な仕事や役割に対して使われることが多い表現です。
例:
「お客様のご期待に応えられるよう、今後も誠心誠意努めて参ります。」
3.3 「引き続き努力して参ります」
「努力する」という言葉を使いたい場合には、やややわらかい印象のこちらの表現も有効です。
例:
「これからも現場の声を大切にしながら、引き続き努力して参ります。」
4. ビジネスメールや手紙での例文
4.1 異動・転勤の挨拶メール
件名:異動のご挨拶
本文:
〇〇様
平素より大変お世話になっております。
このたび、〇〇部へ異動となりましたことをご報告申し上げます。
新天地でも初心を忘れず、引き続き励んで参りますので、今後ともご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
4.2 年始の挨拶状
拝啓 新春の候、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
本年も一層、責任ある行動を心がけ、業務に励んで参る所存です。
何卒変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
敬具
4.3 採用内定後の返信メール
件名:内定のお礼
本文:
〇〇株式会社 人事部 〇〇様
このたびは内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。
貴社の一員としての責任を胸に刻み、入社までの期間も自己研鑽に励んで参ります。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
5. 「励んで参ります」を使うときの注意点
5.1 自分の行動に対してのみ使う
「励んで参ります」は自分の行動や姿勢をへりくだって伝える表現であり、他人の行動には使えません。
例:
×「部下が励んで参ります」
〇「私自身、部下と共に努力して参ります」
5.2 「参る」は謙譲語なので丁寧に
「参ります」は謙譲語なので、「行きます」と同じ使い方をしてしまうと違和感を生じる場合があります。動作の主体が自分であることを明確に意識して使いましょう。
5.3 多用すると堅苦しい印象に
「励んで参ります」を文章中で何度も使うと堅苦しさが目立つため、「努めて参ります」や「引き続き努力します」などとバランスよく使い分けましょう。
6. まとめ
「励んで参ります」は、自らの努力や姿勢を丁寧に伝えることができる謙譲表現であり、ビジネスやフォーマルな場において非常に使い勝手のよい敬語です。ただし、場面に応じた言い換えや使い分け、適切な文脈での使用が求められます。決意や感謝の気持ちを相手に正しく伝えるためにも、文章全体のバランスを意識して使うことが大切です。