「お見捨ておきください」という表現を聞いたことはありますか?古典的な言い回しのように感じられるこの言葉は、丁寧さやへりくだりの気持ちを伝える表現のひとつです。本記事では、「お見捨ておきください」の意味や語源、現代での使い方、ビジネスシーンでの応用法や類語表現まで詳しく解説します。
1. 「お見捨ておきください」とは?
1.1 言葉の意味
「お見捨ておきください」とは、「どうか私を見捨てないでください」という意味を持つ表現です。相手に対して謙遜とお願いの気持ちを込めて、自分との関係を断たないようにお願いする際に用いられます。
1.2 古典的な言い回し
この表現は現代語というよりも、古典的・文語的なニュアンスを持っています。現代ではあまり日常会話で使われることはありませんが、丁寧な文章や、あえて格式をもたせたい場面で目にすることがあります。
2. 「お見捨ておきください」の語源と文法構造
2.1 敬語+補助動詞の組み合わせ
- 「お見捨て」:動詞「見捨てる」の尊敬語的な形。 - 「おき」:補助動詞「置く」の連用形。 - 「ください」:依頼の表現。
このように、尊敬語+補助動詞+依頼表現の形をとることで、へりくだったお願いを成立させています。
2.2 古語との関係性
日本語の古語では、「お見捨てなきようお願い申し上げます」や「見捨て給うな」といった表現が見られます。「お見捨ておきください」は、現代語に近づけた丁寧語風の造語的用法とも言えるでしょう。
3. 「お見捨ておきください」の現代での使い方
3.1 ネット上や創作、脚本での使用
現代の日常会話ではあまり使われませんが、小説・漫画・アニメ・時代劇など、やや格式高い場面や感情表現の強い場面で使われることがあります。
例:
「このような身ではございますが、どうかお見捨ておきくださいませ…」
「長きにわたりご愛顧いただきましたが、今後ともお見捨ておきくださいますよう。」
3.2 丁寧なメールや手紙での活用例
少し格式を持たせたい場面や、長く付き合っているお客様・相手への文章で使うと、印象的かつ丁寧になります。
例:
「今後ともお見捨ておきくださいますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。」
「不徳の致すところではございますが、どうかお見捨ておきくださりませぬよう…」
4. ビジネス・フォーマルシーンでの応用例
4.1 退職・異動時のメール文
--- 平素より大変お世話になっております。 私事ではございますが、このたび一身上の都合により退職する運びとなりました。 在職中はひとかたならぬご高配を賜り、誠にありがとうございました。 今後ともどうかお見捨ておきくださいますよう、お願い申し上げます。 ---
4.2 長期離脱・活動休止などの挨拶
--- しばらく現場を離れることになりますが、またお会いできる日を心待ちにしております。 何卒お見捨ておきくださいますよう、お願い申し上げます。 ---
4.3 顧客・取引先向けフォロー文
--- これまでご愛顧いただきましたこと、心より感謝申し上げます。 至らぬ点も多々ございましたが、今後とも変わらぬご支援を賜りたく、どうかお見捨ておきくださいますようお願い申し上げます。 ---
5. 類語・言い換え表現
5.1 「お見捨ておきください」の柔らかい言い換え
- 今後ともよろしくお願い申し上げます - 引き続きご厚誼(こうぎ)を賜りますようお願い申し上げます - 末永くお付き合いくださいますよう、お願い申し上げます - 見放さず、今後ともご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます
5.2 より現代的・フォーマルな表現にする場合
- 「変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます」 - 「今後とも変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます」
6. 誤用・注意点
6.1 日常会話では使いにくい
「お見捨ておきください」は、文語・書き言葉に近く、日常会話で使うとやや大げさに聞こえる場合があります。カジュアルな会話では、「またよろしくね」や「これからもよろしくお願いします」などの表現が適しています。
6.2 意味が伝わらない場合もある
若い世代や日本語に不慣れな相手にとっては、「お見捨ておきください」の意味がわかりづらい可能性があります。その場合は、補足説明を添えるか、平易な表現に切り替える配慮が必要です。
7. まとめ:「お見捨ておきください」は丁寧なへりくだりの言葉
「お見捨ておきください」は、相手への尊敬と自分の謙遜の気持ちを丁寧に表す古風な表現です。現代のビジネス文書や創作表現においても、使い方を間違えなければ非常に効果的な一言になります。状況に応じた言い換えや使い分けを覚えておくと、言葉の幅が広がり、より洗練された日本語を使いこなせるようになるでしょう。