「申し伝えてください」は、ビジネスシーンやフォーマルな場面で使われる敬語表現の一つです。しかし、適切な場面で正しく使用しなければ、相手に失礼になってしまうこともあります。この記事では、「申し伝えてください」の意味や使い方、類似表現との違い、適切な使用例などを詳しく解説し、正しい敬語の使い方を身につけるためのポイントを紹介します。
1. 「申し伝えてください」の基本的な意味
「申し伝えてください」とは?
「申し伝えてください」は、「伝えてください」を丁寧にした表現であり、特に目上の人やお客様に対して使用する敬語です。「申し伝える」は「伝える」の謙譲語であり、自分や自分側の人間が何かを伝える際に使います。
敬語としての正しい使い方
この表現は、上司や取引先、お客様など、目上の人に対して、第三者へ何かを伝えるよう依頼するときに適切です。ただし、より丁寧な表現や他の敬語との違いも理解しておくと、より適切に使用できます。
2. 「申し伝えてください」の使い方と例文
ビジネスシーンでの使用例
「申し伝えてください」は、ビジネスシーンにおいて、相手に対して何かを伝えてもらうよう依頼するときに使われる表現です。特に、電話対応や来客対応、メールでのやり取りなど、間接的に情報を伝達する必要がある場面でよく使用されます。社内の上司や取引先の担当者に対して、第三者へ伝言をお願いする際に活用すると、適度な敬意を表しながらスムーズなコミュニケーションを取ることができます。
例えば、電話対応の際には、直接相手と話せなかった場合に、秘書や同僚を通じてメッセージを伝えてもらうことがよくあります。そのような場合に、「申し伝えてください」を使うことで、フォーマルで丁寧な印象を与えることができます。また、メールでのやり取りにおいても、社外の関係者に対して依頼事項を伝える際に活用できる表現です。
例文:
・「部長に、本日の会議の開始時間が変更になったことを申し伝えてください。」
・「お忙しいところ恐縮ですが、先日の案件についてご検討いただきたい旨を申し伝えてください。」
・「田中様に、弊社の新しいサービスの詳細について、お伝えいただくよう申し伝えていただけますでしょうか。」
・「〇〇の件につきまして、必要があればご対応いただくよう申し伝えていただけますと幸いです。」
このように、さまざまな状況において「申し伝えてください」を活用することができます。
目上の人に使う場合の注意点
「申し伝えてください」は敬語の一種ではありますが、使用する相手の立場や状況によっては、より丁寧な表現を選択するほうが適切な場合があります。特に、目上の人や重要な取引先に対して依頼をする際には、直接的な表現よりも、より柔らかく配慮のある言い回しを選ぶことが望ましいでしょう。
例えば、「お伝えいただけますでしょうか」「お取り次ぎいただけますでしょうか」といった表現を使うことで、より丁寧かつ柔和な印象を与えることができます。これは、相手に対して直接依頼をする場合だけでなく、仲介者を通じて伝言を依頼する際にも有効です。
例:
・「恐れ入りますが、〇〇様にこの件をお伝えいただけますでしょうか。」
・「お手数をおかけしますが、△△部長に本日のスケジュール変更についてお取り次ぎいただけますでしょうか。」
・「恐縮ですが、○○様にこの内容を共有いただけますと幸いです。」
このように、相手の立場や状況に応じて言葉遣いを調整することで、より円滑なコミュニケーションを図ることができます。
3. 「申し伝えてください」と類似表現の違い
「お伝えください」との違い
「お伝えください」は、「伝える」の尊敬語であり、目上の人の行動を敬う表現です。一方、「申し伝えてください」は謙譲語のため、話し手がへりくだるニュアンスを持っています。
使い分けの例:
・「社長に、こちらの資料をご確認いただけるよう、お伝えください。」(尊敬語)
・「社長に、私の意向を申し伝えてください。」(謙譲語)
「伝えてください」との違い
「伝えてください」は、フラットな表現であり、敬語としては不十分です。目上の人やビジネスシーンでは「申し伝えてください」や「お伝えください」を使うほうが適切です。
比較例:
・「田中さんに、会議の時間変更を伝えてください。」(カジュアル)
・「田中部長に、会議の時間変更を申し伝えてください。」(丁寧)
4. 「申し伝えてください」を適切に使うためのポイント
使う場面を意識する
「申し伝えてください」は、社内の目上の人に対してや、取引先・お客様に対して第三者に何かを伝えるよう依頼する場合に適しています。しかし、さらに丁寧な表現を使うべき場面もあるため、状況に応じた使い分けを意識しましょう。
さらに丁寧な言い換え表現
「申し伝えてください」よりもさらに丁寧な表現として、以下のような言い方もあります。
例:
・「恐れ入りますが、お伝えいただけますでしょうか。」
・「ご迷惑でなければ、お取り次ぎいただけますでしょうか。」
ビジネスシーンでは、より柔らかく丁寧な表現を選ぶことで、相手に良い印象を与えることができます。
5. 「申し伝えてください」をメールで使う場合
メールでの適切な例文
メールでは、口頭よりもさらに丁寧な表現を用いることが一般的です。「申し伝えてください」は、やや直接的な表現になるため、より丁寧な言い回しを検討するのが望ましいです。
メール例文:
件名: 打ち合わせ日程のご調整について
〇〇株式会社
△△様
お世話になっております。
本日、ご調整いただいている打ち合わせの日程について、弊社の担当者に申し伝えておきますので、何卒よろしくお願いいたします。
また、変更等がございましたら、お知らせいただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
このように、メールでは「申し伝えておきます」という表現を用いることで、よりスムーズなやり取りが可能になります。
6. まとめ
「申し伝えてください」は、敬語として適切に使うことで、相手に丁寧な印象を与えることができます。ただし、場面によっては「お伝えください」や「お取り次ぎください」といった別の敬語表現を使うほうが適切な場合もあります。ビジネスシーンやフォーマルな場面では、敬語の使い分けを意識し、適切な表現を選ぶことが重要です。