「諸々承知しました」は、相手から示された複数の要件や内容をまとめて把握したことを伝える敬語表現です。ビジネスメールやチャットなどでのやり取りはもちろん、会議や打ち合わせの場面でも使われる機会があります。しかし、「諸々」という言葉にはやや口語的・カジュアルなニュアンスも含まれるため、相手との関係性や状況によっては、もう少し丁寧度を高めた表現に言い換える必要があるかもしれません。ここでは、「諸々承知しました」の正しい意味や使いかた、注意点、そして言い換えの例文を詳しく紹介します。
「諸々承知しました」の意味と使い方
意味
「諸々承知しました」とは、「いろいろな内容をまとめて把握しました」「いただいた情報をすべて理解しました」という意味を持つフレーズです。相手から複数の指示や変更点、依頼事項などが伝えられたときに、それらすべてを認識し、了解したことをシンプルに伝えられます。「諸々」には「あれこれ」「種々さまざま」という意味合いが含まれており、相手の指示や連絡をすべて網羅したというニュアンスを強調できます。
使う場面
- 上司や取引先から、複数の指示や連絡事項を一度に受け取ったとき
- プロジェクトの要件が細かく、多岐にわたる場合
- 相手が列挙した多数の変更点やタスクをすべて確認できた場合
- 社内外を問わず、メールやチャット、口頭で複数の要望を聞いたとき
「諸々承知しました」という返事だけで、「相手が書いた内容を全部理解している」ことを示すため、ビジネスで便利に使える表現です。
使用上の注意点
1. 「諸々」は口語的・カジュアル寄り
「諸々」という言葉は、敬語表現としては完全に硬い言葉ではなく、ややカジュアルなニュアンスも帯びています。特に取引先や目上の人に対して使う場合は、相手の好みや企業文化を考慮したほうがよいかもしれません。「承知いたしました」「かしこまりました」に言い換えると、フォーマル度を高められます。
2. 後続の文を加えると丁寧
「諸々承知しました」だけだと、どうしても一言で済ませる印象を与えることがあります。そのため、何を具体的に理解したのか、次にどんな行動を取るのかを添えると、より誠実さが伝わります。
例「諸々承知しました。いただいた変更点を踏まえ、早速資料を修正し、明日中に再送いたします。」
3. 過度に多用しない
連絡事項が多いときにすべて「諸々承知しました」で返事していると、ややマンネリ化する恐れがあります。特に何度もやり取りを重ねる場面では、「いただいた内容を全て把握しました」「かしこまりました。次の工程に進みますね」など、バリエーションを持たせると相手も読みやすいでしょう。
「諸々承知しました」を使った例文
例文1: メールでのシンプルな返答
「ご連絡ありがとうございます。諸々承知しました。すべて確認の上、対応を進めてまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。」
- 相手が複数の資料や要望を提示してきたケースで、メールで返事をするときの例
- 「すべて確認の上、対応を進める」という後続の一文を加えて、今後の方針を示す
例文2: 口頭での確認
「A案の変更点とBのスケジュール調整、Cの追加資料の件、諸々承知しました。早速チーム内に周知して動きますね。」
- 会議や打ち合わせなどで複数事項を説明されたときの口頭返答
- 相手が列挙した内容を簡潔に繰り返して「諸々承知しました」と返すと、理解度をアピールしやすい
例文3: チャットツールでの報告
「ご指示いただいたデザイン修正と、納期の再調整について諸々承知しました。各担当に共有して、明日朝までにスケジュールを更新いたします。」
- SlackやTeamsなどでのやり取りを想定
- 「各担当に共有し、スケジュールを更新する」という次の行動を示すことで、受け身の印象を与えない
「諸々承知しました」の言い換え表現
1. 承知いたしました
「諸々」を省略して、ビジネスで定番の「承知いたしました」にまとめると、よりフォーマルかつシンプルです。相手に伝える内容が短いほど印象もさっぱりとします。
例「ご指示ありがとうございます。承知いたしました。早速、次の手順に進みますね。」
2. かしこまりました
「かしこまりました」は、接客業や上司への回答などでよく使われる敬語です。「了解いたしました」よりも丁寧な印象を与え、目上の人にも使いやすい表現です。
例「内容、すべて確認いたしました。かしこまりました。それでは、企画書を修正し次第ご連絡いたします。」
3. 了解いたしました
「了解」は状況によってはカジュアルに感じられますが、「いたしました」を伴うことで、一定の丁寧さを保てます。社内でのやり取りや、フランクなコミュニケーションの場では十分通用する表現です。
例「ご要望の点、了解いたしました。今週中には対応できるよう手配いたします。」
4. 全て承知しております
「諸々」を使わずに「全て承知しております」と伝えることで、すべて確認済みであることを強調できます。少しだけ強めの自信を示すニュアンスがあり、「抜け漏れはない」と強調したいときに便利です。
例「案件内容は全て承知しております。万が一不明点が出ましたら、改めてご相談させていただきます。」
5. ご連絡いただいた事項は、しっかり把握しました
さらに柔らかく、相手の連絡に対してお礼を伝えつつ、理解していることを示す表現です。「しっかり把握しました」というフレーズで、注意深く読み込んだことをアピールできます。
例「ご連絡いただいた事項は、しっかり把握しました。早速作業に取りかかり、進捗を追ってご報告いたします。」
場合別の使い分け
1. 上司や取引先など、目上の人に対して
「諸々承知しました」だとややカジュアルになる可能性もあります。敬意を示したい場合は「承知いたしました」や「かしこまりました」が無難です。後続の文で対応や方針を示すと、より誠実な印象を与えられます。
例「たくさんのご要望をありがとうございます。すべて承知いたしました。迅速に各担当へ展開し、進捗を管理してまいります。」
2. 同僚や後輩とのフランクなやり取り
「諸々承知しました」や「了解いたしました」など、少しラフな表現を混ぜても失礼になりにくい場面です。ただし、社内の雰囲気によっては「かしこまりました」を用いるほどではないが、「承知しました」では硬すぎるというシチュエーションもあるので、社風や相手の好みに合わせて使い分けましょう。
例「OK、諸々承知しました。こっちはデザイン案を調整しておくので、そっちも開発環境の準備お願いします。」
3. 口頭・チャットツールなど素早いレスポンスが必要な場面
メールよりも会話やリアルタイムのチャットがメインとなる場面では、表現が多少省略されやすいです。それでもビジネスであることを忘れず、最低限の丁寧さを維持するのが好ましいでしょう。
例「(チャットで)ありがとうございます。諸々承知しました。こちらで手配しておきますので、何かあればご連絡ください。」
まとめ
「諸々承知しました」は、相手からの複数の要望や連絡事項を一度に理解・把握したことを伝えられる便利なフレーズです。ただし、「諸々」という言葉は少し砕けた印象を与える場合もあり、よりフォーマルな場面では「承知いたしました」や「かしこまりました」などの言い換えが適しています。
1. 何を把握したのかを具体的に示す
2. 後続の文で今後の行動や対応予定を伝える
3. 場面・相手に応じて、フォーマル度を調整する
これらを意識することで、やり取りがスムーズになり、相手にも誠意と信頼感を与えられます。相手に応じた表現を使いこなし、快いビジネスコミュニケーションを実現してみてください。