「未だに(いまだに)」という言葉は、日常会話でも文章でもよく使われる表現です。「未だに覚えている」「未だに終わらない」などのように、ある状態や出来事が今になっても続いていることを表します。この記事では、「未だに」の意味や使い方、似た表現との違い、例文を交えて詳しく解説します。

1. 「未だに」とはどういう意味か

「未だに」とは、ある事柄が今の時点まで続いている、もしくはまだ解決していないことを表す副詞。
特に、「そろそろ終わっていてもおかしくないのに、まだ続いている」というニュアンスを含む。

例:

  • 未だに雨が降り続いている。
  • 未だにその事件は解決していない。
  • 未だに彼の言葉を思い出す。

→ 「まだ」という言葉よりも時間の長さや意外性を強調する表現である。

2. 「未だに」の語源・成り立ち

「未だに」は、漢字の「未(いまだ)」に由来する。

  • 未:まだその状態になっていないこと。
  • に:助詞で、状態を示す。

つまり、「未だに」は「今になってもまだそうである」という意味を強調した表現であり、古語の「いまだ〜ず(まだ〜していない)」から発展した。

3. 「未だに」の使い方

「未だに」は主に次のような文脈で使われる。

3-1. 否定文で使う場合(最も一般的)

否定表現とともに使い、「まだ〜していない」「いまだに〜されていない」という形を取る。

例:

  • 未だに返事が来ない。
  • 未だに問題が解決していない。
  • 未だにその曲が流行っている。

→ 「まだ〜していない」よりも、長い時間が経っているのにという驚きや不満を含む。

3-2. 肯定文で使う場合

肯定文で使うと、「今でも変わらず〜している」という意味になる。

例:

  • 未だに彼女の笑顔を覚えている。
  • 未だに人気のある映画だ。
  • 未だに昔の友人と連絡を取り合っている。

→ この場合は「今でも」に近く、やや感慨深いニュアンスを帯びる。

4. 「未だに」と「まだ」の違い

表現 意味 特徴
まだ ある状態が続いていること。 時間の長さや驚きの感情を含まない。
未だに 今になっても続いていること。 「意外」「驚き」「あきれ」の感情を含む。

例:

  • まだ来ていない。→(単に来ていない事実)
  • 未だに来ていない。→(こんなに時間がたったのに来ていない)

→ 「未だに」は時間経過に対する意外性・強調を伴うのが特徴。

5. 「未だに」と「今でも」の違い

表現 意味 感情の違い
未だに 長い時間が経っても状態が続く。 驚き・不満・意外さを含む。
今でも 現在も同じ状態が続く。 自然で感情的なニュアンスが少ない。

例:

  • 未だに連絡がない。(意外・心配)
  • 今でも仲がいい。(自然・肯定的)

→ 「未だに」は少しドラマチック、「今でも」は日常的で穏やかな表現。

6. 「未だに」を使った例文

  • 未だにスマホを持っていない人もいる。
  • 未だにあの映画が忘れられない。
  • 未だにそのニュースが信じられない。
  • 未だに原因が解明されていない。
  • 未だに昔の失敗を引きずっている。

7. 「未だに」の類義語

  • 依然として:以前の状態のままである(やや硬い表現)。
  • 相変わらず:変化せずに続いている(カジュアル)。
  • 今なお:今もなお(文語的・強調表現)。
  • ずっと:長期間続いている(感情的な強調)。

→ 「未だに」は「依然として」と似ているが、より感情的で話し言葉的な表現。

8. 英語での「未だに」表現

英語では、状況に応じて次のように表現できる。

  • still:いまだに、今もなお。
  • even now:今になっても。
  • to this day:今でも(感情を込めて)。

例文:

  • He still hasn’t replied.(彼はいまだに返事をしていない。)
  • Even now, I can’t believe it.(いまだに信じられない。)
  • I remember her words to this day.(いまだに彼女の言葉を覚えている。)

9. 「未だに」が持つニュアンス

「未だに」は、単に“まだ続いている”という意味だけでなく、
「もう終わっているはずなのに…」という意外さや感情のこもった表現である。
驚き・あきれ・感慨・切なさなど、文脈によって多様な感情を含む。

10. まとめ

「未だに」とは、長い時間が経っても、ある状態が続いていることを表す言葉である。
「まだ」との違いは、時間経過への驚きや意外性を含む点にある。
肯定文では「今でも」と近く、否定文では「いまだ解決していない」などの形でよく使われる。
日常会話からニュース、ビジネス文書まで幅広く使える、日本語の中でも感情と時間の流れを繊細に表す表現である。

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