「切り出す(きりだす)」という言葉は、日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われます。「話を切り出す」「相談を切り出す」「交渉を切り出す」など、少し慎重な場面で使われることが多い表現です。この記事では、「切り出す(きりだす)」の意味、使い方、類語との違い、そして例文を交えてわかりやすく解説します。
1. 切り出すとは?意味を詳しく解説
切り出す(きりだす)とは、「話や要件などを慎重に、あるいは勇気を出して言い始めること」を意味します。
また、物理的な意味として「木や石などを切って取り出す」こともありますが、日常的には「話を始める」という比喩的な使い方が主流です。
例:
・なかなか言い出せなかったが、ついに本題を切り出した。
・上司に退職の相談を切り出す。
・彼は沈黙の後、ゆっくりと話を切り出した。
つまり「切り出す」とは、「ためらいや緊張を伴いながら、話や行動を始めること」を表す言葉です。
1-1. 読み方と漢字の意味
・読み方:きりだす
・「切り」:分ける、始める、勇気をもって行うという意味
・「出す」:中から外へ出す、行動を起こすこと
この2つを合わせると、「心の中にあるものを外に出して伝える」「あることを区切って始める」という意味になります。
1-2. 英語での表現
英語では「切り出す」は文脈によって次のように訳されます。
・bring up(話題を持ち出す)
・broach(話題を切り出す、慎重に言い出す)
・start talking about(話し始める)
例文:
・He finally brought up the topic.(彼はついにその話題を切り出した。)
・It was hard for her to broach the subject.(彼女にとってその話を切り出すのは難しかった。)
2. 切り出すの使い方と例文
2-1. 話題を持ち出す意味で使う
・彼女は緊張した様子で別れ話を切り出した。
・上司に給料交渉を切り出すタイミングを考えている。
・話しづらい内容ほど、最初に切り出すのが難しい。
このように、感情的な負担や勇気が必要な場面で使われることが多い表現です。
2-2. 相談・交渉を始める意味で使う
・取引先に値上げ交渉を切り出す。
・会議の中で新しい提案を切り出した。
・部下が異動の希望を切り出してきた。
「要件を切り出す」という使い方も一般的で、「話題の中心となる話を始める」という意味を持ちます。
2-3. 物理的な意味で使う
・山から良質な木材を切り出す。
・鉱山で石を切り出す。
・職人が原木を切り出して加工を始めた。
この場合、「物を切って取り出す」「素材を取り出す」といった文字どおりの意味になります。
3. 切り出すと似た言葉との違い
「切り出す」は「言い出す」「話し出す」などと似ていますが、ニュアンスに違いがあります。
・言い出す:ためらいや緊張の有無に関係なく、単に話を始めること。
例:彼が突然、退職したいと言い出した。
・話し出す:会話や物語などを自然に始めること。
例:彼女は楽しそうに旅行の話を話し出した。
・切り出す:慎重に、または思い切って話を始めること。
例:彼は意を決してプロポーズの話を切り出した。
つまり、「切り出す」は「心理的なハードルを乗り越えて話を始める」という含みを持つ点が特徴です。
4. ビジネスでの「切り出す」の使い方
ビジネスの場では、「交渉」「相談」「提案」「謝罪」など、重要な話題を始める場面で使われます。
例:
・商談の場で価格の話を切り出すタイミングを見極める。
・クライアントに新しい企画を切り出す。
・上司に改善提案を切り出したが、慎重に言葉を選んだ。
「切り出す」は、礼儀や状況判断が求められる場面で特に適した表現です。
5. 「切り出す」を使うときの印象
「切り出す」という言葉には、以下のような印象があります。
・緊張感や覚悟を伴う
・誠実さや真剣さを感じさせる
・慎重で礼儀正しい態度を示す
したがって、軽い話題よりも、重要な話やセンシティブな内容に対して使うのが自然です。
6. 切り出すの類語と対義語
類語:
・言い出す
・話し出す
・持ち出す
・提案する
・口を開く
対義語:
・話を切り上げる
・黙る
・打ち切る
・終える
これらの言葉と比較すると、「切り出す」は“始まり”の中でも特に「思い切って始める」という感情的な重みを持っています。
7. 比喩表現としての「切り出す」
「話を切り出す」以外にも、「行動を切り出す」「人生を切り出す」など、比喩的な使い方をすることもあります。
例:
・新しい人生を切り出す勇気を持ちたい。
・彼は困難な状況の中から希望を切り出した。
このように使うと、「新たな一歩を踏み出す」「挑戦を始める」というポジティブな意味になります。
8. まとめ
切り出すとは、「ためらいや緊張を伴いながら、話や行動を始めること」を意味する言葉です。
単なる「言い出す」よりも慎重で重みのある表現であり、ビジネスや人間関係の場面でよく使われます。
相手への配慮を示す丁寧な言い回しとして、会話や文章で適切に使い分けることが大切です。
