「準じる」という言葉は、日常会話やビジネス文書、法律文など幅広く用いられる表現です。しかし、具体的な意味や使い方を正しく理解している人は少なく、曖昧なまま使用してしまうこともあります。本記事では「準じる」の意味、使い方、類語、注意点を詳しく解説します。
1. 準じるの意味とは
1-1. 基本的な意味
「準じる」とは、ある基準や規則、方針などを参考にして、それと同じように扱う、またはそれに従うことを意味します。完全に同一ではなく「参考にして合わせる」というニュアンスが含まれています。
1-2. 漢字の成り立ち
「準」は「基準」「整える」という意味を持ちます。そのため「準じる」は「基準に従う」という意味を自然に連想できる言葉です。
1-3. 類似する表現との違い
「従う」は強制的に従う意味合いが強いのに対し、「準じる」は柔らかく、基準を参考にした上で行動するニュアンスを持ちます。
2. 準じるの使い方
2-1. ビジネス文書での例
契約書や社内規程などでは「当規程に準じて処理する」「会社の方針に準じる」といった形でよく使われます。これは「完全に同一ではないが、それを参考にして判断する」という意味になります。
2-2. 法律や規則での使用例
法律文書には「前条の規定に準じる」などの表現が頻出します。これは、直接的に定められていない事項について、既存の条文を参考に適用することを意味します。
2-3. 日常生活での使用例
例えば「昨年のやり方に準じて進める」といえば、去年の進め方をそのままコピーするのではなく、参考にして同様の方針で行うという意味になります。
3. 準じるの類語と違い
3-1. 従う
「従う」は命令や規則に対して逆らわずに行動することを意味し、強制力が強い言葉です。「準じる」は強制ではなく参考にする点で異なります。
3-2. 倣う
「倣う」は他人のやり方や形式を模倣する意味があります。準じるは模倣ではなく、基準を元に応用するイメージが強いです。
3-3. 基づく
「基づく」は明確に根拠や基盤があることを示すのに対し、「準じる」はそこまで厳密な根拠は不要で、柔軟に参照する意味合いを持ちます。
4. 準じるを使う際の注意点
4-1. 曖昧さを避ける
「準じる」は便利ですが、曖昧さを残す表現でもあります。具体的なルールや基準がある場合には「従う」や「基づく」を選んだ方が誤解を防げます。
4-2. 文脈による解釈の違い
同じ「準じる」でも、法律文書では厳格な適用が求められ、ビジネス文書では柔軟な意味合いで使われることがあります。文脈に応じて解釈が変わる点に注意が必要です。
4-3. 敬語表現との組み合わせ
「準じさせていただきます」「準じて進めさせていただきます」といった表現は、ビジネスメールでよく用いられます。敬語との組み合わせも自然です。
5. 準じるの具体例
5-1. 契約書での用例
「本契約に定めのない事項については、民法の規定に準じるものとする」 この場合、契約に書かれていないことは民法を参考に判断するという意味です。
5-2. 社内規程での用例
「社員の出張旅費は、別途定める旅費規程に準じる」 これは「旅費規程をそのまま適用するわけではないが、それを参考にする」という意味になります。
5-3. 学校や研究における用例
「調査は国の統計調査に準じて行う」 ここでは「国の調査方法を参考にしながら実施する」というニュアンスがあります。
6. 準じるを正しく使うために
6-1. 正確に使い分ける
「従う」「基づく」「倣う」といった言葉と混同せず、ニュアンスの違いを理解して使い分けることが大切です。
6-2. 読み手に誤解を与えない表現
特にビジネスや法律に関する文書では、曖昧さがトラブルの原因になることがあります。準じるを使う場合は補足説明を加えると良いでしょう。
6-3. 柔軟さを活かす
「準じる」は「必ず従う」よりも柔らかい表現であり、状況に応じた柔軟な姿勢を示すことができます。その特性を理解し、適切に使うことが求められます。
7. まとめ
「準じる」とは、基準や規則を参考にして従う、またはそれに応じて行動することを意味します。従う・基づく・倣うといった類語とはニュアンスが異なり、特に法律やビジネスの文脈でよく使われる表現です。便利な一方で曖昧さを含むため、文脈に合わせた適切な使用が必要です。正しい意味と使い方を理解すれば、ビジネスや学術的な場面でも誤解なく表現することができます。
