「努めます」という表現は、日常会話からビジネスメールまで幅広く使われる日本語の敬語表現のひとつです。しかし、その意味や使いどころを曖昧なまま使っている人も多いかもしれません。この記事では、「努めます」の基本的な意味や使い方、似た表現との違い、そして敬語としての正しい使い方までをわかりやすく解説します。
1. 「努めます」とは何か
1.1 基本の意味
「努めます(つとめます)」は動詞「努める」の丁寧語で、「努力する」「目的のために力を尽くす」といった意味があります。自分自身の意思や姿勢を表すときに使われる表現です。
1.2 漢字の意味
「努」という字は「力をこめる」「無理をしてでも成し遂げようとする」といった意味を持ちます。「働く」「行う」よりも、自発的な努力や意識的な行動が強調される言葉です。
2. 「努めます」の主な使い方
2.1 態度や姿勢を表す場面
・円滑な対応に努めます
・お客様に寄り添った対応に努めます
・今後は再発防止に努めます
このように、自分がこれから何かに対して努力する姿勢を表すときに使われます。
2.2 改善や向上の意思を示す
・遅刻しないよう努めます
・よりよいサービス提供に努めます
謝罪や報告の場面で、「反省の気持ち」と「改善の意思」を同時に伝えたいときに有効な表現です。
3. 「努めます」の敬語としての働き
3.1 丁寧語としての使い方
「努める」の丁寧語が「努めます」です。話し手が聞き手に対して敬意を示しながら、自分の行動を述べるときに使います。
3.2 ビジネスメールでの使用例
・今後はご期待に添えるよう努めます
・誠心誠意、対応に努めてまいります
・迅速なご連絡に努めております
敬意と謙虚さを込めた表現として、取引先や上司に対して使われます。
4. 「努めます」と似た言葉との違い
4.1 「務めます」との違い
「務める」は「役割を果たす」「職務にあたる」という意味を持ちます。
例:「司会を務める」「役員として務める」
一方、「努める」は「努力する」という意味で、自発的な姿勢を示す点が異なります。
4.2 「勤めます」との違い
「勤める」は「会社や役所などに勤務する」という意味で使われます。
例:「銀行に勤めています」
漢字や意味の違いに注意が必要です。
4.3 「努力します」との違い
「努力します」はより直接的に「がんばること」を表し、「努めます」はやや控えめで丁寧な印象を与える言い方です。
例:「努力します」は意志が強く、「努めます」は姿勢や方針を表すことが多いです。
5. 言い換え表現と使い分け
5.1 柔らかい印象を与える言い換え
・心がけます
・意識して取り組みます
・前向きに取り組んでまいります
これらは「努めます」と同様の意味を持ちながら、より柔らかく伝えたい場面で適しています。
5.2 強い意志を示す表現
・全力を尽くします
・最善を尽くします
・徹底します
積極的に責任を引き受け、実行する決意を強調したいときに使われます。
6. よくある使用例と注意点
6.1 自然な例文
・今後も誠実な対応に努めます
・丁寧な対応を心がけて努めてまいります
・再発防止に全社をあげて努めてまいります
6.2 注意点
「努めます」は自分の行動について述べる言葉なので、他人に対しては使いません。たとえば「彼は努力に努めた」のような表現は重複表現になり不自然です。
7. まとめ
「努めます」は、「目標に向かって努力する」「改善や対応に真剣に取り組む」といった、自発的で前向きな姿勢を丁寧に伝える言葉です。日常的な敬語表現としても、ビジネスメールの結びの言葉としても活用されます。混同されやすい「務める」「勤める」との違いを理解したうえで、文脈に合った正しい使い方を心がけることで、相手に誠意ある印象を与えることができます。