「ご意向を伺いたく存じます」は、相手の考えや希望を丁寧に確認したいときに使う敬語表現です。とくにビジネスメールや依頼文、照会文書などでよく使われますが、やや硬い表現でもあるため、使う場面や相手に応じた配慮が求められます。この記事では、この言葉の意味と使い方、言い換え表現、文例、使用上の注意点を解説します。

1. 「ご意向を伺いたく存じます」の意味

1-1. 基本的な構成

「ご意向」=相手の考え、希望、意志を敬語で表したもの
「伺いたく」=謙譲語の「伺う」の連用形(〜したい)
「存じます」=「思います」の謙譲語・丁寧語

つまり、「ご意向を伺いたく存じます」は、「あなたのお考えをお聞きしたいと思っております」という非常に丁寧な言い方になります。

1-2. 主な使用場面

・取引先や顧客に意見や方針を確認したいとき
・合意前の調整、検討中の案件で相手の判断を仰ぎたいとき
・社内で目上の上司に方針を確認したいとき

2. ビジネスでの使い方

2-1. メールや文書での使用例

・本件について、御社のご意向を伺いたく存じます
・今後の進め方につきまして、貴社のご意向を伺えますと幸いです
・ご検討いただいたうえで、ご意向をお聞かせいただければと存じます

2-2. 社内文書・報告書での使用例

・この件に関し、部としてのご意向を伺いたく、本報告書を提出いたします。
・今後の予算配分について、課長のご意向を伺いたく存じます

3. 言い換え表現と比較

3-1. 同様の意味を持つ丁寧な言い換え

・ご意見をお伺いしたく存じます
・お考えをお聞かせいただけますと幸いです
・ご判断を賜りたく存じます
・ご希望をお伺いできればと存じます

これらはいずれも、相手の意見や希望を丁寧に聞きたいときに使える表現で、文脈に応じて柔らかさや堅さを調整できます。

3-2. 丁寧さを少し和らげた言い方

・ご意向があればお知らせいただけますと幸いです
・もしご希望がございましたらお申し付けください
・ご都合などございましたら、ご遠慮なくお聞かせください

こうした言い方は、あまり硬くなりすぎず、社内外問わず自然に受け入れられる表現です。

4. シーン別・実践的な文例

4-1. 取引先への提案前確認

・来月のスケジュール案を添付いたしますので、ご意向を伺いたく存じます
ご都合などございましたら、遠慮なくお知らせくださいませ。

4-2. 社内での上司への照会

・来期の予算案について、方向性をまとめる前に課長のご意向を伺いたく、事前にご確認をお願いできればと存じます。

4-3. 顧客との対応方針の確認

・商品の納期調整の件につきまして、貴社のご意向を伺いたく存じます
可能であれば、〇日までにご回答いただけますと幸いです。

4-4. 招待・参加に対する確認

・弊社主催のセミナーにつきまして、ご出席のご意向を伺いたく存じます
日程などにご希望がございましたらお知らせください。

5. 使用時の注意点

5-1. 相手の立場に応じた配慮

この表現はやや格式の高い言い方のため、相手が目上の方や社外の重要な関係者である場合に適しています。
一方で、社内のフラットな関係やカジュアルな場面では、やや堅苦しく感じられることもあるため、別の表現に言い換えるとよいでしょう。

5-2. 「ご意向」の具体性に注意

「ご意向」とは非常に抽象的な言葉です。そのため、何についての意向を聞いているのか、文脈や前後の文で明確にする必要があります。

5-3. 回答期限がある場合は必ず明記

「ご意向を伺いたく存じます」だけでは、いつまでに返答が必要なのかが曖昧になりがちです。
「〇日までにお知らせいただけますと幸いです」など、締め切りや希望日時を添えると親切です。

6. よくある疑問と回答

6-1. 「伺いたく存じます」は間違った敬語ではない?

「伺いたく」は「伺う」+「たい」、
「存じます」は「思う」の謙譲語なので、文法的に正しい表現です。
ただし、あまりに繰り返し使うと堅苦しく感じられるため、他の言い回しとの併用がおすすめです。

6-2. 顧客に対して使ってもよい?

はい。むしろ、顧客の意向を丁寧に確認したい場面で非常に適した表現です。
ただし、業種や関係性によっては、もう少しくだけた表現にする方が好まれることもあります。

まとめ

「ご意向を伺いたく存じます」は、相手の希望や考えを丁寧に聞きたいときに使う、格式のある敬語表現です。
ビジネスメールや社内文書において、相手の判断を尊重しながら確認を取る際に非常に便利な表現ですが、場面や相手によって言い換えたり、文脈を明確にしたりする工夫も重要です。
適切な敬語を使いこなすことで、信頼関係の構築や円滑な意思疎通に繋がります。状況に応じて柔軟に表現を使い分けましょう。

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