「注目されたい」「評価されたい」など、日常的にも使われる「されたい」という表現。しかし、敬語表現やビジネスメールで使用する際には、「使ってもよいのか」「どこか不自然ではないか」と疑問に思うことはありませんか?この記事では、「されたい」の意味と文法的な使い方、敬語との関係、そして適切な言い換え表現を丁寧に解説します。
1. 「されたい」の基本的な意味と文法
1.1 「されたい」とは
「されたい」は、動詞「する」の受け身形「される」に希望を表す助動詞「たい」がついた形です。つまり、「誰かに○○してほしい」「○○されることを望む」という意味になります。
例:
- 「注目されたい」= 他人から注目されることを望む
- 「褒められたい」= 他人から褒めてもらいたい
1.2 自発的な感情を表すときに使う
「されたい」は、自分の内面の希望・願望を示す表現です。そのため、あくまで話し手自身の気持ちに使うものであり、他人の希望には基本的に使いません。
× 彼は褒められたいと思っている(△ やや不自然)
〇 彼は褒められたがっている(◎ より自然)
2. ビジネスで「されたい」は使える?
2.1 原則としてカジュアルな表現
「されたい」は文法的には正しいものの、話し手の感情や願望を直接的に述べる形であるため、やや自己主張が強く、ビジネス文書やメールではカジュアルすぎると感じられることがあります。
2.2 丁寧な言い換えが必要な場面も
ビジネスシーンでは、以下のような言い換え表現を使うことで、丁寧かつ誠実な印象を与えることができます。
3. 「されたい」の丁寧な言い換え表現
3.1 「○○していただけると幸いです」
相手に何かしてもらいたいという希望を丁寧に伝える代表的な表現です。
例:
「確認されたい場合は」→「ご確認いただけると幸いです」
3.2 「○○していただけますでしょうか」
依頼の丁寧な表現として、ビジネスメールや会話でよく使われます。
例:
「提出されたい書類がある方は」→「ご提出いただけますでしょうか」
3.3 「○○をご希望される方は」
「~したい方は」を丁寧に言い換えた表現で、案内文や受付対応で使われます。
例:
「延長されたい場合は」→「延長をご希望される場合は」
4. 使用例:場面ごとの「されたい」の使い方
4.1 自己紹介や個人の希望を述べるとき
〇「私は、人の役に立つ仕事をして評価されたいと考えています。」
→ 自己PRや就職活動で使用可。ただし場面によっては言い換えが望ましい。
4.2 SNSや会話での使用
〇「注目されたいけど、目立つのは苦手なんだよね。」
→ カジュアルな場では自然な表現。
4.3 ビジネス文書で避けた方がよい表現
×「こちらの製品は、多くのお客様に利用されたいと考えております。」
→「こちらの製品は、多くのお客様にご利用いただけますよう努めております。」の方が丁寧で自然。
5. 使用時の注意点
5.1 相手を主語にしない
「されたい」は基本的に自分の願望を述べるもので、他人が望んでいることを述べるときには「〜したがっている」や「〜を希望している」などが自然です。
5.2 感情をストレートに出す印象がある
「されたい」は主張が強めに聞こえるため、文章全体のバランスや語調に注意が必要です。
5.3 敬語と組み合わせると不自然になる場合がある
例:
×「ご確認されたい方は…」→二重敬語的で不自然
〇「ご確認を希望される方は…」
6. まとめ
「されたい」は、自分の希望や願望を表す正しい日本語表現であり、カジュアルな場面や自己表現には適しています。しかし、ビジネスやフォーマルな場面ではやや砕けた印象になるため、「ご希望される方は」「ご確認いただけますと幸いです」など、丁寧な言い換え表現を用いるのが基本です。相手に対する配慮と場面に応じた言葉選びを意識することで、より信頼感のあるコミュニケーションが可能になります。