「何かありましたらご連絡させていただきます」は、ビジネスメールや電話でよく使われる表現です。しかし、実はこの表現は文法的に不自然とされることもあり、注意が必要です。丁寧に伝えているつもりでも、誤解を生まないためには正しい敬語表現を使い分けることが重要です。本記事では、この表現の意味、適切な言い換え方、ビジネスメール例文、注意点を詳しく解説します。
1. 「何かありましたらご連絡させていただきます」の意味と構造
1. 相手に状況の変化を知らせる前提
「何かありましたらご連絡させていただきます」は、状況が変わった場合に自分が連絡をする意志を伝える言い回しです。安心して待っていただくための前置きとしてよく使われます。
2. 文法的な問題:「させていただきます」の重ね表現
「連絡する」という自分の動作に対して「させていただきます」をつけることで、敬語にしようとする意図はわかりますが、「ご連絡」と「させていただく」を重ねると過剰敬語になることがあります。
例:ご連絡「させて」+いただきます → 二重にへりくだっていて不自然。
2. より自然で正確な言い換え表現
1. 何かございましたらご連絡いたします
もっとも自然で正確な敬語表現。「いたします」は「する」の謙譲語であり、無理のない丁寧な形です。
2. 何かございましたら、追ってご連絡差し上げます
「追って」は「後ほど」「必要が生じたら」の意味を持ち、フォーマルな表現です。メールや報告文に向いています。
3. 万が一、問題等が生じた場合はご連絡いたします
「万が一」や「問題等が生じた場合」という言い回しを加えることで、より丁寧かつ明確な印象になります。
4. 状況が変わりましたら、あらためてご連絡いたします
現状では伝えることがないが、必要があれば連絡するという意図をしっかり伝えられる言い回しです。
3. 使用例:ビジネスメール文例
1. クライアント向け連絡メール
件名:ご報告のご連絡
本文:
〇〇株式会社 〇〇様
平素より大変お世話になっております。
現在、案件については順調に進行しております。
何かございましたら、あらためてこちらからご連絡差し上げますので、どうぞご安心くださいませ。
引き続き、よろしくお願いいたします。
2. 社内報告メール
件名:進捗状況のご共有
本文:
お疲れさまです。〇〇の件、現在確認中でございます。
新たな情報や進展がありましたら、追ってご連絡いたします。
ご迷惑をおかけいたしますが、何卒よろしくお願いいたします。
3. お詫びやトラブル対応時
件名:お詫びとご報告
本文:
このたびはご不便をおかけし、大変申し訳ございません。
原因究明を進めており、状況に変化があり次第、速やかにご連絡いたします。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
4. 使用時の注意点
1. 不要に「させていただく」を多用しない
「させていただく」は丁寧に聞こえる反面、乱用するとくどくなります。自分の行為を必要以上にへりくだるのではなく、「いたします」「差し上げます」などを適切に使い分けることが大切です。
2. 曖昧にならないよう補足を入れる
「何かありましたら」というだけでは、何をもって「何か」なのかが不明瞭になることがあります。「トラブルが発生した場合は」「進捗に変更があれば」など、具体性を加えることで誤解を防げます。
3. 不安を与えない言い方にする
「何かあったら」と言われると、「何か悪いことが起こるのか?」と不安になる相手もいます。「必要に応じて」「確認が取れ次第」「念のため」などを添えることで、穏やかな印象に整えることが可能です。
まとめ
「何かありましたらご連絡させていただきます」は一見丁寧なように思えますが、過剰敬語や文法の観点から不自然とされることもあります。ビジネスでは「ご連絡いたします」「追ってご連絡差し上げます」など、より正確で自然な表現を使うのが望ましいです。相手に配慮しつつ、内容の明確さと文法の正しさを両立させることで、安心感と信頼を与える文章が実現できます。