「完了済み」という表現はビジネス文書や報告書でよく見かけますが、実は「重複」や「二重表現」と指摘されることがあります。この記事では、「完了済み」が本当に誤りなのかを明らかにし、ビジネスで使える正しい言い換えや適切な表現方法について詳しく解説します。相手に誤解を与えない、明快な日本語表現を身につけましょう。

1.「完了済み」は重複・二重表現なのか?

1-1.「完了済み」の意味と使われ方

「完了済み」とは、「すでに完了していること」を強調する表現です。多くのビジネスメールや報告書で、「作業は完了済みです」「手続きは完了済みです」などの形で使われています。

1-2.「完了済み」が重複表現・二重表現とされる理由

「完了」という言葉自体に「終わった」「済んだ」という意味が含まれています。そこにさらに「済み(済んだ)」という言葉を加えると、「意味が重複している」とみなされ、「重複表現」あるいは「二重表現」と指摘されることがあります。

つまり、「完了」と「済み」は、どちらも「終わっている」ことを意味しており、両方を同時に使うと意味がかぶってしまうのです。

2.「完了済み」は誤用なのか?実際の使用状況を検証

2-1.国語辞典や文法的な観点から

国語辞典では、「完了」は「物事がすっかり終わること」、「済み」も「終わったこと」と説明されています。したがって、「完了済み」は重複していると言えます。しかし、誤用というほど強く否定されているわけではありません。

2-2.ビジネス現場での実際の使用例

多くの企業のメールテンプレートや進捗報告書には、「完了済み」が頻繁に使われています。特に、システム開発やプロジェクト管理などの分野では、「作業完了済み」「対応完了済み」といった表現が一般的です。

これは、ビジネスにおいて「明確に完了していること」を強調する意図があるためです。冗長ではあっても、誤解を避けるためにあえて「完了済み」と表現するケースも多くあります。

3.「完了済み」の正しい言い換え表現

3-1.「完了」のみで十分な場合

以下のように「完了」だけでも意味が通じる場合があります。

・作業完了
・処理完了
・対応完了
・検収完了

このように、完了した内容が明確であれば「済み」をつける必要はありません。

3-2.「済み」のみで使える場合

・登録済み
・申請済み
・返信済み
・支払い済み

このように、一般的に「済み」を使う慣用表現も存在します。「完了」をつけると逆に不自然になります。

3-3.状況別の正しい言い換えパターン

元の表現 正しい言い換え
作業は完了済みです 作業は完了しています
手続きは完了済み 手続きは終了しています/手続きは済んでいます
送信完了済み 送信済み/送信が完了しました

相手に伝わることを第一に考えるなら、冗長でも丁寧な表現が好まれる場合もあります。ただし、報告書や文書では簡潔な言い換えが望ましいです。

4.「完了済み」表現が許容されるケースと注意点

4-1.許容される場面

・プロジェクト管理ツール上でのステータス表示
・システムログの記録文言
・丁寧さ・強調が求められる顧客対応

このような場面では、「完了済み」が一目で進捗を示すわかりやすい言葉として機能します。実用性重視のビジネス現場では、意味が重なることよりも「伝わる」ことを優先するためです。

4-2.注意すべき場面

・報告書や論文など、形式が求められる文書
・国語力を問われる資格試験や公的文書
・言葉づかいに厳格な上司や顧客への報告

このような場面では、「重複」「二重表現」として評価を下げられる可能性があります。シーンに応じた表現の選択が必要です。

5.「完了済み」以外にも注意すべき重複・二重表現一覧

ビジネスでよく使われるが実は「重複表現」となる日本語を以下に紹介します。

重複表現 正しい言い換え
過去に以前 過去に/以前に
事前に前もって 事前に/前もって
今現在 現在
必ず必要 必要
最も一番重要 最も重要/一番重要

「完了済み」と同じく、無意識に使ってしまいがちな表現ばかりです。文書を見直す際には、こうした言い回しにも注意しましょう。

6.【まとめ】「完了済み」は使い方次第でOK!正しい言い換えを使い分けよう

「完了済み」は確かに「重複」「二重表現」とされることがありますが、全くの誤用というわけではありません。実際のビジネス現場では、「正しい」よりも「伝わる」ことが重視されるため、状況に応じて使われています。

ただし、文書や報告書では簡潔さと正確さが求められるため、「完了」「済み」のいずれかを選んで使うのが望ましいでしょう。「完了済み」という表現を見直すことで、あなたの文章力と信頼感が一段と向上します。

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