「大役を仰せつかり」という言葉は、就任挨拶やスピーチ、フォーマルなビジネス文書などでよく使われます。しかし、意味や使い方を正しく理解していないと、誤った印象を与えてしまうことも。この記事では、「大役を仰せつかり」の意味、正しい使い方、言い換え表現、ビジネスでの具体的な使用例まで詳しく解説します。

1. 「大役を仰せつかり」の意味とは

1.1 「大役」とは何か?

「大役」とは、その名のとおり「大きな役目」や「重要な任務」を意味します。通常の仕事や任務よりも、重みのある責任を伴う内容を指す場合が多く、会社の役職や公式イベントの責任者などが該当します。

1.2 「仰せつかる」とはどういう意味?

「仰せつかる」は、「仰せる(おおせる)」の謙譲語で、「(目上の人から)命じられる」「指示を受ける」という意味を持つ敬語です。自分が何かを依頼されたときや、任命されたときに使います。

1.3 合わせた意味:「大役を仰せつかり」

つまり、「大役を仰せつかり」は、「重大な任務を上の立場の人から命じられた」という意味になります。謙虚な姿勢を表す丁寧な表現であり、公的・正式な場で頻繁に使われます。

2. 使用されるシーンと具体例

2.1 ビジネスでの使用シーン

ビジネスの場では、以下のような状況で「大役を仰せつかり」という表現が使われます。
昇進・異動に伴う挨拶

就任のご報告

式典やセレモニーでのスピーチ

組織内での公的な報告

2.2 実際の使用例

例1:「このたび、営業部長という大役を仰せつかり、身の引き締まる思いでございます。」 例2:「未熟者ではございますが、この大役を仰せつかりましたこと、誠に光栄に存じます。」

3. 言い換え表現とその使い分け

3.1 よく使われる言い換え

「大役を仰せつかり」はフォーマルな表現なので、場面によっては柔らかい表現や分かりやすい言葉に言い換えることが求められます。
「重要な任務を拝命し」

「責任ある立場を任され」

「重責を担うこととなり」

「職責をお預かりすることとなり」

3.2 柔らかい印象を与える言い換え

もう少し柔らかく表現したい場合、次のようなフレーズも有効です。
「大切な役目をお任せいただき」

「光栄な役職に就任いたしました」

「このような機会をいただき、大変感謝しております」

4. ビジネスメール・挨拶・スピーチの例文

4.1 メールでの使用例

件名:就任のご挨拶
本文:
拝啓 春暖の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、私こと、このたび〇〇部の部長という大役を仰せつかることとなりました。
微力ではございますが、誠心誠意努めてまいりますので、今後ともご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
敬具

4.2 式典やスピーチでの例文

「本日はお忙しい中ご出席いただき、誠にありがとうございます。このたび、〇〇という大役を仰せつかり、身の引き締まる思いでございます。至らぬ点も多々ございますが、皆様のお力添えをいただきながら、全力で取り組む所存です。」

5. 注意点:間違いやすい使い方

5.1 主語と敬語の関係

「仰せつかる」は**謙譲語**なので、自分が任命されたことをへりくだって述べる表現です。目上の人や他者を主語にして使うのは誤りです。
正:「上司より大役を仰せつかりました」

誤:「部下に大役を仰せつかりました」

5.2 カジュアルな会話では避ける

「大役を仰せつかり」はフォーマルな場面に適した言葉です。カジュアルなメールや日常会話では浮いてしまうため、別の表現に置き換えた方が自然です。
例:

「上司から大事な仕事を頼まれてさ」 → OK

「大役を仰せつかりまして…」 → カジュアル場面ではNG

6. まとめ:「大役を仰せつかり」は重みのあるフォーマル表現

「大役を仰せつかり」は、目上の人や組織から重要な任務を任されたときに使う、敬意と謙虚さを込めた日本語表現です。正しい意味と使い方を理解することで、ビジネスや式典の場での挨拶がより印象的になり、聞き手に誠意と責任感を伝えることができます。

言い換え表現や適切な使用シーンを把握し、言葉選びに気を配ることが、社会人としての信頼や評価にもつながるでしょう。

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