ビジネスシーンでよく見かける「関しましては」という表現。丁寧な印象を与える一方で、使い方を誤ると堅苦しさや不自然さが際立ってしまうこともあります。本記事では「関しましては」の正確な意味や使いどころを解説し、ビジネスメールや社内コミュニケーションで差をつけるコツを紹介します。より洗練されたやり取りを目指し、相手に好印象を与えるメール術を身につけましょう。

1. 「関しましては」とは何か

「関しましては」は、ビジネス文書や公的文書で使われることの多い敬語表現です。普段の会話よりも丁寧度が高く、改まった印象を与えます。ただし、使い慣れていない方にとっては「どんな場面で使えばいいのか」「本当に必要なのか」など、疑問も多いかもしれません。ここでは、「関しましては」の基本的な意味や、どのような場面で使われるのかを整理していきます。

1-1. 「関しましては」の本来の意味

「関しましては」は、「~に関しては」「~については」という意味を持つ表現です。
- 「〇〇に関しましては」は、やや改まった場面や、正式な文書で「〇〇については」と伝えたいときに用いられます。
- 「~に関して」「~について」というカジュアルな言い回しを、より丁寧に言い換えた形が「関しましては」です。

特にビジネスメールやオフィシャルな連絡事項では、相手に失礼のないように丁寧語や敬語を使う機会が多いため、この表現が重宝されるのです。

1-2. 「関しましては」の類似表現との違い

「関しましては」と似たような表現として、「~につきましては」「~に関しまして」などがあります。厳密な意味で大きく異なるわけではありませんが、ニュアンスの違いに注意しましょう。
- 「~につきましては」:やや広範囲な事柄について述べる場合に使われやすい
- 「~に関しまして」:特定のテーマや物事に対して言及するときに用いられやすい
- 「~について」:カジュアルな場面や、社内のフランクなやり取りで使われることが多い

また、口語表現の「~については」や「~に関しては」と比較すると、「~に関しましては」は改まった印象を与えるため、主にビジネス文書やフォーマルなシーンでの使用が適しています。

2. 「関しましては」を使うメリットと注意点

「関しましては」を使うことで得られるメリットもあれば、逆に使いすぎや文脈を誤ることで相手に違和感を与える場合もあります。ここでは、メリットと注意点をそれぞれ整理してみましょう。

2-1. メリット:丁寧さとビジネスライクな印象を演出できる

1)相手への敬意を示せる
「関しましては」は、ひらがなや口語表現が多いメールよりもワンランク上の敬語として機能します。取引先や上司に対して、敬意を払った文章だと感じてもらいやすいでしょう。

2)フォーマルな雰囲気を保てる
社外への連絡や公的な文書など、改まった場面で使うと文章全体に品が出てきます。ビジネス文書として信頼度を高める効果も期待できます。

2-2. 注意点:使いすぎや文脈ミスマッチに要注意

1)過剰に用いると堅苦しい印象を与える
文章のあちらこちらに「関しましては」を連発してしまうと、逆に読みにくく、堅苦しさが際立ってしまいます。適度にバランスを考えて使用しましょう。

2)相手やシチュエーションによっては不自然
社内のフランクなやり取りや親しい同僚とのコミュニケーションでは、「関しましては」という丁寧すぎる表現は浮いてしまうこともあります。その場に合った言葉選びが大切です。

3. 「関しましては」を正しく使うためのポイント

実際に「関しましては」をメールや文章で使うときは、いくつかのポイントを押さえておくとスムーズに使いこなせます。ここでは代表的なポイントを紹介します。

3-1. 具体的な内容を明確に示す

「関しましては」の後には、明確なテーマや対象を置くのが基本です。
- 例:「商品発送に関しましては、〇月〇日を予定しております。」
- ダメな例:「ご連絡に関しましては、ありがとうございました。」(抽象的すぎる)

テーマ(商品発送、会議、資料、日程など)をきちんと明示しないと、相手に「何の話をしているのか」が伝わりにくくなります。

3-2. 短くまとめ、読みやすさを保つ

丁寧な言葉だからといって長々と書き連ねると、読む側が負担に感じてしまうことがあります。「関しましては」の前後で余計な言い回しを増やすよりも、なるべくシンプルにまとめるとわかりやすい文章に仕上がります。
- NG例:「この度の商品発送に関しましては、誠に恐縮ではございますが、諸般の事情により若干の遅延が生じる見込みとなっておりますことをご理解賜りますようお願い申し上げます。」
- 改善例:「この度の商品発送に関しましては、諸般の事情により若干遅延が見込まれます。何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。」

3-3. 文脈や相手との関係性に合わせる

「関しましては」は敬語表現の中でも特にフォーマル度が高めです。
- 社外への公式な連絡 → 「関しましては」
- 社内メールやカジュアルなやり取り → 「〜について」「〜の件」などの表現
ビジネスシーンではTPOを意識して、柔軟に使い分けましょう。

4. 「関しましては」を使ったビジネスメール文例

「関しましては」という表現を、実際のビジネスメールでどのように活かせばいいのか、具体的な例文を交えながら説明します。場面ごとにポイントを押さえておけば、スムーズな文章作成が可能です。

4-1. 納期連絡やスケジュール調整における例

――――――――――――――――――――
件名:【納期ご連絡】商品発送スケジュールに関しましては

〇〇株式会社 △△様

いつも大変お世話になっております。□□株式会社の▲▲です。

先日ご注文いただきました商品の発送スケジュールに関しましては、現在倉庫内での在庫整理を進めており、○月○日頃の発送を予定しております。詳細につきましては、確定次第改めてご連絡申し上げます。

何卒よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――

この例では、「納期(商品発送スケジュール)に関しましては」という形で、具体的なテーマをしっかり明示しています。相手が知りたい情報(発送日)を簡潔に伝え、丁寧さと読みやすさを両立しています。

4-2. 会議や打ち合わせの日時調整における例

――――――――――――――――――――
件名:【日時調整】次回ミーティングに関しましては

〇〇部 △△様

お疲れさまです。□□部の▲▲です。

次回の進捗ミーティングに関しましては、下記の日程を候補と考えております。ご都合はいかがでしょうか。

・○月○日(火) 10:00~12:00
・○月○日(金) 14:00~16:00

どちらかご都合の良い日時がございましたらご連絡いただけますと幸いです。ご確認のほどよろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――

打ち合わせや会議に関する連絡では、相手が「検討すべき内容」と「希望日程」が即座に分かるように簡潔にまとめるのがポイントです。「関しましては」を使うことで、改まった印象を与えつつも社内のフランクさを損なわないバランスを保っています。

4-3. 提案や見積もりを送付する際の例

――――――――――――――――――――
件名:【ご提案】新プランに関しましては

〇〇株式会社 △△様

いつもお世話になっております。□□株式会社の▲▲です。

先日お問い合わせいただきました新プランに関しましては、本日添付のPDFファイルにて詳細なご提案資料をお送りいたします。内容をご確認いただき、ご不明点等ございましたらお気軽にご連絡ください。

また、こちらのプランに合わせまして、オプションサービスの追加も可能でございます。ご希望がありましたらお申し付けいただけますと幸いです。

何卒よろしくお願い申し上げます。

――――――――――――――――――――

提案書や見積もりなど、相手が検討する時間や要素が多い場合は、「関しましては」を一度だけ使用し、重要事項を読みやすく整理することが大切です。

5. NG例:「関しましては」を使いすぎるケース

「関しましては」を連発すると、読み手は不自然さや堅苦しさを感じやすくなります。ここでは、具体的なNG例を見ながら、どのように改善できるかを考えてみましょう。

5-1. 読みにくくなるほど繰り返している

――――――――――――――――――――
件名:【ご確認】新企画に関しましては

○○株式会社 △△様

お世話になっております。□□株式会社の▲▲です。

新企画に関しましては、先週の打ち合わせに関しましては、大変有意義な内容でした。今後の進行スケジュールに関しましては、添付ファイルをご確認ください。もしご不明点がありましたら、お問い合わせに関しましては、▲▲までお願いいたします。

――――――――――――――――――――

このメールでは、「関しましては」が連発されており、文章がぎこちなく感じられます。改善策としては、言い回しを変えたり、重複部分を削除したりして、読みやすい文体に整えましょう。

5-2. 改善例:言葉のバリエーションでスマートに

――――――――――――――――――――
件名:【ご確認】新企画の今後の進行について

○○株式会社 △△様

お世話になっております。□□株式会社の▲▲です。

先日の打ち合わせでは、新企画について多くの有益な情報を共有いただきありがとうございました。今後の進行スケジュールに関しては、添付ファイルをご確認いただけますでしょうか。また、ご不明点やご質問などがありましたら、遠慮なく▲▲までご連絡ください。

――――――――――――――――――――

「関しましては」を使わずとも、相手への敬意や丁寧さは失われません。文末表現やクッション言葉をうまく活用しながら、全体の読みやすさを優先すると良いでしょう。

6. 「関しましては」と相性の良いフレーズ

「関しましては」を使った文章をより自然な流れにするために、併用すると相性が良いフレーズをいくつか挙げてみます。これらを組み合わせると、文章がスムーズにつながりやすくなります。

6-1. 「~につきまして」

「関しましては」と同じように、「~につきまして」という表現も改まった印象を与えます。
- 例:「新システム導入につきましては、添付ファイルをご確認ください。」
ただし、同じ文章内で両方を多用すると重複感が出るので、バランスを見極めましょう。

6-2. 「~を予定しております」

具体的なスケジュールや計画を伝えるときに便利なフレーズです。
- 例:「納品に関しましては、○月○日頃を予定しております。」
「~を検討しております」「~を計画しております」などのバリエーションも活用できます。

6-3. 「ご確認いただけますと幸いです」

相手にチェックを促したり、意見を求めたりするときに使えます。
- 例:「新商品の仕様に関しましては、添付のPDFをご確認いただけますと幸いです。」
「ご検討いただければ幸いです」や「ご連絡いただければ幸いです」など、状況に応じてアレンジしましょう。

7. まとめ

「関しましては」は、ビジネスメールや正式な文書で用いられる敬語表現の一つで、相手に対して丁寧かつ改まった印象を与える効果があります。ただし、下記のポイントを押さえることで、より自然かつ的確に使いこなせるようになるでしょう。

1. 「関しましては」の基本的な意味
 - 「~に関しては」「~については」をより丁寧に言い換えた表現
 - 主にビジネスシーンや公的な場面での使用が多い

2. メリットと注意点
 - メリット:敬意とフォーマル感を演出できる
 - 注意点:使いすぎると堅苦しさや不自然さが目立つ

3. 正しく使うポイント
 - 具体的な内容を明確に示す
 - 文量や表現をシンプルにまとめる
 - 相手やシチュエーションに合わせて使い分ける

4. ビジネスメールでの活用例
 - 納期連絡やスケジュール調整、提案書の送付など、様々なシーンで有効
 - 「関しましては」の後に相手が欲しい情報を簡潔に伝える

5. NG例と改善策
 - 同じ文章内で「関しましては」を連発しない
 - 「~について」「~の件」など他の表現とも併用して読みやすさを保つ

「関しましては」を自然に使いこなすためには、文章全体の流れや相手との関係性を考慮する姿勢が大切です。高い敬意を示す必要がある場面では積極的に取り入れつつ、状況によってはもう少しカジュアルな表現に切り替えると、よりスムーズなコミュニケーションが生まれるでしょう。ぜひ本記事のポイントや文例を参考にしながら、「関しましては」を上手に使いこなし、ビジネスメールや業務連絡をレベルアップさせてください。

おすすめの記事