「私傷病」という言葉は就業規則、勤怠管理、休職制度などの場面でよく登場します。しかし、日常生活ではあまり使われない言葉のため、読み方が分からないという人も少なくありません。本記事では、「私傷病」の正しい読み方から具体的な意味、使われる場面、公傷との違い、会社での取り扱いまでわかりやすく解説します。労務担当者やビジネスパーソンが知っておくべき基礎知識をまとめます。
1. 私傷病の読み方
1.1 正しい読み方は「ししょうびょう」
私傷病は「ししょうびょう」と読みます。「私」は自分自身を表し、「傷病」は傷害や病気をまとめた言葉です。
1.2 読み間違えやすいポイント
「私」を「わたくし」と読む場合も多く、「わたくししょうびょう」と読みたくなる人もいます。しかし、労務や医療に関連する文脈では「し」と読むのが一般的です。
1.3 社内文書や規程では必ず「ししょうびょう」
就業規則、休職規定、労務書類などではすべて「ししょうびょう」で統一されています。読み方を覚えることで、労働法関連の文書が理解しやすくなります。
2. 私傷病の意味
2.1 業務外で発生した怪我や病気を指す
私傷病とは、仕事中や通勤中ではなく、業務外で発生した怪我・病気をまとめて表した言葉です。 例:休日のスポーツでの怪我、私生活での病気、自宅での事故など。
2.2 労災保険の対象外となる傷病
業務に関連して起きた怪我は「公傷」と呼ばれ労災となりますが、私傷病は労災の対象外になるのが特徴です。
2.3 私生活に起因する病気全般も含む広い概念
風邪やインフルエンザ、胃腸炎といった一般的な病気も私傷病に含まれます。
3. 私傷病が使われる具体的な場面
3.1 休職制度の適用場面
社員が長期間、私生活で発生した病気や怪我で働けない場合、就業規則で定められた休職制度が適用されます。
3.2 欠勤・有給の理由として記載する場面
勤怠管理では、欠勤の理由欄に「私傷病」と記載されることがあります。
3.3 医師の診断書が必要になるケース
休職を申請する際、私傷病の場合でも医師の診断書が必要となるのが一般的です。
4. 公傷との違い
4.1 公傷の読み方と意味
公傷(こうしょう)は、業務中や通勤途中の怪我・病気を指し、労災の対象になります。
4.2 私傷病と公傷の最大の違いは「原因の場所」
・私傷病:業務外 ・公傷:業務中または通勤中 この違いによって、補償制度が大きく異なります。
4.3 給付や休職期間の取り扱いの差
公傷は労災保険から給付が出るのに対し、私傷病は原則として労災の対象外です。企業は有給休暇の使用や私傷病休職制度を適用して対応します。
5. 会社での私傷病の取り扱い
5.1 欠勤扱いになる場合
私傷病で出勤できない場合、有給休暇を使わないと欠勤扱いになるのが一般的です。給与が減額される可能性もあります。
5.2 有給休暇の使用
自己都合による病気や怪我でも、有給休暇を使用すると欠勤扱いにならず給与が支給されます。
5.3 私傷病休職制度
一定期間以上の休業が必要な場合、就業規則によっては私傷病休職という制度があり、復職に向けて療養する期間が設けられています。
6. 私傷病休職のポイント
6.1 休職期間は会社ごとに異なる
企業によって、半年〜1年など休職期間が定められています。
6.2 給与の支給はない場合が多い
私傷病休職期間中は給与支給が停止されることが一般的です。ただし、健康保険の傷病手当金を受給できる場合があります。
6.3 復職には医師の診断書が必要
職場復帰には主治医の復職可能という診断書が求められ、会社側が判断を行います。
7. 私傷病と傷病手当金の関係
7.1 健康保険の制度を利用できるケース
私傷病で働けない場合、条件を満たせば健康保険から傷病手当金が支給されます。
7.2 受給のための条件
・病気や怪我で働けない ・連続3日間休業後、4日目から支給 ・医師の証明が必要 などの条件があります。
7.3 支給額の目安
支給額は標準報酬日額の3分の2程度が目安となります。
8. 私傷病に関するよくある質問
8.1 私傷病での欠勤はどこまで会社に説明するべきか
プライバシーの観点から、詳細を伝える必要はありませんが、診断書の提出が求められることがあります。
8.2 公傷なのに私傷病と判断された場合は?
業務中の怪我であれば労災申請が可能です。誤った判定だと感じた場合は労働基準監督署に相談することができます。
8.3 私傷病の期間中に退職できるか
退職は可能ですが、傷病手当金の継続受給には注意が必要です。
9. まとめ
私傷病(ししょうびょう)とは、業務外で発生した怪我や病気を指す言葉で、労災対象外である点が特徴です。休職や勤怠管理の場面で頻繁に使われるため、正しい読み方と意味を理解しておくことは労務管理において重要です。公傷との違いや休職制度の扱いを知ることで、より適切に対応できるようになります。
