「綱取り(つなとり)」という言葉は、主に大相撲(おおずもう)の世界で使われる表現です。力士が最高位である「横綱(よこづな)」の地位を目指す過程を指す言葉として知られています。この記事では、「綱取り」の意味や語源、使い方、そして日常会話や比喩的な意味での応用例までを詳しく解説します。
1. 綱取りの意味
「綱取り」とは、大関(おおぜき)が横綱昇進を目指すこと、または横綱になるための挑戦を意味します。
大相撲では、地位の順番が「幕下 → 十両 → 関脇 → 大関 → 横綱」となっており、横綱は力士の最高位です。そのため、「綱取り」は大関が横綱昇進をかけて臨む場所(試合)や、その挑戦そのものを指す言葉として使われます。
意味まとめ:
- 横綱昇進を目指すこと
- 横綱候補として注目される力士の挑戦
- 比喩的に「最高位・頂点を目指す挑戦」
例文:
- 来場所は綱取りがかかっている大関に注目が集まる。
- 彼はついに綱取りのチャンスを手にした。
- 社長就任を狙う彼の挑戦は、まさに綱取りの戦いだ。
2. 「綱取り」の由来
「綱取り」の「綱」とは、横綱が締める“横綱(よこづな)”=白い綱状の帯のことを指します。
この「綱」は、古くから神聖なものとされる注連縄(しめなわ)に由来しており、横綱は土俵入りの際にこの白い綱を体に巻いて登場します。つまり、「綱を取る」とは「横綱の地位を得て、その綱を締める資格を得る」という意味なのです。
3. 横綱昇進(綱取り)の条件
日本相撲協会が定める明確な基準はありませんが、通例として次のような基準が「綱取り」とされます。
- 大関として2場所連続で優勝、または優勝に準ずる成績を収めること。
- 安定した強さ・品格・人格を持つこと。
- 土俵上だけでなく、横綱としてふさわしい品位を備えること。
つまり、「単に強い」だけではなく、「横綱としての品格」が重視されるのが特徴です。
参考例:
- 貴乃花(たかのはな)は、大関時代に2場所連続優勝して横綱に昇進。
- 朝青龍(あさしょうりゅう)は圧倒的な勝率で綱取りを果たした。
- 逆に、優勝しても「品格が足りない」とされて昇進が見送られた例もある。
4. 綱取りの使い方と文脈
「綱取り」は主に相撲界で使われますが、比喩的に使うこともあります。
以下のような使い方が代表的です。
4-1. 相撲での使い方
- 次の場所で優勝すれば綱取りが決まる。
- 綱取り場所では、プレッシャーが非常に大きい。
- 彼の綱取りは惜しくも失敗に終わった。
4-2. 比喩的な使い方(ビジネス・社会など)
「頂点や最高位を狙う挑戦」という意味で、相撲以外の分野でも使われます。
- 長年の努力が実り、彼は業界での綱取りを目指す段階に入った。
- 社内での出世競争は、まるで綱取りのようだ。
- このプロジェクト成功が彼の綱取りになるだろう。
このように、「綱取り」は「最上位への挑戦」という象徴的な意味で使われることがあります。
5. 類語・関連語
| 言葉 | 意味 | 使われ方 |
|---|---|---|
| 昇進 | 地位が上がること | 組織や職業全般で使われる一般的な言葉 |
| 出世 | 地位・名誉・収入などが上がること | 社会的に成功する意味で幅広く使われる |
| 昇格 | 階級や等級が上がること | 主に職業・スポーツの制度的な文脈 |
| 頂点を目指す | 最上位・最高点を目指す挑戦 | 「綱取り」の比喩表現としても使える |
6. 英語での「綱取り」表現
英語には直接的な対応語はありませんが、文脈に応じて次のように訳すことができます。
| 英語表現 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| promotion to Yokozuna | 横綱昇進 | He is aiming for promotion to Yokozuna next tournament.(彼は次の場所で横綱昇進を狙っている) |
| Yokozuna challenge | 横綱昇進への挑戦 | The tournament will be his Yokozuna challenge.(この場所は彼の綱取りの場所だ) |
| challenge for the top rank | 最高位への挑戦 | His career is like a challenge for the top rank.(彼のキャリアはまさに綱取りのような挑戦だ) |
7. まとめ:綱取りとは「横綱を目指す挑戦」
「綱取り」とは、大関が横綱昇進をかけて臨む勝負、またはその挑戦を指す言葉です。由来は、横綱が締める白い綱(注連縄)から来ています。
現在では、相撲界だけでなく、「最高位・頂点を目指す挑戦」という比喩的な意味でも使われています。努力を積み重ね、頂点に立とうとする姿勢を象徴する日本語として、幅広い場面で応用できる表現です。
