日常会話やSNSなどでよく耳にする「しれっと」という言葉。「あの人、しれっと来てたね」「しれっと嘘つくよね」などのように使われますが、その意味やニュアンスを正確に説明できる人は意外と少ないかもしれません。この記事では、「しれっと」の意味、語源、使い方、そして類語表現まで詳しく紹介します。

1. 「しれっと」の意味

「しれっと」とは、周囲に気づかれないように、または平然とした様子で何かをするさまを表す副詞です。つまり、「何事もなかったかのように」「平気な顔で」という意味を持ちます。

言い換えると、「しれっと」は少しずる賢い、あるいは要領の良い行動を暗に指すときにも使われます。文脈によっては、軽い皮肉やツッコミのニュアンスを含むこともあります。

  • 例文1:彼はしれっと遅刻してきたのに、何も言わなかった。
  • 例文2:しれっと嘘をつく人は信用できない。
  • 例文3:彼女、しれっと昇進しててびっくりした!

2. 「しれっと」の語源

「しれっと」は、「知る(しる)」という動詞に由来するといわれています。「知る」という言葉が変化し、「しれっ」と言い切ることで、「知っているのに知らないふりをする」「わかっているのに平然としている」という意味が生まれたと考えられます。

つまり、「しれっと」は「知れ(知っている)」+「っと(擬態語の語尾)」から成る言葉で、「知っていながら気づかぬふりをする様子」を表現する擬態語です。

3. 「しれっと」の使い方とニュアンス

「しれっと」は話し言葉でよく使われ、日常的な軽い驚きやツッコミにぴったりの表現です。ただし、状況によっては皮肉っぽく聞こえることもあります。

3-1. ポジティブな使い方

「しれっと」には、控えめに行動する、謙虚に振る舞うというポジティブな意味合いでも使われることがあります。

  • 例文:彼女はしれっと努力して成果を出すタイプだ。
  • 例文:しれっと優しさを見せる人って素敵だ。

3-2. ネガティブな使い方

一方で、ごまかす、嘘をつく、図々しいといった否定的な意味で使われることも多くあります。

  • 例文:しれっと他人の手柄を横取りするなんて信じられない。
  • 例文:昨日の約束、しれっと忘れてたでしょ。

このように、「しれっと」は文脈によって褒め言葉にも皮肉にもなる柔軟な表現です。

4. 「しれっと」の類語と言い換え表現

「しれっと」と同じような意味を持つ表現はいくつかあります。ニュアンスに合わせて使い分けましょう。

類語 意味 例文
平然と 動じずに落ち着いた様子で 彼は平然と嘘をついた。
何食わぬ顔で 知らないふりをして平然としている様子 何食わぬ顔で話を続けた。
知らん顔で 関係ないふりをして無視する 彼は知らん顔で通り過ぎた。
こっそり 人に気づかれないように密かに こっそりお菓子を食べた。
涼しい顔で 緊張や動揺を見せず落ち着いた様子 ミスをしても涼しい顔をしていた。

5. 「しれっと」と「さりげなく」の違い

「しれっと」と似た言葉に「さりげなく」がありますが、使い方には違いがあります。

  • しれっと:意識的にごまかす・知らないふりをする・平然と装う
  • さりげなく:自然に・気取らず・控えめに

たとえば、「しれっと嘘をつく」は違和感のない表現ですが、「さりげなく嘘をつく」は不自然に聞こえます。一方で「さりげなく気遣う」は自然ですが、「しれっと気遣う」は少し違和感があります。

6. 「しれっと」を使った日常会話の例

  • しれっと帰ってたけど、ちゃんと挨拶してよ!
  • 彼女、しれっと彼氏できてたんだって。
  • しれっとミスを隠すのはやめたほうがいい。
  • あの人、しれっと褒めてくれるところが好き。

7. まとめ

「しれっと」とは、「平然と」「何食わぬ顔で」行動するさまを表す言葉です。場面によって、ずる賢い・要領がいい・自然体といった異なる印象を与えます。ポジティブにもネガティブにも使える柔らかい表現なので、会話にさりげなく取り入れることで、感情のニュアンスを豊かに伝えることができます。

おすすめの記事