「周知(しゅうち)」という言葉は、ビジネスや行政、学校などでよく使われます。「社員に周知する」「周知のとおり」「周知徹底を図る」など、フォーマルな場面で目にする機会が多い言葉です。この記事では、「周知」の意味、使い方、類義語、そして「告知」や「伝達」との違いをわかりやすく解説します。

1. 周知とは

「周知」とは、広く知れ渡ること、または人々に知らせて理解させることを意味します。
つまり、「特定の情報を多くの人に伝え、共有すること」です。

辞書的な定義:

  • 周知: 広く知れわたっていること。また、知らせて行き渡らせること。

「周知」は、ビジネス・行政・報道などの公的で丁寧な表現として使われます。

2. 読み方と品詞

  • 読み方:しゅうち
  • 品詞:名詞・動詞的表現(「周知する」「周知を徹底する」など)

3. 「周知」の語源と成り立ち

  • 周: あまねく・広く・全体に行き渡る。
  • 知: 知らせる・理解する。

この2つを合わせて、「広く知らせる」「みんなが知るようにする」という意味になります。
「全員が理解している状態にする」というニュアンスがあるのが特徴です。

4. 「周知」の使い方と例文

4-1. 一般的な使い方

  • 新しいルールを全社員に周知する。
  • 安全管理の重要性を周知徹底する必要がある。
  • 試験日程はすでに学生に周知されています。
  • この方針は社内に十分周知されていない。

「周知」は、単に知らせるだけでなく、理解させることも含みます。

4-2. ビジネスでの定型表現

  • 〜の件について、関係者への周知をお願いいたします。
  • 新ルールの内容を社内に周知徹底してください。
  • この変更はすでに関係部署に周知済みです。
  • 周知が不十分だったため、トラブルが発生した。

ビジネス文書では、「周知徹底」「周知のとおり」などの定型句がよく使われます。

5. 「周知」と「告知」「伝達」の違い

言葉 意味 特徴・使い分け
周知 広く知らせて理解させる。 理解・浸透を目的とする。
告知 公的に知らせる。 一方向的で、主に発表や通知。
伝達 情報を他者に伝える。 伝えるだけで、理解までは含まない。

つまり、「周知」は「告知+理解」の状態を目指す言葉です。

6. 「周知のとおり」の意味と使い方

「周知のとおり」とは、「すでに皆さんがご存じのように」という意味で、前提として共有されている情報に言及するときに使われます。

  • 周知のとおり、弊社は来月から新制度を導入いたします。
  • 周知のとおり、環境問題は深刻化している。
  • 周知の事実として、彼の功績は高く評価されている。

「周知のとおり」はフォーマルで論文・報告書などにも適しています。

7. 「周知徹底」とは

「周知徹底(しゅうちてってい)」は、すべての関係者に完全に理解させることを意味します。

  • 安全ルールの周知徹底を図る。
  • 社内マニュアルを更新し、全社員に周知徹底する。
  • 新ガイドラインの周知徹底が不十分だった。

「周知徹底」は「ただ知らせる」以上に、「理解と浸透を確実にする」ニュアンスがあります。

8. 「周知」を使う際の注意点

  • 口語では少し堅い印象を与えるため、会話では「知らせる」「伝える」に言い換えるのも自然。
  • 「周知する」は能動的、「周知される」は受動的(知らせが行き渡る)に使う。
  • 「周知の事実」「周知のとおり」はすでに一般的に知られている内容に使う。

9. 類義語と対義語

分類 言葉 意味
類義語 告知 広く知らせること。
伝達 情報を他人に伝えること。
広報 公的に周囲へ知らせる活動。
共有 情報や意識を共に持つこと。
対義語 秘匿(ひとく) 秘密にして知らせないこと。
非公開 情報を公にしないこと。

10. 英語での「周知」

文脈によって英語では以下のように表現されます。

  • inform(知らせる)
  • make known(広く知られるようにする)
  • notify(正式に通知する)
  • publicize(公に発表する)
  • well-known(周知の)

例文:

  • The new rule was made known to all employees.(新しい規則は全社員に周知された。)
  • As you are well-known, the issue is serious.(周知のとおり、この問題は深刻です。)

11. まとめ

「周知(しゅうち)」とは、情報を広く伝えて理解・共有させることを意味する言葉です。
ビジネスでは「周知徹底」「周知のとおり」などの形で使われ、単なる伝達ではなく「全員が理解している状態」を指します。
「知らせる」よりも丁寧で正式な印象を与えるため、報告書・案内文・社内連絡などに適した言葉といえるでしょう。

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