「逐次(ちくじ)」という言葉は、ビジネス文書やニュース、学術的な文章などでよく使われます。「逐次報告」「逐次通訳」「逐次処理」などのように使われますが、日常会話では少し堅い印象を持つ表現です。この記事では、「逐次(ちくじ)」の意味や使い方、似た言葉である「逐一」との違いをわかりやすく解説します。
1. 逐次とは?意味を詳しく解説
逐次(ちくじ)とは、「物事を順を追って一つずつ行うこと」「順番に次々と進めること」を意味します。
時間の経過に合わせて段階的に行う場合や、順序を大切に処理する場合に使われます。
例:
・プロジェクトの進捗を逐次報告する。
・作業は逐次進めてください。
・データを逐次処理するシステム。
つまり「逐次」とは、「順番に」「一つずつ」「段階的に」というニュアンスを持つ言葉です。
1-1. 読み方と漢字の意味
・読み方:ちくじ
・「逐」:順を追って進む、次々と行うという意味
・「次」:順番、次の段階
この二つを合わせることで、「順番を追って次々と行う」という意味が生まれます。
1-2. 英語での表現
逐次は文脈によって、英語では以下のように訳されます。
・sequentially(順を追って)
・step by step(段階的に)
・in succession(連続して)
例文:
・Data are processed sequentially.(データは逐次処理される。)
・The information will be reported step by step.(情報は逐次報告される。)
2. 逐次の使い方と例文
2-1. ビジネスでの使い方
・会議の内容を逐次共有する。
・作業工程を逐次確認する。
・顧客対応の結果を逐次報告してください。
ビジネスシーンでは「報告・処理・確認」など、段階的に進める業務に使われます。
2-2. IT・技術分野での使い方
・プログラムはデータを逐次処理する。
・逐次学習アルゴリズムを用いる。
・逐次的な入力に対して出力を更新する。
IT分野では、同時ではなく一つずつ処理を行う仕組みを「逐次処理」と呼びます。これは「並列処理」と対になる概念です。
2-3. 通訳・翻訳での使い方
・逐次通訳とは、話者が発言を区切りながら通訳者が順番に訳す方法。
・同時通訳よりも正確性が高く、落ち着いた進行ができる。
このように「逐次」は「順番に行う」という基本的な意味を持ちながら、さまざまな分野で使われています。
3. 逐次と逐一の違い
「逐次」とよく似た言葉に「逐一(ちくいち)」がありますが、使い方には違いがあります。
・逐次:順番に次々と行うこと(行動や処理の流れに注目)
・逐一:一つひとつ細かく確認・説明すること(詳細さに注目)
例:
・会議の進行を逐次報告する(段階ごとに報告する)
・会議の内容を逐一説明する(すべて細かく説明する)
つまり、「逐次」は流れの順番を、「逐一」は細かい部分を意識した表現です。
4. 逐次の関連語
・順次(じゅんじ):一定の順番に従って進めること。逐次よりも柔らかい言い方。
・段階的(だんかいてき):ステップごとに少しずつ進めること。
・連続的(れんぞくてき):途切れずに続いていること。
例:
・作業を順次行う(自然な流れで行う)
・改善を段階的に実施する(段階を踏んで行う)
・処理を逐次行う(順番を明確にして行う)
「逐次」はよりフォーマルで論理的な文脈に向いている表現です。
5. ビジネスメールでの使い方
ビジネス文書や報告書では、「逐次」は以下のように使われます。
・本件につきましては、逐次ご報告いたします。
・進捗状況は逐次共有いたします。
・対応は逐次進めておりますので、完了次第ご連絡いたします。
「随時」や「順次」と同様に、丁寧で公式な印象を与える言葉として用いられます。
6. 逐次という言葉の印象
「逐次」は、正確さや順序を重視する印象を与える言葉です。
一方で、日常会話ではやや堅苦しく感じられるため、カジュアルな場面では「順番に」「少しずつ」「順を追って」などに言い換えると自然です。
例:
・(ビジネス)対応を逐次進めます。
・(日常)順番に対応しますね。
このように場面に応じて使い分けるのがポイントです。
7. 逐次の類語と対義語
類語:順次、段階的、連続的、順を追って、少しずつ
対義語:一斉に、同時に、並行して
例:
・データを逐次処理する(順番に処理する)
・データを同時処理する(並行して処理する)
8. まとめ
逐次とは、「物事を順を追って次々に行うこと」を意味する言葉です。
ビジネスや技術、通訳の分野などで幅広く使われ、流れや段階を重視する表現として適しています。
「逐一」との違いを理解し、文脈に応じて使い分けることで、より正確で自然な日本語表現が可能になります。
