「送り出し」という言葉は、日常会話だけでなく相撲の専門用語としても使われます。しかし、文脈によって意味が異なるため正確に理解して使うことが大切です。この記事では「送り出し」の意味、相撲における用法、日常での使い方まで詳しく解説します。

1. 送り出しの基本的な意味

「送り出し」とは、相手を後方から押し出したり、後押しをして外へ出させる動作や行為を表す言葉です。

一般的な日本語としては「見送って出発させること」「外に押し出すこと」を指します。一方、相撲用語としては「後ろから押して土俵の外に出す決まり手」のことを意味します。

つまり、「送り出し」には以下のような二つの主要な意味があります。

相撲:決まり手の一つ

日常:人を外に送り出す行為や見送り

2. 相撲における送り出し

相撲の世界で「送り出し」は非常に多く見られる決まり手の一つです。

2-1. 決まり手としての定義

「送り出し」とは、相手の背後に回り込み、後方から押して土俵の外へ出す決まり手です。

特徴は、相手の体を前からではなく後ろから押し出す点にあります。力強さと同時に素早い身のこなしが必要とされる技です。

2-2. 発生の多い取り口

送り出しは、立ち合いで相手をかわしたり、動きの流れで背後を取ったときに出やすい技です。小兵力士が巨体の力士に勝つときにもよく用いられる場面があります。

2-3. 送り出しと類似技との違い

似た決まり手として「押し出し」や「突き出し」があります。

押し出し:相手の正面から押して土俵外へ出す

突き出し:突っ張りや腕で前から押して出す

送り出し:相手の背後から押して出す

このように、押す位置が「背後」である点が大きな違いです。

3. 日常生活における送り出しの意味

「送り出し」は相撲に限らず、日常会話でも使われます。

3-1. 出発を見送る意味

- 子どもを学校に送り出す - 夫を仕事へ送り出す - 友人を旅に送り出す

この場合は「見送り」や「出発を支援する」というニュアンスを含みます。

3-2. 組織や職場での使い方

- 先輩が後輩を次のステージに送り出す - 定年退職する人を送り出す会を開く

社会的な文脈では「支えながら次の場所へ進ませる」という意味で使われます。

4. 送り出しの例文

- 親は新社会人となった息子を笑顔で送り出した。 - 力士は素早く相手の背後に回り、送り出しで勝負を決めた。 - 部長を定年で送り出すセレモニーが開かれた。 - 学校へ向かう子どもを毎朝送り出すのが日課だ。

5. 送り出しの類語

送り出しと近い意味を持つ言葉を整理すると、文脈によって次のように分かれます。

5-1. 見送りに関する類語

- 見送る - 見送り出す - 送り立てる

5-2. 相撲や動作に関する類語

- 押し出し - 突き出し - 突き落とし

6. 送り出しの対義語

「送り出し」の対義語は文脈によって異なります。

日常語としては「迎え入れる」「出迎える」が反対語にあたります。

相撲の技としては明確な反対語はありませんが、正面から攻める「押し出し」とは対照的な概念といえます。

7. 英語での送り出し表現

日常的な「送り出す」を英語に訳すと以下のようになります。

send off(送り出す、見送る)

see off(見送る)

send out(外へ送り出す)

例文:

The parents sent off their son to college.(両親は息子を大学へ送り出した。)

We saw off our boss at the farewell party.(私たちは送別会で上司を送り出した。)

一方、相撲の「送り出し」は日本独自の概念であるため、英語では “okuridashi” とローマ字で表記されるのが一般的です。

8. ビジネスや文化における送り出し

「送り出し」という言葉は日本文化に根付いており、単に物理的に送り出すだけでなく「温かく支える」「門出を祝う」といった意味を含むこともあります。

例えばビジネスの場では、新しい部署や会社に異動する人を「送り出す」イベントが行われます。これは単に別れを告げるだけでなく、前向きなエールを込めた行為とされます。

また学校生活では、卒業生を在校生が送り出す「卒業式」も代表的な例です。送り出しには社会的な絆や連帯感を表す機能があるといえるでしょう。

9. まとめ

「送り出し」とは、相撲の決まり手としては「背後から相手を押し出す技」を意味し、日常では「人を外に出発させる、見送る」という意味を持つ言葉です。

相撲では押し出しや突き出しと区別される重要な決まり手であり、日常生活では子どもの登校や職場の送別、人生の節目を支える言葉として広く用いられています。

使い分けを理解することで、文化的背景を含めた豊かな表現ができるようになるでしょう。

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