「従事(じゅうじ)」という言葉は、ビジネス文書や就職活動、公式なスピーチなどでよく見かけますが、日常会話ではあまり使われないため、意味や使い方に迷う方も多いのではないでしょうか。本記事では、「従事」という言葉の正しい意味や使い方、例文、注意点までを詳しく解説します。

1. 従事の意味とは

1-1. 従事の基本的な意味

「従事」とは、ある仕事や作業に関わって取り組むことを意味する言葉です。主に職業や業務に関する文脈で使われ、「○○に従事する」という形で使用されることが一般的です。

1-2. 漢字から見る従事の成り立ち

「従」は「つく」「したがう」、「事」は「仕事」「こと」を表します。つまり、「事に従う=ある業務に専念・従属して取り組む」という意味合いが込められています。

1-3. 類義語との違い

似た表現に「携わる」や「就く」がありますが、「従事」はやや硬い表現で、特定の業務や職業に本格的に関わっている状態を指します。単に一時的な関与ではなく、継続的な従事を意味します。

2. 従事の正しい使い方

2-1. 「○○に従事する」という形が基本

「従事する」は自動詞の形で、「~に従事する」と目的語を「に」で接続します。たとえば、「教育に従事する」「医療業務に従事している」などのように使います。

2-2. 過去形や現在進行形での使い方

履歴書や職務経歴書では、「従事していた」や「従事中」といった形で時制を使い分けます。例:「営業職に3年間従事していました」

2-3. ビジネスでの使用シーン

ビジネスメールや報告書などでは、職務内容や関与しているプロジェクトを説明する際に使用されます。形式的な印象を与えるため、ビジネス文書に適しています。

3. 従事を使った例文

3-1. 職務に関する例文

- 現在、ソフトウェア開発業務に従事しております。 - 過去には介護職に長く従事しておりました。

3-2. 自己紹介・面接での使用例

- 前職では、主にマーケティング業務に従事しておりました。 - 私は教育業界に10年以上従事し、多くの生徒と関わってきました。

3-3. ビジネス文書での使用例

- 当社では、多数のエンジニアがシステム開発に従事しております。 - 関係各位には、今後とも本プロジェクトに従事していただきますようお願い申し上げます。

4. よく使われる「従事」の表現パターン

4-1. 「○○業務に従事する」

特定の職務を明示する場合によく使われます。例:「製造業務に従事」「保育業務に従事」

4-2. 「○○に長年従事している」

経験の長さを強調する際に使用します。例:「人材育成に長年従事」「財務管理に20年従事」

4-3. 「○○に現在従事中」

現在進行中の業務を説明する際に便利な表現です。例:「研究開発に従事中」「コンサル業務に従事中」

5. 従事の使い方に関する注意点

5-1. 日常会話ではやや堅苦しい表現

「従事」はフォーマルな表現であるため、カジュアルな会話では「働いている」「関わっている」などの言い換えが自然です。

5-2. 「従事する」の主語は基本的に人

業務や会社を主語にするのは不自然です。「〇〇は××業務に従事している」のように、人が業務に従う形にしましょう。

5-3. 目的語は具体的にする

「業務」「職務」など、抽象的な言葉だけでなく、「介護業務」「営業職」など、内容を具体的にすることで相手に伝わりやすくなります。

6. 「従事」を正しく使うためのコツ

6-1. 対象となる業務内容を明確にする

「従事する」は何に対して関わっているのかが重要です。抽象的にせず、業種や仕事内容を具体的に記述すると伝わりやすくなります。

6-2. 主語と動詞の一致に注意

「私は現在、○○業務に従事しております」というように、主語と述語の文法的な一致に注意し、丁寧で整った文章を心がけましょう。

6-3. 謙譲語との併用は避ける

「従事させていただいております」などはやや冗長で不自然な印象を与えることもあります。謙譲の気持ちを表す場合は別の表現を検討するとよいでしょう。

7. 他の敬語やビジネス表現との使い分け

7-1. 「携わる」との違い

「携わる」は関与や関心を示す柔らかい表現で、比較的幅広い場面で使えます。一方、「従事」はより直接的かつ継続的な関与を示します。

7-2. 「就く」との違い

「就く」は職に「つく」行為そのものを指しますが、「従事」はその職務に取り組んでいる状態を示します。例:「教職に就く」→職に就いたばかり、「教育に従事する」→現在職務を遂行している。

7-3. 「勤務する」との違い

「勤務する」は特定の組織や場所に属して働くことを表すのに対し、「従事する」は具体的な職務内容に焦点を当てます。

8. まとめ:従事の使い方をマスターするポイント

8-1. フォーマルな文脈で使うのが基本

従事はビジネスや公式な文書、面接などで使うと効果的な表現です。

8-2. 「○○に従事する」の形を覚える

「に」を使って関わる内容を表現するのが基本形です。間違えて「を従事する」としないよう注意しましょう。

8-3. 他の表現との違いを理解して使い分ける

「携わる」「就く」「勤務する」などとの違いを理解して、状況に応じて適切に使い分けると、表現の幅が広がります。

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