ビジネス文書や日常のやり取りの中で使われる「取り止め」という言葉。聞き慣れているようで、正確な意味や適切な使い方を知らない人も多いのではないでしょうか?この記事では、「取り止め」の意味や用例、類語、英語表現までを詳しく解説します。
1. 「取り止め」とは?基本的な意味と読み方
1.1 読み方と表記
「取り止め」は「とりやめ」と読みます。「取止め」や「取消し」と表記されることもありますが、いずれも意味はほぼ同じです。正式なビジネス文書では「取り止め」と漢字を用いることが一般的です。
1.2 意味の概要
「取り止め」とは、予定されていた物事、行事、計画、交渉、契約などを途中でやめること、中止することを意味します。外部の事情や内部の判断によって、進行中または予定された行動を停止する際に使われます。
2. 「取り止め」の使い方と例文
2.1 ビジネスにおける使用例
ビジネス文書やメールでは、丁寧で穏やかな表現が求められます。「取り止め」は柔らかく中止の意向を伝える言葉として重宝されます。
例文:
「誠に勝手ながら、本日の会議は取り止めとさせていただきます。」
「取引先の都合により、契約の締結は取り止めとなりました。」
2.2 日常会話での使い方
日常でも、予定や行動のキャンセルを表現する際に使われます。
例文:
「雨のため、バーベキューは取り止めになった。」
「あの件、やっぱり取り止めた方が良いかもしれない。」
2.3 公的なお知らせでの使用
「取り止め」は公式なお知らせやニュースでもよく使われる表現です。イベントや交通機関の運行に関する中止案内に登場します。
例文:
「台風接近に伴い、花火大会は取り止めといたします。」
「本日予定されていた講演会は、主催者の判断により取り止めとなりました。」
3. 「取り止め」と似た言葉との違い
3.1 「中止」との違い
「中止」は広く一般的に使われる表現で、「取り止め」よりも直接的で事務的な印象を与えることがあります。「取り止め」の方がやや丁寧で控えめな印象があります。
例:
イベントの「中止」→事務的、公式発表向き
イベントの「取り止め」→柔らかく、相手に配慮した表現
3.2 「キャンセル」との違い
「キャンセル」はカタカナ語で、予約や申し込みなどの取消しに多く使われます。「取り止め」はカタカナ語よりもフォーマルな印象を持ちます。
例:
ホテルの予約を「キャンセルする」
商談を「取り止める」
3.3 「見送る」との違い
「見送る」は、その時点で実施をしないという判断をすることを意味します。「取り止め」は、すでに進んでいた物事を中止するという意味で使われます。
例:
「今回の導入は見送る」→実施を延期または再検討するニュアンス
「導入計画を取り止める」→完全に中止するニュアンス
4. 「取り止め」の類語とその使い方
4.1 中止
先述のとおり、もっとも一般的な類語です。公的な発表や文書でよく使われ、明確に中断を伝えたい場合に適しています。
4.2 打ち切り
途中で物事を強制的に終わらせる意味があります。連載、支援、プロジェクトなどでよく使われます。
4.3 取消し
既に決定された内容を無効にすることを指します。契約、予約、申請など法的・事務的な場面で多用されます。
4.4 放棄
自らの意志で計画や権利を断念することを表します。より主体的な中止やあきらめのニュアンスが含まれます。
4.5 辞退
申し出や参加を断ることを意味します。「取り止め」とは異なり、相手からの依頼や招待に対して自分が断る場合に使われます。
5. 「取り止め」の英語表現
5.1 Cancel
もっとも一般的な対応語で、予約やイベントの中止に用いられます。
例文:
The meeting has been canceled.
We decided to cancel the project.
5.2 Call off
「キャンセルする」の口語的な表現で、ニュースや会話でよく使われます。
例文:
The event was called off due to rain.
5.3 Withdraw
契約や申し出を「取りやめる」「撤回する」というニュアンスで使われます。
例文:
The company withdrew its offer.
5.4 Terminate
契約などを正式に終了させるときに使われる表現です。「打ち切る」に近い意味があります。
例文:
The agreement was terminated by mutual consent.
6. まとめ:「取り止め」は丁寧に中止を伝える言葉
「取り止め」という言葉は、予定や行動を中止することをやわらかく伝える日本語特有の表現です。日常的な会話からビジネス、公式文書にいたるまで広く使われ、状況や相手に配慮した伝え方ができるのが特徴です。「中止」「キャンセル」「見送る」などの言葉との違いや使い分けを理解し、場面に応じた適切な表現を選ぶことで、より円滑で丁寧なコミュニケーションが可能になります。