「発出(はっしゅつ)」という言葉は、行政文書やビジネス文書でしばしば目にしますが、日常会話ではあまり聞き慣れない言葉です。そのため、正確な意味や使い方に迷うこともあるでしょう。この記事では、「発出」の意味、使い方、似た言葉との違い、誤用を避けるポイントなどをわかりやすく解説します。
1. 「発出」とはどういう意味か?
1-1. 「発出」の基本的な意味
「発出」とは、公式な文書や命令、通知などを外部に向けて出すことを意味する語です。「発令」や「通知」と近い意味を持ち、主に行政機関や企業などでのフォーマルな発信に使われます。
たとえば、「緊急事態宣言を発出する」といった言い回しは、政府や自治体が国民に向けて公式に通知を出す行為を指します。
1-2. 読み方は「はっしゅつ」
「発出」は「はっしゅつ」と読みますが、「はつしゅつ」と読まれることもあり、混同しやすい点に注意が必要です。正しい読みは「はっしゅつ」です。
2. 「発出」が使われる場面
2-1. 行政機関や自治体による通知
「発出」は国や地方自治体が文書を外部に向けて出す際によく使われます。具体的には以下のような場面です。
例:
緊急事態宣言の発出
注意喚起文書の発出
指示や要請の発出
これらはいずれも、何らかの公式情報を文書として外部に通知する行為を指しています。
2-2. 企業による社内外への通達
企業においても、「発出」は社内外に向けた通知文書で使われます。特に、人事異動、方針変更、規則の改定などを知らせる文書で用いられることがあります。
例:
勤務体制変更に関する通知文を発出する
ガイドライン改訂のお知らせを発出する
2-3. 報道やメディアでの使用
ニュース記事や報道では、「発出」が多く使われます。特に災害や感染症対策の報道において、政府や関係機関が発する通知としての文脈が多いです。
例:
気象庁が警報を発出
厚労省が指針を発出
3. 「発出」の使い方と文例
3-1. 使い方の基本パターン
「発出する」という動詞表現で使われるのが一般的です。使い方は「通知を発出する」「命令を発出する」といった形が基本です。
3-2. 文例で理解する
例1:
本日、厚生労働省より新たなガイドラインが発出されました。
例2:
当社では新型コロナウイルス対策として、在宅勤務に関する方針を発出しました。
例3:
災害発生に伴い、県から避難指示が発出されました。
これらはすべて、公式・形式的な情報発信の文脈で使われています。
4. 「発出」と類語の違い
4-1. 「通知」との違い
「通知」は情報を知らせることそのものを指します。一方で、「発出」は通知という行為を公式な手続きとして外部に向けて実行するという意味合いを持ちます。
通知:知らせること全般
発出:正式な形で通知を発すること
4-2. 「発令」との違い
「発令」は命令や指令などを公式に出す場合に使われる語です。階級のある命令や、法律・制度に基づく指示に対して使われることが多く、「発出」よりも強い意味合いを持ちます。
発令:命令的な要素が強い
発出:通知・発信的な性格が強い
4-3. 「公表」との違い
「公表」は広く一般に情報を公開する意味があります。報道発表やホームページでの公開に該当しますが、必ずしも文書の形であるとは限りません。
公表:広く知らせる
発出:文書として正式に発信する
5. 「発出」を使うときの注意点
5-1. 口語では使わない
「発出」は非常にフォーマルな言葉であり、日常会話で使うと不自然に響きます。会話では「通知する」「知らせる」などの表現に置き換えるのが適切です。
5-2. 誤読に注意する
「発出」を「はつしゅつ」と読む人もいますが、正しくは「はっしゅつ」です。特にスピーチやプレゼンで使う場合には、読み間違いに注意しましょう。
5-3. ビジネス文書では場面に応じて使用を判断
「発出」は書類の硬さや正式さを強調するために有効ですが、社内のメールや軽い通知では「案内」「通知」などの言葉の方が自然です。相手や内容に応じた使い分けが必要です。
6. 「発出」を英語で表現すると?
6-1. issueが最も近い表現
英語で「発出」に相当するのは「issue」という単語です。公式に文書や通知を出すという意味でよく使われます。
例:
The government issued a state of emergency.
(政府が緊急事態宣言を発出した。)
6-2. 他の表現:releaseやannounce
状況によっては「release(公開する)」や「announce(発表する)」も用いられます。ただし、「発出」のように文書ベースでの公式通知であれば「issue」が最も適切です。
7. まとめ:「発出」は公的な情報発信の表現
「発出」という言葉は、正式な文書や通知を外部に向けて出すことを意味し、主に行政や企業、報道機関などで使われる格式の高い言葉です。「通知」「発令」「公表」などの類語と意味の違いを理解することで、場面に応じた適切な表現ができるようになります。フォーマルな文書作成において、「発出」は非常に有効な語ですので、正しい意味と使い方を身につけておきましょう。