会話や文章でよく使われる「併せる」という言葉ですが、具体的な意味や使い方に迷う方も多いのではないでしょうか。本記事では、「併せる」の意味や使い方を例文とともに丁寧に解説し、日常的にもビジネスでも活かせる知識をお届けします。

1. 「併せる」の基本的な意味

1.1 「併せる」の読み方と語源

「併せる」は「あわせる」と読みます。この語は、「二つ以上のものを一つにする」「合わせる」といった意味合いを持ち、「合う」と「せる(使役)」が組み合わさった語です。「合わせる」との違いは後述します。

1.2 「併せる」とはどんな意味か

「併せる」は、複数のものを統合・合体させるという意味があります。単に物理的な合体だけでなく、計画や意見などの精神的・抽象的なものにも使われます。
例:
・二社を併せて新会社を設立した。
・意見を併せて最終案を決定する。

1.3 「合わせる」との違い

「併せる」と「合わせる」は、どちらも「あわせる」と読み、意味も類似していますが、使い分けが必要です。「併せる」は主にフォーマルな文章やビジネス文書に使われ、「合わせる」はより広範に口語・日常表現でも用いられます。

2. 「併せる」の使い方と用例

2.1 ビジネスシーンでの使用例

ビジネスでは、「併せてご確認ください」「資料を併せて提出します」などのように、他の物事と一緒にするというニュアンスで頻繁に使用されます。
例文:
・本件は先日の会議資料と併せてご覧ください。
・A案とB案を併せた提案書を作成しました。

2.2 日常会話や手紙での使い方

フォーマルな手紙や目上の人へのメールなどでは、「併せてご報告いたします」「併せてご連絡差し上げます」など、丁寧さを強調する言い回しとして使われます。

2.3 古典的・書き言葉での表現

書き言葉や古典的表現としても、「併せる」は重厚感のある語として使われます。文語調の文章や文学作品に見られることもあります。

3. 「併せる」の類語と意味の違い

3.1 類語1:「合体する」

「併せる」は「合体する」とほぼ同義ですが、「合体」はより物理的・構造的な統合に使われる傾向があります。
例:
・二つのパーツを合体させる。
・企業が合体して一つのグループとなる。

3.2 類語2:「統合する」

「統合する」は、組織や情報、制度などを一つにまとめる意味で、「併せる」と近いですが、より規模が大きく抽象的な印象を与えます。
例:
・部署を統合して新たな組織を立ち上げる。
・データベースを統合する作業。

3.3 類語3:「合致させる」

「合致させる」は、「併せる」と違い、内容や条件が一致するように調整する意味が強調されます。
例:
・予算と計画を合致させる。
・相手の希望に合致するよう調整する。

4. 「併せる」の活用と文法的特徴

4.1 活用形一覧

「併せる」は下一段活用の動詞です。基本的な活用は以下の通りです。
・未然形:併せない
・連用形:併せます
・終止形:併せる
・連体形:併せるとき
・仮定形:併せれば
・命令形:併せよ

4.2 受け身・使役表現

受け身形:「併せられる」 使役形:「併せさせる」
例文:
・意見を併せさせていただきました。
・複数の情報が併せられて分析された。

5. 「併せる」が使われる慣用句・表現

5.1 「併せて」

副詞的に使われる「併せて」は、何かに加えて一緒に、という意味を持ちます。
例:
・ご挨拶を併せて申し上げます。
・資料を併せて送付いたします。

5.2 「力を併せる」

共同作業や協力を意味する表現として、「力を併せる」もよく使われます。
例:
・皆で力を併せて取り組みましょう。
・困難を乗り越えるために力を併せた。

6. 「併せる」が使われる場面と注意点

6.1 使うべき場面

フォーマルな文章やビジネスメール、報告書、企画書など、少しかしこまった文脈での使用が好まれます。

6.2 注意点:口語では不自然になることも

日常会話で多用するとやや硬い印象を与えるため、「合わせる」などの柔らかい語に置き換えるのが自然な場合もあります。

6.3 表記の揺れに注意

「併せる」と「合わせる」の誤用が起きやすいため、文脈に応じて適切な漢字を選ぶ必要があります。

7. まとめ

「併せる」は、複数のものを一つにまとめる、あるいは同時に行うという意味を持ち、フォーマルな文脈で特に好まれる言葉です。「合わせる」との違いを意識し、ビジネス文書や丁寧な表現が求められる場面で使うと効果的です。類語や活用も理解し、文脈に応じた正しい使い方を心がけましょう。

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