ビジネスシーンでは「支障をきたす」という表現がよく使われますが、正しく使えていないと堅苦しくなったり、相手に誤解を与えることもあります。本記事では、この言葉の意味や使い方、例文、言い換え表現、注意点などを網羅的に紹介します。状況に応じた適切な活用法を身につけましょう。

1. 「支障をきたす」とは?

1-1. 意味と語源

「支障をきたす」とは、「物事の進行や遂行に問題・障害が生じること」を意味します。「支障」は妨げや障害を、「きたす」は引き起こす・もたらすという意味を持ちます。つまり、「支障をきたす」は“何らかの問題を引き起こす”という丁寧な表現になります。

1-2. よく使われる場面

・プロジェクトの進行
・納期やスケジュール調整
・業務連携やシステム障害
・取引先とのやりとりでのリスク共有

2. ビジネスにおける使用例

2-1. 社外向けメールの例

お世話になっております。
昨日のシステム障害により、一部のお客様へのご案内が遅れ、業務に支障をきたす状況となっております。
現在、早急に復旧対応を進めております。

このように、丁寧ながらも状況の深刻さを伝えることができます。

2-2. 社内報告での使用例

・「リソース不足がプロジェクト全体の進行に支障をきたしています。」
・「想定外のトラブルが、サービス提供に支障をきたす恐れがあります。」

2-3. 会議資料での活用例

スライドタイトル:「進行に支障をきたす要因」
本文:
以下の3点が現時点で支障をきたす可能性のある主な懸念事項です。
① 人的リソース不足
② 外注先の納期遅延
③ 必要機材の納入遅れ

3. よくある言い換え表現

3-1. フォーマルな言い換え

・影響を及ぼす
・支障が出る
・不具合が生じる
・妨げとなる
・障害となる

3-2. やや柔らかい表現

・順調に進まない
・滞りが発生する
・問題が生じる
・影響が懸念される

3-3. 具体的な状況に即した言い換え

・納期に間に合わなくなる
・円滑な運用ができなくなる
・サービスに悪影響を与える

言い換え表現を使うことで、文章にバリエーションを持たせたり、ニュアンスを調整できます。

4. 表現の使い方のポイント

4-1. 主語との一致に注意

「〇〇に支障をきたす」という形で、何に問題が起きているのかを明確にしましょう。

例:
・「人的ミスが納期に支障をきたしました」
・「通信障害が業務遂行に支障をきたしています」

4-2. 過度な使用を避ける

すべての問題や遅れに対して「支障をきたす」と表現すると、文章が単調になります。軽微な問題や前向きな対応がある場合は、柔らかい表現に言い換えるのが効果的です。

4-3. ポジティブなフォローを添える

例:
「一部業務に支障をきたしておりますが、対応策を講じており近日中に回復見込みです。」

5. 英語での表現

5-1. 代表的な表現

・cause a problem
・hinder operations
・interfere with progress
・disrupt workflow
・affect the process

5-2. 英文メール例

Dear Team,
The system failure yesterday caused a disruption in our daily operations, affecting client communications.
We are working to resolve the issue as quickly as possible.

このように、「支障をきたす」は状況やニュアンスに応じて複数の英訳があります。

6. 使用時の注意点

6-1. 強い表現であることを意識

「支障をきたす」はやや重い印象を与えるため、頻繁な使用や軽微な問題に使うと過剰な表現になることがあります。

6-2. 誰が・何が・どのようにに注意

原因・対象・影響の範囲を具体的に記述することで、伝わりやすく、信頼性の高い文書になります。

例:
×「今のままでは支障をきたします」
○「人的リソースの不足により、今後の進行に支障をきたす可能性があります」

7. よくある質問(FAQ)

7-1. 社外向けに使っても大丈夫?

問題ありません。ただし、相手に責任があるように聞こえないよう注意が必要です。「〇〇により支障をきたしております」ではなく、「現在、当方の対応が遅れており〜」など配慮を入れるのがベターです。

7-2. 「問題が起きています」との違いは?

「支障をきたす」は、問題が業務や進行に悪影響を及ぼしている状態まで含意します。単なる「問題発生」よりも影響の度合いが強いです。

7-3. プレゼンで使ってもよい?

はい。ただし、口頭では「〇〇に影響しています」「進行に遅れが出ています」など、聞きやすく平易な表現に言い換えるとスムーズです。

まとめ

「支障をきたす」は、ビジネスの現場で問題や障害が進行に影響を及ぼしている状況を伝えるために非常に便利な表現です。ただし、その重さや堅さから使用頻度や文脈に注意が必要です。柔らかい言い換えや具体的な内容を添えて、より自然で説得力のある表現を目指しましょう。適切な使い方を身につけることで、より伝わるビジネス文書やメールを作成することができます。

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