ビジネス文書やメールでよく目にする「上記(じょうき)」という言葉。しかし、文脈や相手によっては使い方を誤ると不自然になってしまうこともあります。この記事では、「上記」の意味、適切な使い方、例文、敬語との組み合わせ方、使うときの注意点まで、丁寧に解説していきます。

1. 上記とは何か?

1-1. 読み方と意味

「上記(じょうき)」は、「上に記したこと」「文中の先に述べた事柄」を指す語で、文章内で前述の内容を再度参照したり、指し示したりする際に用います。

1-2. 類語との違い

「前述」や「上述」なども似た意味を持ちますが、「上記」は文中で簡潔に指示語のように使えるのが特徴です。「前述」は書き手の文章全体に焦点があり、「上記」は文書構造内での位置を重視します。

2. 上記の使い方

2-1. 名詞的に使う

「上記の内容」「上記の通り」など、名詞と組み合わせて修飾語句として使うことができます。

例:

* 上記のご案内をご確認ください。
* 上記日程で問題がなければ、ご返信をお願いいたします。

2-2. 単独で使う

名詞と合わせず、単独で「上記をご参照ください」などと使う場合もあります。この場合は前述の文章全体を指すことが多いです。

例:

* 上記をご理解のうえ、お申し込みください。

2-3. 箇条書き・図表との併用

文中で番号や項目を列挙したあと、「上記1」「上記②」などと用いて、それぞれの項目を参照する場面でも使用できます。

3. 上記を使った例文

3-1. ビジネスメールでの例文

- 上記の資料につきまして、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
- 上記の件、承知いたしました。
- 上記スケジュールで進行させていただきます。

3-2. 社内報告・文書での例文

- 上記の理由により、本計画は延期となりました。
- 上記の通り、変更点をご報告いたします。

3-3. 書類・契約書での例文

- 上記条件に同意いただける場合は、署名をお願いいたします。
- 上記金額は税込みでの表記となっております。

4. 上記と敬語の組み合わせ方

4-1. 「上記の通り」+敬語文

「上記の通り、ご確認願います」「上記の通りにご対応いただけますと幸いです」など、敬語表現と組み合わせて使うと丁寧な印象を与えられます。

4-2. 「上記」+「ご査収」「ご参照」などの敬語表現

- 上記をご査収ください
- 上記をご確認ください
- 上記をご参照いただけますようお願い申し上げます

4-3. 相手への配慮を込めた表現

「上記の件、恐縮ですが〜」「上記につきまして、ご多忙の折恐縮ですが〜」などの表現もよく使われます。

5. 「上記」との混同に注意すべき語

5-1. 「前述」「上述」

「前述」は「先に述べた内容」を意味し、「上記」と意味は近いですが、やや文章全体の流れを重視した表現です。一方、「上述」はフォーマルな文書で使われやすく、「上記」より硬い印象があります。

5-2. 「以下」

「以下」は「これから述べる内容」を指す語で、「上記」とは逆方向の指示をする言葉です。混同しないよう注意しましょう。

6. 上記を使う際の注意点

6-1. 何を指すのかが曖昧にならないように

「上記」がどの文章や項目を指しているかが不明確になると、誤解を生むおそれがあります。可能な限り具体的に書くと読み手に優しい文章になります。

例:
× 上記をご確認ください
〇 上記3点をご確認ください

6-2. 繰り返しの多用を避ける

「上記〜」「上記〜」と何度も使うと文章が単調になります。「それら」「前述のように」などでバリエーションをつけましょう。

6-3. 口語表現との不一致に注意

「上記」は基本的に書き言葉なので、会話では不自然に聞こえる場合があります。口頭では「さっきの内容」「先ほどの話」といった表現に置き換える方が自然です。

7. 上記の英語表現

7-1. 英訳の一例

「the above」「above-mentioned」「as stated above」などが一般的な英訳です。

例:

* Please refer to the above.(上記をご参照ください)
* As stated above, the project will be delayed.(上記の通り、本プロジェクトは延期されます)

7-2. ビジネス英語としての応用

英語でも同様に、「上記」は文書の参照箇所を明示する表現として使用されます。特に報告書やメール、契約書などで多用されます。

8. まとめ

「上記」とは、文章の中で「すでに述べた内容」を指し示す表現です。ビジネス文書やメールなど、正確性や簡潔さが求められる場面で多用されますが、使用する際は指す対象を明確にする、繰り返しすぎない、敬語と組み合わせるなどの工夫が求められます。使い方を適切に理解することで、文書全体が読みやすくなり、相手にも誤解を与えずに済むでしょう。

まとめ

「上記」は、文章内で前に述べた内容を指す語で、ビジネスや公的文書で頻繁に使われる。具体的な指示先を明示し、敬語と合わせることで丁寧な印象を与えられる。類語や逆語との違いを理解し、文脈に応じた使い方を心がけることが大切である。

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