「とのことです」は、ビジネスシーンでよく使われる表現の一つです。しかし、正しい敬語の使い方やニュアンスを理解していないと誤解を招いたり、失礼にあたることもあります。この記事では、「とのことです」の意味や敬語表現としての位置づけ、使い方のポイントやビジネスでの例文を詳しく解説します。

1. 「とのことです」の基本的な意味と成り立ち

1-1. 「とのことです」とは何か?

「とのことです」は、「~ということです」という意味を持つ表現の一つです。
主に第三者から聞いた情報や伝え聞いた内容を報告・伝達する時に用います。
直接的に断定するよりも、少し柔らかく伝えるニュアンスを含んでいます。

例えば、上司や顧客からの連絡内容を部下に伝えたり、逆に部下の報告を上司に伝える際に使われることが多いです。

1-2. 「とのことです」の語源

「とのこと」は、「と(引用の助詞)」+「のこと(事柄)」で構成されており、「~だという事柄」と訳せます。
「です」は丁寧語であり、話し手が聞き手に対して丁寧に伝える形です。
つまり「とのことです」は「~ということだ」という内容を丁寧に伝える言い回しと理解できます。

2. 「とのことです」は敬語なのか?敬語の種類を整理する

2-1. 敬語の基本3分類とは

敬語には大きく分けて「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類があります。
尊敬語は相手の動作や状態を高める表現、謙譲語は自分の動作を控えめに言う表現、丁寧語は話し手の言葉を丁寧に伝えるための言葉遣いです。

2-2. 「とのことです」はどの敬語か?

「とのことです」は「丁寧語」に分類されます。
話し手が聞き手に対して丁寧に情報を伝える表現であり、直接相手の動作を高める尊敬語ではありません。
また、自分の動作を控えめにする謙譲語でもないため、間接的に丁寧なニュアンスを持つ表現です。

2-3. なぜ丁寧語として使われるのか?

「です」という語尾の丁寧さによって、単なる報告や伝聞よりも柔らかく、礼儀正しく聞こえます。
また「とのこと」という表現自体が間接的で控えめな伝え方なので、丁寧語としてビジネスでよく使われるのです。

3. 「とのことです」の正しい使い方とよくある誤用

3-1. 使い方の基本ルール

・第三者の情報を伝える際に使う
・断定的でなく、少し余裕を持った伝え方ができる
・自分の意見や意思を表現するときには使わない

3-2. 具体例で学ぶ正しい使い方

・「担当者が来週までに対応するとのことです。」
・「お客様からご満足いただけたとのことです。」
・「上司より来週の会議は中止とのことです。」

これらはすべて、第三者の発言や状況を丁寧に伝えている例です。

3-3. よくある誤用例

× 「私が行くとのことです。」(自分の意思の表現には使わない)
× 「絶対に成功するとのことです。」(断定的な強い表現は避ける)
× 「とのことですので、必ず参加してください。」(強い命令調に使うのは不自然)

4. 「とのことです」を使ったビジネスメール例文集

4-1. 上司への報告メール例

件名:顧客対応の件について

お疲れ様です。
先ほど営業部より連絡がありました。担当者からは、次回の訪問は来週の火曜日とのことです。
詳細が分かり次第、改めてご報告いたします。

よろしくお願いいたします。

4-2. クライアントへの連絡メール例

件名:納品日変更のご連絡

お世話になっております。
ご依頼いただいた商品の納品日について、製造部より確認したところ、納品日は来月10日とのことです。
ご迷惑をおかけしますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。

4-3. 社内共有メール例

件名:会議日程変更のお知らせ

皆様へ
総務部からの連絡によりますと、来週の定例会議は金曜日から木曜日に変更とのことです。
ご予定の調整をお願いいたします。

5. 「とのことです」に似た表現との使い分け

5-1. 「とのことだ」との違い

「とのことだ」は話し言葉やカジュアルな場面で使われます。
ビジネス文書やメールでは「とのことです」が適切です。

5-2. 「そうです」との違い

「そうです」は口語的で、直接的な伝聞に使います。
「とのことです」はより丁寧かつ間接的に伝える表現です。

5-3. 「と伺っております」との違い

「と伺っております」は謙譲語を含み、相手や上司から聞いた情報を敬意を込めて伝える際に使います。
「とのことです」は一般的な伝聞で、謙譲のニュアンスは薄いです。

6. 敬語としての「とのことです」を使うときのマナー

6-1. 相手や状況を考慮して使う

目上の人や顧客に対しては、「とのことです」だけでなく、他の敬語表現と組み合わせて使うとより丁寧です。
例:「○○様より、来週の会議は中止とのことでした。」

6-2. 報告や連絡の正確さを心がける

「とのことです」は間接的な表現ですが、情報の正確性や最新の状況を確認してから使うことが重要です。

6-3. 文末の敬語表現とセットで使う

「とのことです」の後に「よろしくお願いいたします」など、丁寧な締めくくりを添えることで、ビジネスマナーとしての完成度が高まります。

7. まとめ

「とのことです」は、第三者の情報を丁寧に伝える際に便利な敬語表現です。
ビジネスメールや電話対応、報告書などさまざまな場面で活用できます。
しかし、自分の意見や意思表明には使わず、断定的な表現を避けることがポイントです。
本記事の例文やポイントを参考に、適切に使いこなしていただければ幸いです。

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