「許諾をいただく」は、何かを行う前に相手の承諾を丁寧に求めたり、得たことを表現するビジネス用語です。使用頻度は決して高くありませんが、著作物や権利に関する話題、社内外の調整時など、正式な表現を求められる場面で非常に有効です。この記事では「許諾をいただく」の意味、使い方、言い換え例、注意点まで詳しく解説します。
1. 「許諾をいただく」の意味とは
1-1. 「許諾」とは何か
「許諾」とは、「相手が行おうとしている行為を認めて許すこと」を意味する言葉で、「承諾」や「許可」に近い意味を持ちます。ただし「許諾」は、特に法律や知的財産権など、やや専門的・形式的な場面で使われることが多い点が特徴です。
1-2. 「いただく」で丁寧な印象に
「許諾をいただく」という表現は、「許諾」の名詞に謙譲語である「いただく」を付けることで、相手に対する敬意を含んだ表現になります。自分が相手から許しを得るという意味合いがより丁寧に伝わります。
2. 「許諾をいただく」が使われる場面
2-1. 著作物の使用に関する表現
・画像や文章、映像などの著作物を使用したい場合
・第三者の権利に関わる情報を社内・社外資料に含めたいとき
例:
「本資料に掲載する図版の使用について、事前に許諾をいただいております」
「著作権者からの許諾をいただいたうえで使用しています」
2-2. 社内外での承認・承諾を得る場面
・他部署の業務に関わる調整
・役員や上司への事前確認が必要な場合
例:
「本プロジェクトの進行について、関係部署より許諾をいただいております」
「撮影の実施に際しては、事前に広報部から許諾をいただきました」
3. 類語や言い換え表現
3-1. 近い意味を持つ丁寧表現
・承諾を得る
・ご了解をいただく
・許可を得る
・ご了承いただく
これらは使用場面がやや異なりますが、柔らかく、より一般的な表現を用いたい場合には有効です。
3-2. 言い換えのニュアンスの違い
・「承諾を得る」:ややフォーマル。合意に近いニュアンス
・「許可を得る」:法的・制度的な許しの印象が強い
・「ご了承いただく」:事後の報告や黙認に近い表現
「許諾をいただく」は、これらの中でも最も厳密さやフォーマルさを求める場面に適しています。
4. メールや文書での使用例
4-1. 社内向け
・「当日の写真撮影について、施設管理部より許諾をいただいております」
・「会議室の使用に関し、部門長から許諾をいただきました」
4-2. 社外向け
・「御社ロゴの使用に関しまして、貴社より正式に許諾をいただけますと幸いです」
・「サイト掲載用のインタビュー内容について、事前に許諾をいただいております」
4-3. お願い表現として
・「つきましては、本件内容をご確認のうえ、許諾をいただけますでしょうか」
・「以下内容に関し、あらかじめ許諾をいただきたく存じます」
5. 使用時の注意点
5-1. フォーマルすぎる場合もある
「許諾をいただく」は、一般的なやり取りの中ではやや堅い印象を与えることもあります。特に社内やカジュアルな関係では、状況に応じて「承諾」や「了承」などの表現に言い換えた方が自然な場合もあります。
5-2. 許諾が必要な範囲を明確にする
許諾を求める際は、何に対しての許諾なのかを明確に伝える必要があります。あいまいなまま依頼すると、誤解を招くおそれがあります。
5-3. 文書や契約書での使用にも注意
ビジネス文書や契約書では、「許諾」は特定の法律用語や定義に基づくため、表現の正確さが求められます。必要であれば法務部門などと相談し、文言を慎重に確認することが重要です。
6. 「許諾をいただく」の反対表現
6-1. 許諾を得られなかった場合の言い回し
・「誠に恐れ入りますが、許諾を得ることができませんでした」
・「本件に関しては、許諾をいただくことが叶いませんでした」
・「ご要望に添えず恐縮ではございますが、今回は許諾不可とのご回答を頂戴しております」
丁寧に断る際にも、相手に対する配慮を忘れない文言が求められます。
7. 「許諾をいただく」の英語表現
7-1. 英語での言い換え例
・obtain permission
・receive authorization
・get approval
例文:
・We have obtained permission to use the data.
・We received authorization from the client.
・We would like to get your approval prior to proceeding.
ビジネスメールでも、適切な言い回しを選ぶことで、丁寧さと正確さを両立させられます。
まとめ
「許諾をいただく」は、ビジネスの中でも特に正式な場面で使われる丁寧な表現です。著作物の使用や権利関係、他部署との調整、外部との交渉などで、相手に対する敬意を持って承諾を得る際に有効です。意味を正しく理解し、場面に応じた適切な使い方を心がけましょう。言葉の選び方ひとつで、信頼関係や印象は大きく変わります。