ビジネスの場では、相手のメッセージを代わりに伝える場面が少なくありません。その際に使える表現の一つが「言伝を預かりました」です。本記事では、この表現の意味、使い方、類語との違いや適切な返し方について詳しく解説します。

1. 「言伝を預かりました」の意味とは

1-1. 「言伝」とは何か

「言伝(ことづて)」とは、人の言葉や伝えたい内容を、他の人に伝えること、あるいはその内容自体を意味します。「伝言」に近い言葉ですが、やや改まった表現であり、丁寧で柔らかな印象を与えます。

1-2. 「預かる」のニュアンス

「預かる」は、物や用件などを一時的に保管・管理するという意味ですが、「言伝を預かる」の場合は、「相手の伝言を一時的に自分が預かっておき、後ほど適切な相手に伝える」というニュアンスになります。

1-3. 丁寧で控えめな表現

「言伝を預かりました」は、ただ「伝言を承りました」と言うよりも、やや控えめで丁寧な印象があります。自分があくまで中継者であることを表現しているため、ビジネスの場にふさわしい言い回しといえるでしょう。

2. ビジネスシーンでの使い方と例文

2-1. 電話対応での使用例

電話を受けた際、担当者が不在であった場合、次のように対応できます。

例文:
「○○は現在外出しておりますので、言伝を預かってもよろしいでしょうか?」

もしくは、すでに伝言を受けた場合には、

例文:
「ご伝言の件、言伝を預かりました。戻り次第、本人に申し伝えます。」

2-2. メールでの使用例

メールで「言伝を預かりました」と表現する場面は稀ですが、文面に丁寧さを持たせたいときには使用可能です。

例文:
「先ほどの件、〇〇様よりのご伝言、確かに言伝を預かりました。担当に申し伝えております。」

2-3. 対面での使用例

上司や取引先の代理として何かを伝える場合に使うことで、誠意や丁寧さを示せます。

例文:
「本日は部長が出席できず、代わりにご挨拶をお伝えするように言伝を預かっております。」

3. 「言伝を預かりました」を使う際の注意点

3-1. 伝言ミスを防ぐために

言伝を預かったら、なるべく正確に内容をメモし、迅速に該当者へ伝える必要があります。「預かった」責任を持つという意識が大切です。

3-2. あいまいな内容は確認する

言伝の内容が曖昧な場合は、必ず確認しましょう。たとえば「明日、例の件について…」など抽象的な表現は、誤解を生む可能性があります。

確認例文:
「恐れ入りますが、“例の件”とはどの件か、念のため確認させていただいてもよろしいでしょうか?」

3-3. 相手に安心感を与える対応

言伝を預かった際、「責任を持ってお伝えします」「〇〇まで必ず申し伝えます」といった一言を添えると、相手に安心感を与えることができます。

4. 類似表現との比較と言い換え

4-1. 「伝言を承りました」との違い

「伝言を承りました」は、ややビジネスライクで事務的な印象があります。一方「言伝を預かりました」は、柔らかさと丁寧さを兼ね備えている表現です。

4-2. 「申し伝えます」や「お伝えいたします」との違い

「申し伝えます」は、預かった内容をこれから相手に伝えるという意志を示す表現。「言伝を預かりました」はその前段階である「受け取った」ことに焦点を当てています。

4-3. 「言伝をお預かりいたしました」も可能

より丁寧な形として、「言伝をお預かりいたしました」という言い回しもあります。相手が目上であれば、こちらのほうが無難です。

5. 「言伝を預かりました」に対する返し方

5-1. ありがとうと感謝を示す

言伝を受け取ったことを伝えてくれた相手には、「ありがとうございます」「助かります」と感謝を述べるのが一般的です。

例文:
「ご丁寧にありがとうございます。よろしくお伝えください。」

5-2. 依頼を続ける場合

さらに詳しい内容や要件を伝えてもらいたい場合は、「恐れ入りますが、○○の件についても言伝をお願いできますでしょうか」と丁寧に依頼しましょう。

6. まとめ

「言伝を預かりました」という表現は、ビジネスシーンにおいて相手の言葉を丁寧に受け取り、中継者としての責任を果たす姿勢を表す重要なフレーズです。使い方次第で、あなたの印象がより丁寧で誠実なものになるでしょう。シーンに応じた適切な表現を選び、正しく使いこなすことで、ビジネスコミュニケーションの質を高めていきましょう。また、「言伝を預かりました」という表現は、電話や対面だけでなく、チャットや社内SNSなどデジタルツールでも活用できます。ビジネスコミュニケーションの多様化が進む中で、丁寧な言葉遣いを保つことは、信頼関係の構築において重要です。状況に応じて使いこなす力が求められます。「言伝を預かりました」という表現は、相手の言葉を丁寧に受け止めたことを伝えるため、ビジネスの場で非常に重宝される敬語表現の一つです。

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