ビジネスメールやお知らせ文書などで頻繁に使われる「ご理解賜りますようお願い申し上げます」。一見すると丁寧な表現ですが、正しい意味や使い方を理解していないと、相手に誤解を与えてしまう可能性もあります。この記事ではこの言い回しの意味、適切な使用シーン、具体的な例文、言い換え表現までわかりやすく解説します。
1. 「ご理解賜りますようお願い申し上げます」とは
1-1. 言葉の意味と構成
「ご理解賜りますようお願い申し上げます」は以下のように構成されています:
ご理解:相手が事情や内容を理解してくれること
賜る:もらう、いただくの謙譲語(「もらう」の最も丁寧な表現)
ようお願い申し上げます:強い依頼・お願いの敬語表現
つまり、「あなたにご理解いただきたいです」という意味を最も丁寧な敬語表現で表した言い回しです。
1-2. どんな場面で使うのか?
この表現は、以下のような「相手に納得してほしいが、多少の不都合を伴う場面」でよく使われます:
サービス変更や休止の案内
値上げのお知らせ
スケジュールや対応の変更
規約改訂や条件変更 など
2. ビジネスシーンでの使い方
2-1. メールでの活用例
誠に勝手ながら、〇月〇日より営業時間を変更させていただきます。
ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
このように「お願いと謝罪を同時に伝えたい」場合に非常に有効です。
2-2. 文書や掲示などの案内文でも活用可
企業の公式文書や張り紙などにも頻出します。例えば:
駐車場工事に伴い、〇月〇日〜〇月〇日の間、駐車スペースが一部使用不可となります。
ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
3. 類語・言い換え表現と使い分け
3-1. 類語一覧
表現 ニュアンス 丁寧度
ご理解のほどよろしくお願いいたします やや柔らかい 高
ご理解いただければ幸いです 柔らかく丁寧 中
ご承知おきください 事前通知・確認目的 中
ご容赦いただきたく存じます 迷惑に対しての謝罪 高
3-2. TPOによる使い分け
取引先やお客様向け:
→「ご理解賜りますようお願い申し上げます」が最もフォーマル
社内の上司や同僚向け:
→「ご理解のほどよろしくお願いいたします」や「ご理解いただければ幸いです」も◎
4. よくある誤用と注意点
4-1. 「賜ります」の誤用
「賜ります」は非常に丁寧な謙譲語なので、目上の人に対してのみ使用可です。
部下や社内の後輩に対して使うと、逆に不自然です。
4-2. 他の敬語と重ねすぎない
✕ ご理解賜りたく存じ上げます → 過剰敬語
〇 ご理解賜りますようお願い申し上げます → 正しい表現
過剰な敬語はかえって違和感を与えるため注意しましょう。
5. 英語での表現は?
英語での直訳はやや難しいですが、以下のような表現が近いニュアンスを持ちます:
We kindly ask for your understanding.
We appreciate your understanding and cooperation.
ただし、ビジネスメールではややストレートな印象があるため、丁寧な前置き文を付けるのが良いでしょう。
6. 使用例文まとめ(状況別)
6-1. サービス停止のお知らせ
メンテナンス作業に伴い、〇月〇日より一時的にサービスを停止させていただきます。
ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
6-2. 納期遅延の謝罪メール
納期の件につきまして、誠に申し訳ございませんが、納品日を〇月〇日に変更させていただきたく存じます。
急なご連絡となり恐縮ではございますが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
6-3. 値上げの案内
昨今の原材料費の高騰により、〇月〇日より価格を改定させていただく運びとなりました。
お客様にはご負担をおかけいたしますが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
7. まとめ:「ご理解賜りますようお願い申し上げます」は誠実なお願いの最上級表現
「ご理解賜りますようお願い申し上げます」は、非常に丁寧で誠実なお願い表現です。
相手に対して敬意を払いながら、やむを得ない変更や対応への理解を求めたいときに重宝します。
ただし、敬語が強すぎて堅苦しくなりすぎないよう、相手やシーンに合わせた使い分けを意識しましょう。