「反吐が出る」という言葉は、強い嫌悪感や不快感を表すときに使われる表現です。単に「気持ち悪い」という意味を超え、心の底から嫌悪する感情を含んでいます。本記事では、「反吐が出る」の正確な意味、語源、使い方、そして類語との違いを詳しく解説します。

1. 反吐が出るとは?意味を詳しく解説

反吐が出る(へどがでる)とは、「強い嫌悪感や不快感を覚える」「見聞きするのも耐えられないほど嫌だ」という意味の慣用表現です。
「反吐(へど)」とは、吐き気や嘔吐を意味し、「反吐が出る」は「吐き気を催すほど嫌悪する」という比喩的な言い回しです。

たとえば、誰かの裏切り行為や、心ない言葉、または自分が心底軽蔑するような態度を見たときに使われます。
単なる「嫌だ」よりも感情の度合いが強く、「我慢ならない」「見るのもつらい」といった激しい感情を表します。

1-1. 「反吐」の本来の意味

「反吐(へど)」とは、嘔吐物や吐き気そのものを指す言葉です。漢字で「反吐」と書くのは、「吐いたものが戻る」という意味から来ています。
古くは「へつ」とも読み、平安時代の文学や医書などにも登場する古い日本語です。

1-2. 「反吐が出る」が使われる場面

この表現は、物理的な吐き気ではなく、精神的な不快さを比喩的に表します。
たとえば、次のような場面で使われます。

・人の不幸を笑うような態度を見たとき
・偽善的な発言や行動に触れたとき
・裏表のある人間関係に嫌気が差したとき
・権力やお金に群がる姿勢にうんざりしたとき

このように、「反吐が出る」は倫理的・感情的な拒絶反応を強く表す言葉です。

2. 反吐が出るの語源と成り立ち

「反吐が出る」は、「反吐(へど)を吐く」や「反吐を催す」といった古い言い回しから派生したものです。
中世以降、「気持ち悪い」「嫌悪を感じる」という感覚を比喩的に表現するために使われるようになりました。

「反吐」は身体的な反応、「出る」はその感情が外にあふれることを意味します。つまり、「感情的に吐き気を感じるほど嫌だ」という心理的な比喩が定着した表現です。

文学作品や映画の台詞などでも、「聞くだけで反吐が出る」「あんなやつを見ると反吐が出る」というように登場し、強い感情表現として広く定着しています。

3. 反吐が出るの使い方と例文

3-1. 日常会話での使い方

・彼の偽善的な態度には本当に反吐が出る。
・自分だけ助かろうとする姿勢に反吐が出る。
・不正を正当化するような話を聞くと反吐が出る。
・あの映画のラストには反吐が出るほど不快だった。

このように、「反吐が出る」は怒りや嫌悪を強調する場面でよく使われます。日常会話でも感情を強く伝えたいときに使われますが、やや強い言葉なのでビジネスシーンでは避けた方が無難です。

3-2. 書き言葉・文学での使い方

文学作品などでは、より感情的で印象的な描写として用いられます。

・彼の言葉の一つ一つに反吐が出る思いだった。
・あの場の空気は、反吐が出るほどの偽りに満ちていた。
・正義を語るその笑顔に、反吐が出る。

このように、強烈な嫌悪を描く際に非常に効果的な表現です。

4. 反吐が出るの類語と似た表現

「反吐が出る」と同じように強い嫌悪感を表す表現には、いくつかの類語があります。ニュアンスの違いを理解することで、感情をより正確に伝えられます。

4-1. 「虫唾が走る」

「虫唾(むしず)が走る」は、ぞっとするほど嫌悪を感じるという意味です。
「反吐が出る」が「吐き気」を伴う嫌悪であるのに対し、「虫唾が走る」は「体がゾワッとするような不快感」を表します。

例:彼の話し方を聞くだけで虫唾が走る。

4-2. 「胸くそが悪い」

「胸くそが悪い」は、怒りや不快感を表す俗語です。やや下品な印象があるため、親しい間柄以外では避けるのが無難です。

例:あのニュースを見ると本当に胸くそが悪い。

4-3. 「腹が立つ」「嫌悪感を抱く」

これらはより一般的で穏やかな表現です。フォーマルな文やビジネス文章では、「反吐が出る」よりも「強い嫌悪感を抱く」「不快に感じる」などを使う方が自然です。

5. 反吐が出るを使うときの注意点

「反吐が出る」は非常に強い言葉です。感情を強調したいときには効果的ですが、使い方を誤ると相手に不快感を与えることもあります。

5-1. ビジネスや公的な場では避ける

職場や公式な文書、SNSの公的投稿などで使うと、攻撃的・感情的に見られる可能性があります。そのため、ビジネス文書では「不快に感じる」「共感できない」といった柔らかい表現に置き換える方が良いでしょう。

5-2. 感情の度合いを伝えるときに効果的

一方で、友人同士の会話や小説・エッセイなどでは、感情のリアリティを強く伝えたいときに非常に有効です。「嫌い」よりもさらに深い嫌悪感を明確に表すことができます。

6. 反吐が出るの英語表現

英語では、「反吐が出る」に相当する表現として次のようなフレーズがあります。

・It makes me sick.(吐き気がするほど嫌だ)
・It’s disgusting.(本当に不快だ)
・I can’t stand it.(我慢できない)
・That makes me want to throw up.(吐きそうになる)

「反吐が出る」はかなり感情的な言葉なので、英語でも強い語気のフレーズを使うのが自然です。

7. まとめ

「反吐が出る」とは、強い嫌悪感や不快感を表す日本語表現で、吐き気を催すほど嫌だという意味を持ちます。もともとは嘔吐を意味する「反吐」に由来し、比喩的に心情を表す言葉として定着しました。
現代でも文学や会話の中で感情を強調する際に使われますが、強い言葉であるため場面を選ぶことが大切です。
感情を的確に伝えたいとき、「反吐が出る」は非常に印象的で力強い表現と言えるでしょう。

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