「をもって」という表現は、文章やビジネス文書で頻繁に使われる日本語です。正式な書き言葉としての意味や使い方を理解することで、文章表現の正確性や説得力を高めることができます。本記事では意味や用法、例文、ビジネスでの活用方法まで詳しく解説します。

1. 「をもって」とは

「をもって」は、物事の手段や基準、時点を示す接続表現です。文章語として用いられ、口語ではあまり使われませんが、ビジネス文書や正式な書類ではよく見られます。

1-1. 基本的な意味

「をもって」には主に三つの意味があります。 1. 手段・方法を示す 2. 時点・期日を示す 3. 根拠・理由を示す これらの意味を文脈に応じて使い分けることが重要です。

1-2. 言葉の成り立ち

「もって」は、「持つ」の連用形「もつ」に接続助詞「て」が付いた形で、手段や基準を示す古典的表現に由来します。「を」は格助詞で、目的や対象を明示する役割があります。

2. 「をもって」の使い方

「をもって」は文章語としての表現で、手段・時点・根拠のいずれかを示す際に使います。口語では「で」や「にて」に置き換えられる場合があります。

2-1. 手段・方法を示す場合

物事の手段や方法を示す際に「をもって」を用います。 例文:「本書をもって申し込みの受付といたします」 この場合、「本書によって」という意味で、手段を示しています。

2-2. 時点・期日を示す場合

特定の時点や期日を示す場合にも使われます。 例文:「令和5年9月1日をもってサービスを終了いたします」 この場合、「その日を基準として」という意味で、期日を明確にしています。

2-3. 根拠・理由を示す場合

判断や結論の根拠を示す際にも使用されます。 例文:「皆様のご理解をもって、承認といたします」 ここでは「皆様の理解を基準として」という意味を持ちます。

3. 「をもって」と他の表現の違い

同じような意味を持つ表現として「で」「にて」「を以って」があります。それぞれのニュアンスの違いを理解することで、文章の正確性が向上します。

3-1. 「で」との違い

口語では「で」を使うことが多く、「をもって」よりも柔らかい印象です。 例:「この書類で受付を完了します」 「をもって」を使うと、文章語としてより正式な印象になります。

3-2. 「にて」との違い

「にて」は、場所や手段を示す表現で、文章語としてもよく使われます。「をもって」は手段だけでなく、時点や基準を示す場合にも使えます。

3-3. 「を以って」との違い

「を以って」は「をもって」の漢字表記で、正式文書や公的文章で用いられることが多いです。意味や用法は「をもって」とほぼ同じです。

4. ビジネス文書での活用例

ビジネス文書では、「をもって」を正しく使うことで、文章の正式感や正確性を高めることができます。

4-1. 通知や告知文

会社や団体の通知文で、期日を明確に示す場合に使われます。 例:「本通知をもって、契約の終了といたします」

4-2. 契約書や規約

契約書や規約で手段や条件を明示する際にも用いられます。 例:「本書をもって、双方の合意を確認するものとします」

4-3. 表彰・評価文書

評価や承認の基準を明示する際にも使われます。 例:「優秀な成績をもって、表彰対象といたします」

5. 「をもって」を使う際の注意点

正式な表現ではありますが、誤用や文脈の不適切な使用には注意が必要です。

5-1. 口語では避ける

日常会話では「で」「にて」に置き換えるほうが自然です。「をもって」を口語で使うと堅苦しい印象になります。

5-2. 文脈に合わせる

手段、時点、根拠のどの意味で使うかを明確にしないと、文章が不明瞭になることがあります。正確に意図を伝えることが重要です。

5-3. 二重表現に注意

「をもって以て」といった表現は冗長です。「をもって」だけで意味が通るため、簡潔に書くことが望ましいです。

6. まとめ

「をもって」は、手段、時点、根拠を示す文章語表現で、ビジネス文書や正式な文章でよく使われます。「で」「にて」「を以って」との違いを理解し、文脈に応じて正しく使うことが大切です。口語ではあまり使わず、文章語として活用することで文章の正確性や正式感を高めることができます。

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