「停職(ていしょく)」という言葉は、企業や公務員の懲戒処分などでよく聞かれる言葉です。「教員が停職処分を受けた」「職員を停職1か月にした」などのニュースで目にすることも多いでしょう。この記事では、「停職」の正確な意味や期間の目安、他の処分との違いを詳しく解説します。
1. 「停職」とは?
「停職」とは、会社や公的機関などの職員に対して、一定期間職務に就くことを禁じる懲戒処分を指します。
つまり、停職になるとその期間中は仕事をしてはいけず、給与も支給されません。懲戒処分の中では重い部類に入り、「出勤停止」や「業務停止」といった言い方をされることもあります。
公務員や企業の就業規則では、一般的に以下のように定義されています。
- 一定期間、職務に従事させない。
- その間の賃金は支給しない。
- 懲戒の一種として、職員の責任を問う目的で行う。
2. 停職の主な理由
停職処分は、軽微なミスではなく、組織の信用を損なうような重大な行為があった場合に科されます。代表的な事例には以下のようなものがあります。
- 職務上の不正行為(横領・情報漏えいなど)
- セクシュアルハラスメント・パワーハラスメント
- 無断欠勤や勤務態度の著しい不良
- 社内規定や法令の違反
- 業務外での重大な不祥事(飲酒運転・犯罪行為など)
組織の規律を守るために、再教育や反省の機会を与える目的でも行われます。
3. 停職の期間
停職期間は、行為の内容や会社の就業規則、公務員の場合は法令によって異なりますが、一般的には1日〜6か月以内の範囲で定められています。
- 民間企業:1日〜1か月程度が多い
- 地方公務員:最長6か月まで可能
- 国家公務員:人事院規則により最長6か月
期間中は職場に出勤することができず、給与・賞与・昇給などは停止されます。また、勤務実績にも影響するため、昇進・昇格が見送られることもあります。
4. 停職処分後の扱い
停職期間が終了すると、本人は再び職務に復帰することができます。ただし、停職処分の記録は人事上残るため、一定期間は昇進・人事評価などに不利になることがあります。
また、再発防止のために研修や面談を義務付ける企業もあります。停職後に同様の違反行為を繰り返すと、次は「懲戒解雇」に至るケースもあります。
5. 停職と他の懲戒処分の違い
懲戒処分には複数の段階があり、停職は中でも重い処分に分類されます。以下の表に主要な懲戒処分をまとめました。
| 処分の種類 | 内容 | 重さ |
|---|---|---|
| 戒告 | 口頭・文書で注意・反省を促す。 | 軽い |
| 減給 | 一定期間、給与の一部を差し引く。 | 中程度 |
| 停職 | 一定期間職務を停止し、給与を支給しない。 | 重い |
| 懲戒解雇 | 雇用契約を強制的に終了させる。 | 最も重い |
停職は、「解雇までは至らないが、重大な処分が必要な場合」に選ばれる措置といえます。
6. ビジネス文書での使い方
ニュースや社内文書などでは、以下のような形で使われます。
- 「社員Aを就業規則第〇条に基づき、1か月の停職処分とした。」
- 「教員の不適切行為により、教育委員会は停職6か月の懲戒処分を発表。」
- 「停職期間中は職務に従事させず、給与も支給しない。」
また、正式文書では「停職処分に付す」「停職を命ずる」といった硬い言い回しが一般的です。
7. 「停職」の英語表現
英語では、文脈によって以下の表現が使われます。
- suspension from duty(職務停止)
- disciplinary suspension(懲戒による停職)
- suspend an employee(従業員を停職にする)
例:
「He was suspended from duty for one month.(彼は1か月の停職処分を受けた)」
8. まとめ
「停職」とは、懲戒処分の一種で、一定期間職務に就かせない処分を意味します。期間中は給与が支払われず、記録にも残るため、企業や公務員にとっては非常に重い処分です。戒告や減給より重く、懲戒解雇よりは軽い中間的な処分として位置づけられています。停職は、組織の規律を保ち、再発防止を促すための厳正な措置と言えるでしょう。
