「矮星(わいせい)」という言葉は、天文学で使われる専門用語の一つです。「白色矮星」や「赤色矮星」という形で耳にすることが多いですが、その正確な意味や種類の違いを理解している人は少なくありません。この記事では、「矮星(わいせい)」の意味、種類、特徴、そして代表的な白色矮星・赤色矮星の違いをわかりやすく解説します。

1. 矮星とは?意味を詳しく解説

矮星(わいせい)とは、「比較的小さく、光やエネルギーの放出が弱い星」を意味する天文学の用語です。
英語では「dwarf star(ドワーフスター)」と呼ばれ、太陽のような恒星の一種です。

例:
・太陽も分類上は中型の矮星にあたる。
・白色矮星や赤色矮星は、星の最終段階を示す重要な天体だ。

つまり、「矮星」とは「巨大な星(巨星)」に対して「小型で明るさが控えめな星」を指す言葉です。

1-1. 読み方と語源

・読み方:わいせい
・英語表記:dwarf star
・語源:「矮」は「背が低い・小さい」、「星」は「恒星」を意味します。
よって「矮星」は「小さい恒星」という直訳になります。

1-2. 英語での定義

In astronomy, a “dwarf star” refers to a small, relatively low-luminosity star compared to giant stars.
(天文学では、矮星とは巨星と比べて小さく光度が低い恒星を指す。)

2. 矮星の主な種類

矮星には、温度や進化段階の違いによっていくつかの種類があります。

種類 特徴 代表例
赤色矮星 表面温度が低く、赤く光る。主系列星の中で最も小型。 プロキシマ・ケンタウリ
黄色矮星 中温度の恒星で、寿命が長く安定している。 太陽
白色矮星 燃え尽きた星の残骸。非常に高密度で明るい。 シリウスB
褐色矮星 恒星になりきれなかった天体。発光が弱い。 グリーゼ229B

これらはすべて「矮星」という大きな分類の中に含まれますが、その進化段階や内部構造は大きく異なります。

3. 赤色矮星とは

赤色矮星は、最も一般的で数の多い矮星です。
質量が小さく、表面温度が低いため、赤く光ります。

・表面温度:約2,500〜4,000K
・質量:太陽の約10〜50%
・寿命:数千億年以上(非常に長寿命)

赤色矮星は燃料をゆっくり使うため、宇宙の中で最も長生きする星とされています。
代表的な例は、太陽系に最も近い恒星「プロキシマ・ケンタウリ」です。

4. 白色矮星とは

白色矮星は、太陽のような恒星が燃え尽きた後に残る星の「核の残骸」です。
燃料を使い果たして核融合を終えた後、外層が吹き飛ばされ、中心に残った高密度な天体が白色矮星になります。

・表面温度:約10,000K以上(非常に高温)
・質量:太陽とほぼ同じだが、大きさは地球程度
・光の源:核融合ではなく、残熱による発光

白色矮星は新たなエネルギーを生み出さないため、時間とともに冷えて暗くなり、最終的には「黒色矮星」になると考えられています。

5. 黄色矮星とは

黄色矮星は、赤色矮星と白色矮星の中間に位置する恒星で、太陽がその代表です。
表面温度は約5,000〜6,000Kで、安定した核融合を続けています。

・寿命:約100億年
・質量:太陽程度
・主なエネルギー源:水素の核融合

黄色矮星は、星の進化の中で「主系列星」と呼ばれる安定期にある星であり、生命が存在できる惑星を抱える可能性が高いタイプです。

6. 褐色矮星とは

褐色矮星は、「恒星になりきれなかった星」と呼ばれます。
質量が小さすぎて核融合を起こすことができず、星と惑星の中間的な存在です。

・質量:木星の13倍〜80倍程度
・光:ごくわずかな赤外線を放つのみ
・別名:「失敗した星(failed star)」

褐色矮星は非常に暗いため、観測が難しい天体ですが、宇宙には多く存在すると考えられています。

7. 矮星と巨星の違い

矮星は小型で光が弱いのに対し、巨星は膨張して明るく輝く星を指します。

分類 大きさ・明るさ 特徴
矮星 小さい・光が弱い 寿命が長く、安定している
巨星 大きい・光が強い 寿命が短く、爆発的な変化を起こすこともある

例:
・太陽は矮星に分類される。
・ベテルギウスは代表的な赤色巨星である。

8. 矮星の進化と寿命

星は誕生してから最期を迎えるまでに、以下のような進化をたどります。

1. 星間ガスが集まり、原始星が形成される
2. 核融合が始まり、「矮星(主系列星)」になる
3. 燃料が尽きると「巨星」や「白色矮星」へ進化する

太陽のような中型の矮星は、最終的に外層を放出して白色矮星となり、やがて冷えて暗くなります。

9. 矮星という言葉の印象と使われ方

「矮星」は、専門的で理系的な印象を与える言葉です。
一般的な会話ではあまり使われませんが、天文学や宇宙科学の文脈では重要な基礎用語として扱われます。
また、比喩的に「小さいが強い」「控えめだが重要な存在」として使われることもあります。

10. まとめ

矮星(わいせい)とは、巨星と比べて小型で光が弱い恒星を指す言葉です。
赤色矮星、白色矮星、黄色矮星、褐色矮星など多くの種類があり、それぞれ星の進化段階や性質が異なります。
太陽もまた矮星の一種であり、宇宙の中で最も一般的かつ長寿命な星の形態です。

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