「謹んで(つつしんで)」は、日常生活よりもフォーマルな場面で使われる丁寧な言葉です。特に挨拶文や手紙、スピーチなどで目にすることが多く、敬意や慎ましさを表す表現として重宝されます。本記事では、「謹んで」の意味や使い方、例文を詳しく解説します。
1. 「謹んで」の基本的な意味
「謹んで」とは、「控えめな態度で丁重に行う」「敬意をもって真心を込めて行う」という意味を持つ副詞です。漢字の「謹」は「つつしむ」「慎重に行う」という意味を含んでおり、相手への敬意を表す丁寧な表現として使われます。
つまり、「謹んで」は自分の感情や行為を控えめにしながら、誠意を持って相手に伝える姿勢を示す言葉です。
(例)
- 謹んで新年のお慶びを申し上げます。
- 謹んでお詫び申し上げます。
- 謹んでご冥福をお祈りいたします。
このように、「謹んで」は感情を丁重に表現するときに用いられます。
2. 「謹んで」の使い方と場面別例文
2-1. 挨拶文・お祝いの場面
新年の挨拶や慶事の際、「謹んでお祝い申し上げます」「謹んで新春のお慶びを申し上げます」といった形で使われます。フォーマルなビジネス文書や年賀状などでよく見られる表現です。
例文:
- 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
- 謹んでご結婚のお祝いを申し上げます。
2-2. お詫び・謝罪の場面
自分の非を丁寧に詫びる際にも「謹んで」は用いられます。この場合、誠意をこめて深く反省しているニュアンスを伝えることができます。
例文:
- このたびの不手際を謹んでお詫び申し上げます。
- 多大なるご迷惑をおかけしましたことを謹んでお詫び申し上げます。
2-3. 弔事・お悔やみの場面
葬儀やお悔やみの際にもよく使われる言葉です。相手への哀悼の意を丁重に表すときに「謹んでご冥福をお祈りいたします」などと使います。
例文:
- 謹んでご逝去を悼み、心よりお悔やみ申し上げます。
- 謹んでご冥福をお祈りいたします。
3. 「謹んで」と「慎んで」の違い
「謹んで」と似た言葉に「慎んで(つつしんで)」がありますが、両者には微妙な違いがあります。
| 言葉 | 主な意味 | 使用場面 |
|---|---|---|
| 謹んで | 敬意をこめて控えめに行う | フォーマルな挨拶・謝罪・弔辞など |
| 慎んで | 軽率な行動を避ける、注意深く行う | 日常的な行動や態度に関する場面 |
例えば「謹んで新年のご挨拶を申し上げます」は丁寧な祝意を示すのに対し、「慎んで行動する」は注意深く行動するという意味になります。
4. ビジネス文書での使い方のポイント
ビジネスメールや公式文書で「謹んで」を使う際は、相手との関係性や状況に応じて慎重に選ぶことが重要です。過度に使うと大げさに感じられる場合もあるため、下記のような表現が自然です。
- 謹んでお詫び申し上げます(ミスやトラブル時)
- 謹んで感謝申し上げます(お礼の際)
- 謹んでお願い申し上げます(依頼時に特に丁寧な場合)
いずれも「申し上げます」と組み合わせることで、相手に対する敬意をいっそう強調できます。
5. 「謹んで」を使った慣用表現
日本語では、「謹んで〜申し上げます」という定型表現が多く存在します。以下に代表的なものを紹介します。
- 謹んでお祝い申し上げます(祝辞)
- 謹んでご挨拶申し上げます(スピーチ・手紙)
- 謹んでお見舞い申し上げます(災害・病気時)
- 謹んでお悔やみ申し上げます(弔辞)
どの表現も、心からの気持ちを丁寧に伝える際に使われます。
6. まとめ
「謹んで」は、控えめで礼儀正しい態度を表す丁寧語です。お祝い・お詫び・弔意など、感情を慎重に伝えるシーンで使われます。「謹んで〜申し上げます」という形が基本であり、ビジネス文書や公式な挨拶でも自然に活用できます。場面に応じて正しく使うことで、より品位ある日本語表現ができます。
