ニュースなどで「警察が犯人を検挙しました」という表現を耳にしたことがある人は多いでしょう。「検挙(けんきょ)」とは、犯罪に関係した人物を警察が取り押さえることを指す言葉ですが、「逮捕」とは少し意味が異なります。この記事では、「検挙」の意味や使い方、そして「逮捕」との違いを詳しく解説します。
1. 「検挙」とは何か
「検挙」とは、警察などの捜査機関が犯罪の容疑者を取り押さえることを意味します。ニュース用語や公的な表現としてよく使われ、日常的には「逮捕」よりもやや広い意味を持ちます。
- 「検」=調べる、取り調べる
- 「挙」=挙げる、捕らえる
つまり、「検挙」とは「犯罪を調べ上げ、関係者を挙げる(捕らえる)」という意味を持つ言葉です。
(例)
- 警察は窃盗容疑で男を検挙した。
- 不正アクセス事件の犯人が検挙された。
- 交通違反の検挙件数が増加している。
2. 「検挙」と「逮捕」の違い
「検挙」と「逮捕」は似ていますが、法的には同じ意味ではありません。次の表で違いを整理してみましょう。
| 項目 | 検挙 | 逮捕 |
|---|---|---|
| 意味 | 警察が犯罪の容疑者を取り押さえること全般 | 刑事訴訟法に基づき、身柄を拘束する行為 |
| 範囲 | 逮捕を含む広い概念 | 検挙の一部にあたる行為 |
| 使われる場面 | 報道・統計・行政文書など | 法律・裁判・警察手続きなど |
| 例文 | 犯人が検挙された。 | 犯人が逮捕された。 |
つまり、「検挙」は「逮捕」よりも広い概念であり、「送致」「書類送検」などを含む場合もあります。たとえば、交通違反や軽犯罪であっても「検挙件数」としてカウントされます。
3. 「検挙率」とは?
警察の発表でよく見られる「検挙率」とは、発生した犯罪のうち、容疑者を特定して検挙した割合を指します。
計算式:
検挙率 =(検挙件数 ÷ 認知件数)× 100
ここで「認知件数」とは、警察が犯罪として把握した事件数を意味します。したがって、検挙率が高いほど、警察の捜査力や犯罪解決率が高いとされています。
例:
- 警察庁の発表によると、殺人事件の検挙率は99%を超える。
- 窃盗事件の検挙率は近年低下傾向にある。
4. 「検挙」と「送致」「書類送検」との関係
検挙された後、事件の内容によっては次のような手続きに進みます。
- 送致: 検挙した容疑者を検察に引き渡すこと。
- 書類送検: 被疑者を逮捕せず、書類だけを検察に送ること。
つまり、すべての検挙が「逮捕」につながるわけではありません。軽微な事件や交通違反などでは、逮捕せずに書類送検となるケースも多いのです。
5. 「検挙」の使い方と例文
「検挙」は日常会話ではあまり使いませんが、ニュースやビジネス文書、警察関連の記事では頻繁に使われます。
例文:
- 詐欺グループのリーダーがついに検挙された。
- 警察は薬物事件の関係者を一斉検挙した。
- 交通安全運動での検挙件数は昨年を上回った。
- 不法投棄の容疑で数名を検挙したと発表された。
6. 「検挙」の類語と関連語
| 言葉 | 意味 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 逮捕 | 身柄を拘束すること | 法的手続きの正式な行為 |
| 摘発 | 不正や犯罪を明るみに出すこと | 組織的・行政的な取り締まり |
| 拘束 | 身体の自由を制限すること | 物理的な制限に重点 |
| 送致 | 事件を検察に引き渡すこと | 検挙後の手続き段階 |
「検挙」はこれらの言葉を包括する幅広い概念であり、警察の捜査活動全体を示す際に使われることが多いです。
7. まとめ
「検挙」とは、警察が犯罪の容疑者を特定し、取り押さえる行為を指します。逮捕よりも広い意味を持ち、書類送検なども含みます。ニュースや統計では「検挙件数」「検挙率」という形でよく使われ、警察の捜査成果を示す重要な指標です。法律上の手続きとしては「逮捕」や「送致」と区別して理解すると正確です。
