「カラント(currant)」という言葉は、パンやお菓子の材料として見かけることがあります。「カラントレーズン」「カラント入りスコーン」などの表記を目にすることもありますが、実際にどんな果実なのかを正確に理解している人は少ないでしょう。この記事では、「カラント(currant)」の意味、種類、レーズンとの違い、そして料理やお菓子での使い方をわかりやすく解説します。
1. カラントとは?意味を詳しく解説
カラント(currant)とは、「小粒のブドウを乾燥させたドライフルーツ」または「スグリ科の果実(レッドカラント・ブラックカラント)」を指す言葉です。
同じカラントでも、英語圏では二つの異なる意味で使われます。
1. ドライフルーツのカラント:主にギリシャ産の小粒ブドウを干したもの
2. 果実としてのカラント:スグリ科の植物(レッドカラント、ブラックカラントなど)の果実
つまり「カラント」は文脈によって、ブドウ系かスグリ系かが変わる言葉です。
例:
・スコーンにカラントを混ぜて焼く
・ブラックカラントジュースにはポリフェノールが豊富
・カラントはレーズンよりも小粒で酸味がある
1-1. 読み方と語源
・読み方:カラント(英語:currant)
・語源:中世フランス語「raisin de Corinthe(コリントのブドウ)」=ギリシャ・コリント地方のブドウに由来
英語の「currant」は、「コリント(Corinth)」という地名が語源で、古くは「コリント産の小さな干しブドウ」という意味でした。
1-2. 英語での定義
・dried currant:小粒の干しブドウ(通常はギリシャ産)
・black currant:クロスグリ(スグリの一種)
・red currant:赤いスグリ(酸味のある果実)
英語では食品の種類によって「currant」の意味が異なるため、注意が必要です。
2. カラントの種類
カラントには主に二つの系統があります。
2-1. ドライカラント(干しブドウ系)
「ゼンタカラント(Zante currant)」とも呼ばれる種類で、ギリシャのザンテ島(古名:ザキントス島)で栽培される小粒のブドウ「ブラックコリント種」を乾燥させたものです。
特徴:
・非常に小粒(約2〜3ミリ)
・甘みよりも酸味が強い
・レーズンより皮が薄くしっとりしている
・スコーンやパウンドケーキなどに使われる
イギリスのティータイムスイーツやヨーロッパの伝統菓子に欠かせない存在です。
2-2. フレッシュカラント(スグリ系)
こちらは植物としての「スグリ(Gooseberry)」の仲間で、レッドカラント・ブラックカラント・ホワイトカラントの三種類があります。
・レッドカラント:鮮やかな赤色で酸味が強く、ジャムやソースに使われる
・ブラックカラント:濃い紫色でビタミンCやポリフェノールが豊富。リキュール「カシス」の原料
・ホワイトカラント:淡い黄色で、マイルドな甘みが特徴
ヨーロッパでは果実としても一般的で、デザートやドリンク、ソースなどに多く使われます。
3. カラントとレーズンの違い
カラントとレーズンはどちらも干しブドウですが、種類や風味が異なります。
・カラント:ギリシャ産の小粒ブドウ(ブラックコリント種)を使用。酸味があり香りが強い
・レーズン:一般的なブドウ(トンプソン・シードレスなど)を乾燥させたもの。甘味が強く粒が大きい
つまり、カラントは「小粒で酸味があり香り高い」、レーズンは「甘くて食べ応えがある」と覚えておくと分かりやすいでしょう。
4. カラントの味と特徴
カラントは小粒ながら風味が濃く、酸味と甘みのバランスが絶妙です。
干した状態では香ばしく、焼き菓子に加えると程よい酸味が味を引き締めます。
また、スグリ系のカラント(特にブラックカラント)はビタミンCが非常に多く、栄養価の高い果実として知られています。
そのまま食べると酸味が強いですが、ジャムやドリンクにすると芳醇な香りが楽しめます。
5. カラントの使い方
5-1. お菓子・パンに使う
・スコーンやマフィンに混ぜて焼く
・パウンドケーキやフルーツケーキに加える
・パン生地に練り込み、自然な酸味をプラスする
5-2. ジャム・ソースに使う
レッドカラントやブラックカラントは酸味が強いため、ジャムやソース作りに向いています。
肉料理のソースやチーズケーキのトッピングにもよく合います。
5-3. 飲み物やリキュールに使う
ブラックカラントから作られる「クレーム・ド・カシス(Cassis)」は、カクテルに使われる有名なリキュールです。
また、紅茶やヨーグルトドリンクにカラントシロップを加えると香り豊かになります。
6. 栄養と健康効果
ブラックカラントには以下のような栄養成分が多く含まれています。
・ビタミンC(レモンの約3〜4倍)
・ポリフェノール
・アントシアニン(抗酸化作用)
・食物繊維
これらは免疫力を高め、目の健康維持や老化防止にも役立つといわれています。
7. カラントの保存方法
・ドライカラント:密閉容器に入れ、直射日光を避けて常温で保存(開封後は冷蔵庫推奨)
・フレッシュカラント:冷蔵庫で保存し、なるべく早めに食べる
・ジャムやシロップに加工すれば長期保存が可能
8. まとめ
カラントとは、「ギリシャ産の小粒ブドウを乾燥させたドライフルーツ」または「スグリ科の果実」を指します。
レーズンよりも酸味があり香り豊かで、スコーンやケーキ、ジャムなどに使われることが多い食材です。
その深い味わいと高い栄養価から、ヨーロッパでは古くから「小さな果実の宝石」として親しまれています。
