日常会話ではあまり耳にしない「諮る」という言葉ですが、ビジネス文書や会議の議事録、行政手続きなどで使われることが多い重要な表現です。本記事では「諮る」の意味や使い方、例文、類語との違いを詳しく解説し、実務や日常に役立つ知識を提供します。
1 諮るの基本的な意味
1-1 読み方と辞書的な意味
「諮る（はかる）」は、ある事柄について意見を求めたり相談したりすることを指します。単に「相談する」よりも改まった場面で使われ、相手の意見を参考にして意思決定を行うというニュアンスが含まれます。
1-2 一般的な使われ方
主に会議や委員会、役所、会社の重要な決定事項などで用いられます。「専門家に諮る」「委員会に諮る」などの表現が典型的です。日常会話で「諮る」を使うことは稀で、ビジネスや公式文書で頻出します。
2 諮るの使い方と例文
2-1 ビジネスシーンでの用例
ビジネスにおいては、重要な意思決定を行う前に「上司に諮る」「役員会に諮る」といった使い方をします。例文としては以下のようになります。 ・新規プロジェクトについて取締役会に諮る。 ・契約内容の変更について顧問弁護士に諮る。
2-2 行政や法律に関わる用例
行政手続きや法律の分野では「審議会に諮る」「国会に諮る」といった表現が見られます。ここでは一人の判断ではなく、複数の専門家や関係者の意見を集めて判断するという意味が強調されます。
2-3 日常会話での応用
日常的な場面では「友人に相談する」の代わりに「諮る」を使うと不自然に響きます。しかし、フォーマルな書き言葉として日常の報告やエッセイなどで使うことは可能です。
3 諮るの類語と違い
3-1 相談するとの違い
「相談する」は日常的に使われ、誰にでも意見を求めることを意味します。一方「諮る」は改まった表現で、公的・公式な場での使用が中心です。
3-2 協議するとの違い
「協議する」は複数人で意見を出し合い結論を導く行為そのものを指します。「諮る」は意見を求める行為であり、意思決定に必ずしも参加するとは限りません。
3-3 諮問するとの違い
「諮問する」は上位機関が専門家などに意見を求めることを表します。例えば「内閣が審議会に諮問する」という使い方があります。つまり「諮る」と「諮問する」は似ていますが、後者はより制度的・公式なニュアンスが強い言葉です。
4 諮るが使われる場面
4-1 会社での会議
人事異動や新規事業など大きな決定事項を進める際に「取締役会に諮る」といった形で使われます。
4-2 政治や行政
国や自治体の重要な政策については「有識者会議に諮る」「国会に諮る」と表現されることがあります。
4-3 専門家への意見聴取
専門的な判断が必要な場合に「弁護士に諮る」「医師に諮る」という表現が適切です。
5 諮るの注意点
5-1 誤用に注意
「諮る」は「図る」と混同されやすい言葉です。「成功を図る」「計画を図る」は「図る」であり、「会議に諮る」は「諮る」と使い分ける必要があります。
5-2 フォーマルな場面で使う
日常会話で多用すると堅苦しく不自然に聞こえるため、フォーマルな文書や公式な発言で使うことが望ましいです。
6 諮るの歴史的背景
6-1 漢字の成り立ち
「諮」という字は「言」と「咨」から成り立ち、言葉で意見を求めることを意味します。古くから相談や意見聴取のニュアンスを持っていました。
6-2 古典での用例
古文献や漢籍においても「諮る」は意見を求める行為として登場します。現代においては法律や行政の専門用語として残っています。
7 諮るを正しく使うために
7-1 意味を理解することが第一歩
「諮る」は単なる相談ではなく、意見を求めて判断に役立てるという意味が含まれます。その点を理解すれば誤用を避けられます。
7-2 適切な場面を選ぶ
会議、審議、公式な報告書などにおいて使うと自然です。逆にカジュアルな会話では避けるべきでしょう。
7-3 類語との使い分け
「相談する」「協議する」「諮問する」など類語と区別して使い分けることで、文章の正確性と格調を高めることができます。
8 まとめ
「諮る」とは、意見を求める行為を指す改まった表現であり、主にビジネスや行政の場で用いられます。類語との違いを理解し、適切な場面で使うことで、正確で信頼性の高い文章や発言が可能になります。日常的には使う機会は少ないですが、公的な文章や会議の場面で正しく用いることが求められる重要な日本語表現です。
