「画角」という言葉は、カメラや映像制作の世界でよく耳にするものですが、意外と正確な意味を知らない人も多いのではないでしょうか。この記事では、画角の定義から、撮影に与える影響、初心者が注意すべきポイントまでを丁寧に解説していきます。これからカメラを始める方や映像表現を深めたい方にとって、基本でありながら非常に重要な概念です。

1. 画角とは何か?

画角とは、カメラのレンズを通して映る範囲、つまり「視野角」のことを指します。英語では「Angle of View」や「Field of View」とも表現されます。写真や映像の撮影では、どの範囲までが画面に収まるかを決める重要な要素です。
カメラを構えたときに「広く撮れるか」「狭く切り取るか」は、画角によって大きく異なります。レンズの焦点距離によって変化し、広角レンズでは画角が広くなり、望遠レンズでは画角が狭くなります。

2. 画角と焦点距離の関係

2.1 焦点距離が短いと画角は広い

例えば、焦点距離が24mmのレンズは、被写体の周囲まで幅広く写すことができ、いわゆる「広角レンズ」として扱われます。この場合、風景写真や集合写真に適しています。

2.2 焦点距離が長いと画角は狭い

一方、200mmなど焦点距離の長いレンズでは、遠くの被写体を大きく写すことができ、背景を圧縮して撮影するような効果が得られます。これは「望遠レンズ」として使われ、スポーツ撮影やポートレートによく使われます。

3. センサーサイズによる違い

画角は、使用するレンズだけでなく、カメラのセンサーサイズによっても変化します。フルサイズセンサーでは35mm換算がそのまま適用されますが、APS-Cやマイクロフォーサーズなどの小さいセンサーでは、画角が狭くなります。

3.1 クロップファクターとは?

例えば、APS-Cセンサーでは「クロップファクター」が1.5倍とされることが多く、同じ50mmレンズを使っても、実質的に75mm相当の画角になります。これを考慮しないと、「思ったより狭く写ってしまった」という失敗が起こりがちです。

4. 撮影ジャンルと画角の選び方

4.1 風景写真

風景を広々と収めたいときには、広角レンズ(24mm〜35mm)で広い画角を活かすのが一般的です。広大な自然や都市のパノラマをダイナミックに表現できます。

4.2 ポートレート

人物を自然なバランスで撮影するには、中望遠レンズ(85mm〜135mm)を使うと、顔のゆがみが少なく、背景も美しくぼけます。画角が狭くなる分、主役が引き立ちます。

4.3 スポーツ・野鳥撮影

被写体が遠くにある場合は、望遠レンズ(200mm〜600mm)が必須です。狭い画角で対象を大きく引き寄せることができ、動きのあるシーンでも迫力のある構図が作れます。

5. 動画撮影における画角の重要性

動画では、被写体の動きやカメラの移動も関係してくるため、画角の選択はより慎重に行う必要があります。視聴者の視線誘導や臨場感の演出には、適切な画角が不可欠です。

5.1 主観的な演出には広角

カメラを人の目線に近づけたい場合、広角レンズが使われることが多いです。アクションカムなどでは非常に広い画角で、迫力と臨場感を表現します。

5.2 焦点を絞ったストーリーには望遠

一方、背景をぼかして人物だけに集中させたいシーンでは、望遠レンズによる狭い画角が効果的です。観る人の感情に訴える演出に向いています。

6. 画角の測定方法と単位

画角は通常、対角画角、水平画角、垂直画角の3つで測定され、それぞれ度(°)で表されます。多くの場合、レンズの仕様として「対角画角」が記載されています。例えば、35mmレンズなら約63°、24mmなら約84°程度の対角画角になります。

7. スマートフォンの画角とその進化

最近のスマートフォンには複数のカメラレンズが搭載され、超広角から望遠までの画角をカバーできるようになっています。特にSNSでの映え写真やVlog撮影においては、画角の違いを理解して使い分けることが求められます。

8. 画角の意図的な使い方

画角を理解し、意図的に操作することで、写真や映像の印象を大きく変えることができます。たとえば、広角で背景を取り込みつつ被写体を小さく見せたり、望遠で背景を圧縮して主題を強調したりと、創作の幅が広がります。

8.1 歪みを生かした表現

広角レンズを使うと、画面の端に向かって歪みが発生しやすくなりますが、これを逆手に取ってダイナミックな構図を作ることもできます。

9. 初心者が注意すべきポイント

カメラ初心者は、まず自分がどんな被写体を撮りたいかを明確にし、それに合った画角・レンズを選ぶことが大切です。焦点距離やセンサーサイズに注意し、画角の違いを実際に体験しながら覚えるとよいでしょう。

10. まとめ

画角は、写真や動画の構図や印象に大きな影響を与える基本的かつ重要な要素です。焦点距離、センサーサイズ、被写体との距離など、複数の要素と密接に関係しています。自分の表現したい世界を的確に切り取るためにも、画角の知識は欠かせません。機材選びや撮影においても、画角を意識することで、より理想に近い作品作りができるようになります。

おすすめの記事