「脂汗をかくほどの痛みだった」「緊張して脂汗が止まらなかった」など、「脂汗(あぶらあせ)」という言葉は、日常会話や小説、ニュース記事などでも登場します。しかし、「普通の汗」との違いや正確な意味を知らない人も多いのではないでしょうか。本記事では「脂汗」の意味や使い方、関連表現まで詳しく解説します。
1. 「脂汗」の基本的な意味
1-1. 定義
「脂汗(あぶらあせ)」とは、**強い緊張や不安、痛み、恐怖**などの精神的・肉体的ストレスによって出る、**冷たくねばり気のある汗**のことを指します。
1-2. 漢字の意味
・「脂」=あぶら、油分を含むもの ・「汗」=体から出る水分 → 脂のようにじっとりした不快な汗、というニュアンス
2. 「脂汗」の使い方と例文
2-1. 肉体的な痛みによる場面
・「虫歯の激痛に脂汗がにじむ」 ・「ぎっくり腰で動くたびに脂汗が出る」
2-2. 精神的な緊張・恐怖による場面
・「面接直前、脂汗が背中を伝った」 ・「警察の事情聴取中、彼は脂汗をかいていた」
2-3. フィクション・文学表現における使用
・「彼は追い詰められ、額に脂汗を浮かべた」 → 状況の切迫感・恐怖感を強調する際によく用いられる
3. 「脂汗」と通常の汗の違い
3-1. 原因が異なる
・通常の汗:運動や暑さによる体温調節 ・脂汗:痛み・恐怖・極度のストレスによる自律神経の異常反応
3-2. 性質が異なる
・通常の汗:さらっとしている ・脂汗:冷たくじっとりしていて、皮膚に貼りつくような感触
4. 類語・関連表現
4-1. 冷や汗
→ 精神的な緊張や焦り、恐怖によって出る汗 例:「ミスに気づいて冷や汗をかいた」 → 「脂汗」はこれに近いが、より重い状況(激痛や極度の恐怖)に使われやすい
4-2. 汗だく
→ 全身が汗でびっしょりになる状態 → 暑さや運動が原因であり、「脂汗」とは原因・状況が異なる
4-3. 脂にじむ(文学表現)
→ 肉体的・心理的に追い詰められた状況を描写する際の比喩表現として使われる
5. 「脂汗」が出るときの身体の状態
5-1. 自律神経の反応
脂汗は、交感神経の過剰な刺激によって発汗が促されるため、身体的・精神的ショックに反応して出る。
5-2. 病気の兆候の可能性も
・心筋梗塞、低血糖、極度の貧血、ストレス性疾患など → 脂汗が頻繁に出る場合は、医療機関への相談をおすすめします
6. まとめ:「脂汗」は極度のストレスや痛みに反応する身体のサイン
「脂汗」とは、強い痛み・緊張・恐怖などによって体から出る、ねばついた冷たい汗のことです。通常の汗とは原因も性質も異なり、文学的な表現としても印象的に使われます。似た表現として「冷や汗」がありますが、脂汗はそれよりもさらに深刻な場面で用いられることが多いです。身体が発するサインとして理解し、場合によっては健康への注意も必要です。