「ないしは」という言葉は、書き言葉や法律文書、ビジネスシーンなどで目にすることが多い表現です。しかし、日常会話ではあまり使われないため、正しい意味や使い方を知らない人も多いかもしれません。本記事では「ないしは」の意味、使い方、類義語、語源、使う際の注意点まで丁寧に解説します。

1. 「ないしは」の意味とは

1.1 基本的な意味

「ないしは」とは、複数の選択肢を示す際に「または」や「あるいは」と同様の意味で使われる接続詞です。どちらか一方、または両方の場合を指すときに用いられます。やや硬い表現であり、法律や公的な文書に使われることが多い語です。

1.2 例文での理解

・受験資格は高校卒業者、ないしはそれと同等の学力を有する者とする。
・参加者は社員、ないしはその家族に限ります。

これらの例からわかるように、「A、ないしはB」という形で使い、「AまたはB」の意味を表しています。

2. 「ないしは」の語源と文法的背景

2.1 語源について

「ないしは」は漢字で書くと「乃至は」となり、中国古典に由来する言葉です。「乃至」は「〜から〜まで」という意味を持ち、そこから派生して「または」「あるいは」という選択肢の接続に使われるようになりました。

2.2 文法的な分類

「ないしは」は接続詞に分類され、並列・選択の関係をつなぐ役割を担います。口語ではほとんど使われず、文章語としての性質が強いため、文書作成や契約書、説明文に適しています。

3. 「ないしは」の使い方と具体例

3.1 ビジネス文書での使用例

・応募資格は、大学卒業者ないしは専門学校卒業者とします。
・契約は本人、ないしは代理人の署名が必要です。

3.2 法律・契約書での使用例

・本契約は当事者、ないしはその法定代理人によって締結されるものとする。
・甲は、契約違反があった場合、損害の賠償ないしは契約解除を請求できる。

このように、明確かつ形式的な文章に多く登場します。

4. 「ないしは」の類義語とその違い

4.1 「または」との違い

「または」は日常的にも使われる比較的柔らかい接続詞であり、「ないしは」よりも使用頻度が高く、フォーマル度も低めです。「ないしは」は文章の格調を高めたいときに使うのが適しています。

4.2 「あるいは」との違い

「あるいは」はやや書き言葉寄りではありますが、「ないしは」ほど堅苦しくはなく、会話にも登場します。意味的には「ないしは」と同じく選択肢を示す役割を果たします。

5. 「ないしは」を使う際の注意点

5.1 会話ではあまり使われない

「ないしは」は硬い印象を持たれるため、カジュアルな会話では使わないほうが自然です。代わりに「または」「あるいは」などを使うと良いでしょう。

5.2 誤解されやすい場合がある

一部の人には意味が伝わりにくいこともあるため、読み手に配慮する場合は、よりわかりやすい語を選ぶのが無難です。公的文書など、伝達の正確さが求められる場面での使用に留めましょう。

6. 「ないしは」の使用が適している場面

6.1 契約書や利用規約などの正式文書

ビジネスや法務の分野では、用語の曖昧さを排除し、論理的に明確な文面が求められます。「ないしは」はそのような場面で非常に有効な語です。

6.2 大学の論文や報告書

学術論文やレポートなどで、語調を堅くし、内容に説得力を持たせたい場合には、「ないしは」を使うと適切な印象を与えることができます。

7. 「ないしは」の英語表現

7.1 英語での言い換え

「ないしは」は英語では "or" や "or else"、"alternatively" と訳されます。文脈によっては "either A or B" という形式を用いると自然な英文になります。

例:
Applicants must be college graduates or have equivalent academic qualifications.
(応募者は大学卒業者、ないしは同等の学力を有する者でなければならない)

8. まとめ:「ないしは」は正確に使ってこそ活きる

「ないしは」は、選択肢を示す際に使われる硬い表現で、特に文章においてその効果を発揮します。意味は「または」や「あるいは」と同様ですが、よりフォーマルな場面に適しています。使用する際は相手やシーンを考慮しながら選びましょう。文語表現を正しく理解し、適切に使いこなすことで、文章の説得力が大きく向上します。

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